猫のモモタ

緒方宗谷

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自分大好き蛾の話

言わなくても分かるでしょ?なんて絶対ダメ、ちゃんと言葉で伝えなきゃ

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 モモタがお散歩していると、久しぶりに蛾に会いました。
 「こんにちは、蛾さん。
  昼間に会うなんて、珍しいね。
  花びらなんて持ってどうしたの?」
 「こんにちは、モモタ。
  明日は母の日だからに決まっているじゃないか。
  1年で、一番感動的なさ。
  可愛い息子が、日頃の感謝を伝えるんだから、喜ばないはずないね」
 「母の日?なーにそれ?」
 蛾はビックリして言いました。
 「母の日を知らないのかい?お世話をしてくれるママに、ありがとうって、伝える日さ。
  モモタもご飯をもらったり、お砂のお掃除をしてもらってるだろう?伝えてないのかい?」
 「伝えてるよ。
  でも、お花はあげたことないぁ」
 蛾は、モモタの頭にとまって言いました。
 「いつものありがとうじゃなくて、特別なありがとうを伝えなきゃ。
  明日、ご主人様とパパの様子を見てごらん」
 次の日、モモタは2人をずっと見ていました。
 学校から帰ってきた佑ちゃんは、絵に描いたカーネーションと、かりんとーをプレゼントして言いました。
 「ママ、僕のために、毎日美味しいご飯を作ってくれてありがとうございます。
  大好きだよママ♥️」
 ママはとても喜んで、佑ちゃんをギュッと抱き締めました。
 お夕食前に帰ってきたパパは、カーネーションのお花と、ケーキをプレゼントして言いました。
 「いつも家庭を守ってくれて、ありがとうございます。
  メグちゃんのお陰で、佑樹君は健やかに育っているし、毎日作ってくれるお弁当のお陰で 、頑張って働けます。
  愛しているよ、メグちゃん♥️」
 ママはとても喜んで、パパをギュッと抱き締めました。
 モモタは思いました。
 「なんて微笑ましいのかな」
 窓の外で見ていた鈴虫が、モモタに言いました。
 「僕は準備万端さ。
  いつでも綺麗な音色を奏でられるよ」
 モモタは、ママを誘ってにゃあにゃあ鳴きました。
 みんながつられてやってくると、リリリリリ、リリリリリと、鈴虫がモモタのおでこで、鳴き始めます。
 みんなで、素敵な音色を楽しみました。
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