猫のモモタ

緒方宗谷

文字の大きさ
上 下
106 / 495
嫉妬深いカッコウの話

妬む心は不幸の種

しおりを挟む
 枝の上で塞ぎ込んでいるカッコウを見つけたモモタは、心配になって話しかけました。
 「わたし、他のカッコウと違って1つしか卵を産めないのに、あの奥さん3つも埋めて羨ましいわ」
 「沢山栄養とって、運動して、元気な卵をたくさん産めるように頑張らなくちゃね」
 「でもそれって、とても大変よ。
  わたし好き嫌いが激しいから、あの奥さんみたく色々食べれないわ」
 「でも、たくさん卵を産むには、たくさん食べないと」
 カッコウは、大丈夫なのよと言って、3つの卵のある別の鳥の巣に飛んでいきました。
 その巣の卵は、すでにどこかのカッコウの卵にすりかわっていました。
 「ああっ!カッコウさん何てことするの!?」
 何と、カッコウは3つあった卵の内、2つを巣から落としてしましました。
 「こうすれば良いのよ。
  こうすれば、もう羨ましくないわ」
 戻ってきたカッコウに、モモタは訊きました。
 「カッコウさんは卵を産んでこなかったね?代わりに温めてもらうんじゃないの?」
 「わたし、もうこの間生んだでしょ、あなた見ていたじゃない?」
 モモタは怒りました。
 「本当に意味なく捨てちゃったの?生きるために里親に出すのは分かるし、山の中で暮らすのは大変だから、他の卵を捨てちゃうのも分からなくもないけど、今回のは何も意味ないよ。
  自分で努力すれば解決できるのに、みんなの足を引っ張ってたら、成長できないよ。
  そんな事だと、いつまでたっても幸せにはなれないよ」
 「あら、どうして?」
 「たくさん卵を産むママは、他にもたくさんいるもん。
  ヘビさんやトカゲさんだって、たくさん卵を産むよ」
 モモタの話を聞いていたカッコウは、キョトンとした表情で言いました。
 「関係ないわ、だってわたしヘビ生まないもの」
 どういう理由で、3つ生むカッコウが羨ましかったのか、分からないままのモモタでした。



しおりを挟む

処理中です...