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決意
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陽子はみのるの顔を覗き込んで言った。
「そろそろ、転入の手続きを進めようと思うの。
今度、新しい学校を見に行きましょう?」
「行かない」
思ってもみない返答に、陽子はショックを露わにした。
「どうして?お父さんも同意してくれてるのよ。
みのるの将来を考えると、東京で生活した方が良いわ。
あなたはとても頭が良いんだから、もっとお勉強しなきゃ」
「大丈夫だよ、時々遊びに来るから。
ここは遊園地が近いし、水族館も近いから、ここにも家があると思うととても嬉しいんだ」
「そんなにお父さんと一緒にいたいの?」
「んー、お父さんとというより、大好きな納豆屋さんがあるんだよ。
あの香りから遠く離れるのが嫌なんだ」
陽子の頭には、巡るめく思い出が甦ってきた。香りまでは思い出せない。しかし、とても甘い独特の藁の匂いだ。確かに、幼いみのるはあの香りが大好きだった。
「お母さんの、納豆をかき混ぜるやつ、まだ家にあるんだよ、僕が使ってるんだ」
子供の笑顔に、陽子は言葉を返せない。みのるを乗せたベビーカーを押して、湖のほとりを散歩した事、庭園の梅や桜を楽しんだ事、2人で電車を追いかけた事、沢山の思い出が溢れてきた。
1つ2つと涙をこぼす陽子は、堪えきれずに嗚咽し泣き崩れる。涙にぬれる指に手を添えて、みのるは言いた。
「お母さん、お母さんはずっとお母さんだよ」
部下に接するようだった陽子の態度は、これを境に、みのるの思い出の中の母親の片鱗を見せるようになった。
母親を心配させたくなかったみのるは、学校に行くようになっていた。5年生になって担任がかわった事が大きな要因だ。
前任者と違って、まだ若手の教師だったから、教育に対する熱意が言動に出ていた。学校を休んでも、放課後に学校や公園に遊びに来ている事を学校は知っていたから、新しい担任は、積極的にみのるとかかわろうとしたのだ。
両親も担任も、みのるの変化を暗に喜んだが、彼には隠された理由があった。
学校に行きたいと言う気持ちは、4年生の3学期の終わりには芽生えていたが、敢えて行かずにいた。その上で、みのるは真一に、5年生になったら学校に行くから、お小遣いをちょうだいと提案したのだ。
登校1回につき500円貰える事になったみのるは、そのお金を全て電車賃にあてがった。
登校するようになったとはいえ、常に教室にいるわけではない。半分は図書室にいて図鑑を見ていた。山歩きの好きなみのるは、不思議な形をしたグロリオサの花や、綺麗なコルチカムや夾竹桃の写真に見入った。
必ず週に2,3回はずる休みをして、飽きもせずに電車に乗り続けた。特別に目的地があるわけではない。
本来なら教室にいるはずの子供が町中にいては不自然だという事をみのるも分かっていて、警察とすれ違う時はとても緊張する。それの対策として、ランドセルを背負って、昔風邪を引いた時に貰った風薬の入った薬局の袋を抱えて、ずる休みじゃないとアピールまでした。
真一には、お小遣いはお菓子を買うのに使ったと嘘をついた。いつもの様に山に行ったり、公園に行ったりしているのに加えて、最近は道の駅に行っているとも言った。向こうの方に新しい友達が出来て、その友達の家で遊んでいるという事にした。
