猫のモモタ

緒方宗谷

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牧場で出会ったお友達

良いと悪いは表と裏

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 牧草の上を雪が覆う様にして、沢山の羊とヤギが葉っぱを食べています。
 それを剪るようにして、仲の悪い羊とヤギの間で吠える1匹の牧羊犬がいました。
 「僕、ご主人様にお願いされて、パトロールでーす」 
 牧羊犬のメイ君は、叫びながら行ったり来たりして、献花が始まりそうになると走ってやってきます。羊とヤギが近づけなくなったので、ケンカは無くなりました。
 モモタは、思いました。
 「ここが山の中だったら、羊とヤギは大惨事、ここが牧場で良かったなぁ」
 メイ君のおかげで喧嘩をせずに済むようになった羊やヤギは喜んで、ピョンピョン飛び跳ねています。
 ですが、一部のお友達は、関係ない犬がやって来るのが気に入りません。メイ君がいない所で、悪口を言い始めました。
 メイ君はとても耳が良いので、そう言うお友達には、特別大きな声で吼えて、牙を見せつけます。
 あんまり言うことを聞かないお友達には、ぴょんとお尻を小突きました。
 メイ君は誇らしげに、モモタに言いました。
 「僕のおかげで、平和だよ」
 「でも、牙をむいたり、吠えたりしたら、ケンカしてるのと一緒じゃない?」
 「ちがうよ、お説教してるんだ。
  僕は彼らより小さいけど、とても強いんだよ。
  みんな、目の前の葉っぱの事しか考えていないから、他の葉っぱなんか目にくれないんだ。
  だから、僕みたいなのがいつもついていてあげて、あっちの葉っぱが伸びてるよって教えてあげないといけないんだよ」
 それもそうだと思ったモモタは、感心して褒めました。
 メイ君は言います。
 「平和が一番だからね。
  大変だよ、僕の縄張りは向こうのお庭だからさ。
  食べもしない葉っぱしかないこんな遠くまで来て、関係ない羊とヤギの仲をお世話してあげるんだから」
 「本当、メイ君のおかげだね。
  みんなは文句言うと思うけど、それにめげずに頑張れるなんて、すごいよ」
 ある日、メイ君がご褒美の大きなお肉をもらって、美味しそうに頬張っていました。
 モモタは羨ましくなって、少しもらえないか近寄ります。そして、首をかしげました。
 「あれ?そのお肉、ヤギの父ちゃんさんの匂い?」
 ここには、山とは違う怖さがあると気が付きました。
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