猫のモモタ

緒方宗谷

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仲睦まじいブレーリーハタネズミの話

あなた以外はあなたじゃない

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 動物園の小さなオリの中に、つがいの珍しいネズミが住んでいました。
 モモタが「そんなにベタベタしていて、暑くないの?」と訊くと、旦那さんが言いました。
 「熱いさ、僕の愛は燃えるほどに熱いのさ」
 「わたしの愛もよ。まるで真夏の太陽の様な灼熱の光で胸がいっぱいよ」
 超ラブラブ。モモタを忘れてイチャイチャしています。
 旦那さんがささやきます。
 「もう、1日中君のことを考えて、寝ている時すら夢に見ているよ」
 「わたしもよ。あなたと一緒にいない自分なんて想像できないわ。
  何をするのもあなたと一緒よ」
 本当に愛し合っているようです。気遣いながら、いつも寄りそって、お互いの毛づくろいをしていいます。
 モモタが、旦那さんに訊きました。
 「いくら好きだからって、ずーと一緒だと飽きちゃわないの?」
 「飽きるものか、飽きるほどにイチャイチャしても飽きないほど、大好きなんだ」
 「でも、他にしたい事とかあるでしょ?」
 「ないよ、頭の中は妻の事しかないんだから」
 「わたしもよ。頭の中はあなたの事しかないわ」
 2匹は見詰め合って、またイチャイチャし出しました。
 しばらくして、またモモタが訊きました。
 「嫌なところとかないの?」
 「あるわけないよ。
  何をしても何をされても、とても可愛くしか見えないよ。
  逆に聞くけど、君は誰かを好きになったことは無いのかい?
  情熱的に胸を焦がしたことは無いのかい?」
 モモタは考えました。そう言えばありません。
 「誰かを好きになることは素晴らしいことよ」
 「そうさ、世界の中心が愛になるんだ。
  他に何もなくても、何もできなくても幸せなんだ」
 「誰が何と言おうと、わたしは貴方だけよ」
 「僕もさ、永延に君への愛を誓うよ」
 あっちに行くのもこっちに来るのもいつも一緒。こんなに仲の良い夫婦は見たことがありません。
 モモタは感動しました。
 「祐ちゃんのパパとママだって、1日中一緒にいるわけじゃないのに、すごいなぁ」
 ルリちゃんたちや長鳴鶏やハタネズミ、愛の形は色々です。


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