みのるは、真一が帰って来る前に帰宅していたが、恒子と早苗は、自分が家にいない事をおかしく思うだろうし、もしかしたら、校庭や公園に遊びに来るかもしれない。
何より、早苗は家庭支援センターの職員だから、頻繁に学校とやり取りをしている。何かのきっかけで、担任やクラスメートの話を聞く機会があるかもしれないから、その時疑問に思わないようにしておく必要があった。
みのるは、本当の理由を誰にも話さなかった。父をあの香水の女にも誰にも渡したくなかった。だから東京には行かなかったのだ。
だが同時に、ひどく煩悶した。みのるは、もしかしたら陽子が早苗に嫌がらせをしているのではないかと思っていたからだ。
早苗は、みのるの家に遊びに来ると泊まっていくことが日常化していた。ある日、支援センターでスキンヘッドの上司が自虐ネタを披露してツッコミを入れて以来、毎日のようにスキンヘッドを見るようになっていた。
道を曲がると5,6割の確率で道の真ん中に仁王立ちをしている。コンビニで雑誌を探すと、左右で立読みを始めた客はどちらもスキンヘッドだったりするのだ。
ある日の夕刻、民家の塀の前にポシェットを腰に巻いた帽子姿の男がいた。早苗が通り過ぎる時に近寄ってきて右手を挙げたので、道を聞かれるのかと思って、はい?と答えると、男は右手を挙げたまま固まってしまった。
何も言わずにその姿勢を続ける男を前に2,3分立ち尽くしていた早苗であったが、何事も起こらない事を確認すると、他の歩行者を探して走って逃げた。
次の日から、すれ違うスキンヘッドの男達は、必ず頭頂部を早苗の方に向けて歩くようになった。本来なら月に1人2人のスキンヘッドに会うだけでも珍しかったのに、今では毎日10人位のスキンヘッドを見かけるようになった。
早苗は、どこへ行くと時も彼らの影に怯え、曲がり角を曲がるときは、スキンヘッドがいるか否か恐々とするようになった。
「格好良いじゃないですか、出家した武将みたいで。
昔見たドラマの武将がスキンヘッドだったんですけど、今まで見た武将の中で一番格好良かったですよ」
「笑い事じゃないんですよ。
この間なんて、 電車に乗ったら、スキンヘッドで満員だったんですよ」
「そこまでですか?手が込んでいますね」
最近は、家に帰れば必ず電話が鳴り、家を出る時も必ず鳴る。受話器を上げようと手を伸ばすが、あてがう直前に切れる。放っておくと、着信音は留守電になるまでずっと鳴り響いているのだが、留守電にメッセージは何も入らない。
2人はキッチンで洗い物をしながら、最近の尾行の事を話していた。相変わらず、真一は気に留める事は無いと言うが、早苗は怖さで死んでしまいそうだ。もし、この家に外泊させてもらえなかったら、ストレスを癒す場も無いのだから。
真一が不思議そうに言った。
「でも、それだけ組織だっているのに、センターの仕業の様な気がしませんね。
だって、ブラックな量の仕事を押し付けられたり、窓際に追いやられているわけではないでしょ?上司や同僚から何か圧力があるわけでないなら、センターの誰かがしているわけではないかも」
「初めは、親御さんがしているのかなって思ったんです」
「可能性はあるけど、こんなに人を使って出来るかな?
