猫のモモタ

緒方宗谷

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世界の中心、揚羽蝶の話

同じは安心できるけど、違う事も楽しめる

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 「何ですって?モモちゃんは、みんなが玉虫色を好きになるのを手伝ってくれないの?」
 「うん、僕は、何色が好きかなんて、それぞれだと思うんだ」
 アゲハちゃんは傷ついたと嘆きました。
 「どうして私と違う考えをするの?それじゃあ分かり合えないわ」
 プリプリ怒り始めたアゲハちゃんは、モモタを非難します。
 「私の羽を見なさいよ、黒や紫がキラキラしているでしょう?
  他の虫を見なさいよ、葉っぱと同じ緑や花と同じ黄色ばかりじゃない。
  私や玉虫君みたいな色は特別なのよ、他にはない色なのよ」
 「確かに、アゲハちゃんの羽の色は他にはない色かもしれない。
  だからといって、黄色や白が綺麗でないわけではないよ」
 驚いたアゲハちゃんは、周りにいた虫達に叫び始めました。
 「聞いて、私いじめられてるのよ。
  あの猫、私の事きらいだって言うの」
 ヨモギの先にとまっていたトンボは、困り顔で飛んでいきます。
 「聞いて、私いじめられてるのよ。
  あの猫、困っている私を助けてくれないのよ」
 小さな蛙は、落ち葉の下に隠れました。
 モモタもどこかに行ってしまいたかったのですが、自分がどこかに行ってしまうと、この子が1匹ぼっちになってしまってかわいそうです。そばにいてあげる事にしました。
 戻ってきたアゲハちゃんは言います。
 「良い?もう1度説明するわね。
  こうやって輝ける虫は、私と玉虫君しかいないのよ。
  他の色なんてたくさんいるでしょう?」
 「輝く虫は他にもいるよ。
  黄金虫さんは輝くよ。
  それに、蛍なんて、真暗でも光るんだ」
 「うそよ、私そんな虫見た事ないわ」
 アゲハちゃんは信じようとしません。
 「僕は、アゲハちゃんの羽をとても綺麗だと思うよ、それは信じてよ。
  でも、キラキラするのだけが綺麗なわけじゃないんだよ。
  僕には、とても綺麗な蛾のお友達がいるんだ」
 びっくりした揚アゲハちゃんは叫びました。
 「蛾ですって?あんな虫のどこが綺麗なの?モモちゃんは間違っているわ。
  私がいろいろ教えてあげる。
  あなたは私のお友達になる素質があるから大丈夫よ。
  私の言うことを聞けるようになったら一匹前よ」
 モモタは言いました。
 「僕たちはもうお友達だよ。
  これだけズケズケ言い合って、一緒にいるんだもの」
 やっぱりアゲハちゃんは、理解してくれませんでした。


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