猫のモモタ

緒方宗谷

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しつこいハエの話

自分が今何をしているのか想像してごらん、おかしなことに気が付けるから

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 最近、しつこいハエがやってこなくなって安心していたモモタのところに、ハエママたちがたくさん遊びに来るようになりました。
 どのママたちも、モモタに卵を生もうとします。
 「赤ちゃんたちを育ててくれる猫さんは貴方のことかしら?」
 1匹のハエママが言いました。
 「何のこと?僕、子育てなんてしないよ」
 「あら、私たちは、ここに遊びに来る家猫が、卵を預かってくれるって聞いて、遠くからやってきたのよ」
 「私たちもそうよ、ウンチもたっぷり食べさせてくれるって」
 モモタはびっくりしました。
 「誰から聞いたの?」
 「誰だったかしら、でもみんなが言っているわ」
 大体想像はつきます。あのしつこいハエが言いふらしているんだと思ったモモタは、文句を言いにハエを探しました。
 「ハエさんでしょう?変な噂ながしたの」
 いつもハエがいる樫の木のそばを探したモモタですが、ハエはどこにもいません。
 「ハエさん出てきてよ、いるんでしょう?」
 ハエは見当たりませんが、声だけが聞こえてきました。
 「あーあぁ、僕はモモタのせいで、モモタのウンチを食べれなくなっちゃったよ。
  そうだ!責任とっておくれよ。
  1日5回、ここでウンチをすべきだ、猫としてすべきだ」
 耳を澄ますと、上の方を飛びながら、声を落としてきます。
 「ハエさん、1度ちゃんと話そうよ。
  僕たちの間には、誤解があると思うんだ」
 モモタは説得を続けますが、一向にハエは出てきません。一瞬瞳にとらえたとしても、ハエはクシャクシャクシャと飛んで、姿を消してしまいます。
 「あんなに優しかったモモタは、いったいどこに行ってしまったんだろうな」
 モモタとの楽しい思い出を話しますが、モモタには身に覚えもない内容です。
 「僕を裏切ったモモタは、罰を受けるべきだよ。
  謝るだけじゃだめだよ、1日5回、ここでウンチをするんだ。
  友達なんだから、そのくらい当たり前だよ」
 だんだん、何を言っているか分かってきました。
 ハエは、モモタとお友達になりたいのですが、どう接していいか分からず、おかしなちょっかいを出してきていたのです。
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