まあ、辞めさせるのを目的にしていれば、その位するのかも。
奴隷としてこき使うために、相当きつい嫌がらせをすることもあるみたいだけど、圧力が原因で辞められてしまうと元も子もないから、普通、何かヒントがあるはずなんだよ、これをすれば圧力は緩和されるぞって。
でも、それが無いよね?泉さんの言動に合わせて、後日嫌がらせが変わったりしている。
支配しようというより、辞めさせるための嫌がらせの様に見えるよ」
「でも、親御さんなら、私を辞めさせても意味が無いんですよ、だって、他の担当者が付くだけだから」
「そっか」
子供部屋で漫画を読んでいたみのるは、2人の会話に耳をそばだてていた。
(多分、お母さんは、お父さんとお姉ちゃんが一緒にいる事は嫌だろうな。
お姉ちゃんが辞めてしまえば、家に泊りには来なくなるだろうし、それを望んでいるんだ。
香水の女とお母さんは一緒だから、お姉ちゃんの疑問は全部解決だよね)
みのるだけは、早苗の敵が職員でも保護者でないことに気が付いていた。
「そろそろ、転入の手続きを進めようと思うの。
今度、新しい学校を見に行きましょう?」
「行かない」
思ってもみない返答に、陽子はショックを露わにした。
「どうして?お父さんも同意してくれてるのよ。
みのるの将来を考えると、東京で生活した方が良いわ。
あなたはとても頭が良いんだから、もっとお勉強しなきゃ」
「大丈夫だよ、時々遊びに来るから。
ここは遊園地が近いし、水族館も近いから、ここにも家があると思うととても嬉しいんだ」
「そんなにお父さんと一緒にいたいの?」
「んー、お父さんとというより、大好きな納豆屋さんがあるんだよ。
あの香りから遠く離れるのが嫌なんだ」
陽子の頭には、巡るめく思い出が甦ってきた。香りまでは思い出せない。しかし、とても甘い独特の藁の匂いだ。確かに、幼いみのるはあの香りが大好きだった。
「お母さんの、納豆をかき混ぜるやつ、まだ家にあるんだよ、僕が使ってるんだ」
子供の笑顔に、陽子は言葉を返せない。みのるを乗せたベビーカーを押して、湖のほとりを散歩した事、庭園の梅や桜を楽しんだ事、2人で電車を追いかけた事、沢山の思い出が溢れてきた。
1つ2つと涙をこぼす陽子は、堪えきれずに嗚咽し泣き崩れる。涙にぬれる指に手を添えて、みのるは言いた。
「お母さん、お母さんはずっとお母さんだよ」
部下に接するようだった陽子の態度は、これを境に、みのるの思い出の中の母親の片鱗を見せるようになった。
母親を心配させたくなかったみのるは、学校に行くようになっていた。5年生になって担任がかわった事が大きな要因だ。
前任者と違って、まだ若手の教師だったから、教育に対する熱意が言動に出ていた。学校を休んでも、放課後に学校や公園に遊びに来ている事を学校は知っていたから、新しい担任は、積極的にみのるとかかわろうとしたのだ。
両親も担任も、みのるの変化を暗に喜んだが、彼には隠された理由があった。
学校に行きたいと言う気持ちは、4年生の3学期の終わりには芽生えていたが、敢えて行かずにいた。その上で、みのるは真一に、5年生になったら学校に行くから、お小遣いをちょうだいと提案したのだ。
登校1回につき500円貰える事になったみのるは、そのお金を全て電車賃にあてがった。
登校するようになったとはいえ、常に教室にいるわけではない。半分は図書室にいて図鑑を見ていた。山歩きの好きなみのるは、不思議な形をしたグロリオサの花や、綺麗なコルチカムや夾竹桃の写真に見入った。
必ず週に2,3回はずる休みをして、飽きもせずに電車に乗り続けた。特別に目的地があるわけではない。
本来なら教室にいるはずの子供が町中にいては不自然だという事をみのるも分かっていて、警察とすれ違う時はとても緊張する。それの対策として、ランドセルを背負って、昔風邪を引いた時に貰った風薬の入った薬局の袋を抱えて、ずる休みじゃないとアピールまでした。
真一には、お小遣いはお菓子を買うのに使ったと嘘をついた。いつもの様に山に行ったり、公園に行ったりしているのに加えて、最近は道の駅に行っているとも言った。向こうの方に新しい友達が出来て、その友達の家で遊んでいるという事にした。
