猫のモモタ

緒方宗谷

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大好きな家族の話

命を育むって、素晴らしいことね

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 「佑ちゃん、にゃんにゃんを飼うのは、大変なのよ。
  オモチャを買うのとは違うのよ」
 ママは言いました。
 「僕ね、お友達みたいな弟が欲しいんだ。
  この子おちんちんがついているから、男の子だよ」
 子猫は訊きました。
 「みんなどこに行ったのかなぁ?おかあにゃん達とコロコロしてたら、暖かかったのに、とても寒いの」
 子猫はくしゅんと震えました。
 「大丈夫だよ、僕が暖めてあげるからね」
 佑ちゃんは、子猫を抱き締めて、頬擦りします。
 「僕、この子が大好きなんだ。
  ねえ、君も僕が大好きでしょう?」
 「うん、たぶん好きになると思うよ。
  だって、佑ちゃんのほっぺは温かいんだもん」
 佑ちゃんには毛がないのにね、不思議だねとも思いました。
 「パパもママもどうして僕と一緒にいるの?僕が大好きだから、一緒にいるんでしょ?
  パパとママはどうして一緒にいるの?大好きだから一緒にいるんでょ?
  僕はこの子のお世話がしたいんだ、優しくしてあげたいんだ」
 佑ちゃんは、モモタを優しく見つめて言いました。それに答えてパパが言いました。
 「その優しさは、大人になっても忘れちゃいけないよ。
  金魚にも、小鳥にも、ワンコにも佑ちゃんとおんなじ命があって、お腹も空くし、楽しくなったり、悲しくなったり、痛かったり、くすぐったかったりするんだよ。
  にゃんにゃんだって、1匹にされたら悲しむよ
  だから、毎日お世話してあげなきゃいけないんだよ」
 佑ちゃんは、すぐに答えます。
 「ずっと一緒に」
 モモタは、言いました。
 「まっくらな夜に1匹でいたくないよ。
  どう過ごして良いか分からないよ。
  それに、佑ちゃんのほっぺ温かいもん。
  もう忘れられないよ」
 ママが優しく子猫をモシャモシャします。
 「パパとママが佑ちゃんを抱き締めてあげる様に、毎日抱き締めてあげなきゃダメよ」
 振り替えると、佑ちゃんに抱き締められなかった日は、1日もありません。今晩も、佑ちゃんのお腹の上で丸くなって眠るモモタなのでした。
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