みのるは、真一が帰って来る前に帰宅していたが、恒子と早苗は、自分が家にいない事をおかしく思うだろうし、もしかしたら、校庭や公園に遊びに来るかもしれない。
何より、早苗は家庭支援センターの職員だから、頻繁に学校とやり取りをしている。何かのきっかけで、担任やクラスメートの話を聞く機会があるかもしれないから、その時疑問に思わないようにしておく必要があった。
みのるは、本当の理由を誰にも話さなかった。父をあの香水の女にも誰にも渡したくなかった。だから東京には行かなかったのだ。
だが同時に、ひどく煩悶した。みのるは、もしかしたら陽子が早苗に嫌がらせをしているのではないかと思っていたからだ。
早苗は、みのるの家に遊びに来ると泊まっていくことが日常化していた。ある日、支援センターでスキンヘッドの上司が自虐ネタを披露してツッコミを入れて以来、毎日のようにスキンヘッドを見るようになっていた。
道を曲がると5,6割の確率で道の真ん中に仁王立ちをしている。コンビニで雑誌を探すと、左右で立読みを始めた客はどちらもスキンヘッドだったりするのだ。
ある日の夕刻、民家の塀の前にポシェットを腰に巻いた帽子姿の男がいた。早苗が通り過ぎる時に近寄ってきて右手を挙げたので、道を聞かれるのかと思って、はい?と答えると、男は右手を挙げたまま固まってしまった。
何も言わずにその姿勢を続ける男を前に2,3分立ち尽くしていた早苗であったが、何事も起こらない事を確認すると、他の歩行者を探して走って逃げた。
次の日から、すれ違うスキンヘッドの男達は、必ず頭頂部を早苗の方に向けて歩くようになった。本来なら月に1人2人のスキンヘッドに会うだけでも珍しかったのに、今では毎日10人位のスキンヘッドを見かけるようになった。
早苗は、どこへ行くと時も彼らの影に怯え、曲がり角を曲がるときは、スキンヘッドがいるか否か恐々とするようになった。
「格好良いじゃないですか、出家した武将みたいで。
昔見たドラマの武将がスキンヘッドだったんですけど、今まで見た武将の中で一番格好良かったですよ」
「笑い事じゃないんですよ。
この間なんて、 電車に乗ったら、スキンヘッドで満員だったんですよ」
「そこまでですか?手が込んでいますね」
最近は、家に帰れば必ず電話が鳴り、家を出る時も必ず鳴る。受話器を上げようと手を伸ばすが、あてがう直前に切れる。放っておくと、着信音は留守電になるまでずっと鳴り響いているのだが、留守電にメッセージは何も入らない。
2人はキッチンで洗い物をしながら、最近の尾行の事を話していた。相変わらず、真一は気に留める事は無いと言うが、早苗は怖さで死んでしまいそうだ。もし、この家に外泊させてもらえなかったら、ストレスを癒す場も無いのだから。
真一が不思議そうに言った。
「でも、それだけ組織だっているのに、センターの仕業の様な気がしませんね。
だって、ブラックな量の仕事を押し付けられたり、窓際に追いやられているわけではないでしょ?上司や同僚から何か圧力があるわけでないなら、センターの誰かがしているわけではないかも」
「初めは、親御さんがしているのかなって思ったんです」
「可能性はあるけど、こんなに人を使って出来るかな?
まあ、辞めさせるのを目的にしていれば、その位するのかも。
奴隷としてこき使うために、相当きつい嫌がらせをすることもあるみたいだけど、圧力が原因で辞められてしまうと元も子もないから、普通、何かヒントがあるはずなんだよ、これをすれば圧力は緩和されるぞって。
でも、それが無いよね?泉さんの言動に合わせて、後日嫌がらせが変わったりしている。
支配しようというより、辞めさせるための嫌がらせの様に見えるよ」
「でも、親御さんなら、私を辞めさせても意味が無いんですよ、だって、他の担当者が付くだけだから」
「そっか」
子供部屋で漫画を読んでいたみのるは、2人の会話に耳をそばだてていた。
(多分、お母さんは、お父さんとお姉ちゃんが一緒にいる事は嫌だろうな。
お姉ちゃんが辞めてしまえば、家に泊りには来なくなるだろうし、それを望んでいるんだ。
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