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九尾巴的狐
日本語(日语)
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九つもの尾がある一匹のキツネの女の子が、栃木県の山奥に住んでいました。遠い昔に中国からやって来た玉藻と言う優美のキツネの子孫です。
この子はとても綺麗な毛並みのキツネでした。しかし、ただ一匹の友達もいません。ですから毎日寂しく思っていました。
住んでいる山の中の普通のキツネはみんな九尾のキツネを怖がって、彼女のそばに近づこうとしません。ですから、彼女は岩ばかりがある土地に一匹で住んでいました。
しかし、彼女はこのような不幸な目に遭っても良いと思っています。一匹での生活は却って傷つく機会が少ないからです。
みんなは彼女の事を噂します。
「あの子は普通じゃないわ、だってあの子の尻尾は1つじゃないもの。きっと呪われているのよ」
もし普通の動物が彼女と出会うと、みんなは一目散に逃げた後、大きな木の後ろに隠れてひそひそと話します。
九尾のキツネの耳はとても良かったので、みんなの言っていることが全て分かります。その時いつも傷つきました。
ある日、1人の人間の少女が森の中で迷子になっていることに、九尾のキツネは気が付きました。女の子の鳴く声が遠くから聞こえてきたからです。
「ママ、ママ、どこにいるの?何でいないの?」
九尾のキツネはだんだん近づいてくる女の子の声を聞いて、ここに人間が来ることを恐れました。でも彼女はなぜ自分が怖がっているか分かりません。
九尾のキツネは住処の古代杉の穴の中に隠れました。やって来た女の子は、とても小さな女の子でした。
助けようか迷っていましたが、助けずに見ていると、女の子が空を見上げます。九尾のキツネは女の子がなぜ空を見上げたか分からず、不思議に思いました。
「なせ空を見たんだろう?」
そう思って、九尾のキツネも空を見上げます。
すると一粒の滴がポツリとおでこに落ちてきました。幼い女の子は両手で頭を覆って走ってやってきます。九尾のキツネは穴から出てきて、女の子に牙を見せました。女の子は立ち止まって九尾のキツネを見ましたが、すぐに女の子は古代杉の穴ぐらに走って入ってきました。
九尾のキツネは威嚇しましたが、彼女は穴の中に座って九尾のキツネに笑いかけて言いました。
「あなたも雨宿り?私迷子になっちゃったの。私と一緒にここで雨宿りしましょうよ」
九尾のキツネは迷惑に思いました。この洞窟は自分のお家です。雨がやむまで1匹で過ごしたかったのです。
幼い女の子は自己紹介しました。
「私の名前は玉よ。お玉。とても綺麗なキツネね。女の子?とてもモテるでしょう?」
九尾のキツネはお玉を無視しました。ですがお玉は話し続けます。
「今日はもう遅くなっちゃった。暗くてとても帰れないわ。だからここに泊まっていこおっと」
追い出すことが出来そうもないので、九尾のキツネは女の子から離れて眠りました。
次の日、空はとても晴れました。お玉は笑いながら言いました。
「これなら帰ることが出来るわ。でも、私は帰り方を知らないの。だから私をお家まで連れて行って。お願い、良いでしょう?」
九尾のキツネは嫌だなぁ、と思いました。しかし、もし彼女がずっとここにいると、自分はとても迷惑してしまいます。ですから、九尾のキツネは、彼女を連れて山の中から村まで行きました。
ようやく一匹になれて、九尾のキツネは安心です。ですがこの環境は続きませんでした。次の日お玉がまた来たからです。
お玉は言いました。
「ねえキツネちゃん、私と遊びましょうよ」
そこで、九尾のキツネは女の子に訊きました。
「何でまたここに来たの?ここはとても危険よ。熊もいるし、狼もいるし、毒蛇もいるし、そのうえ食べ物もないよ。だから大変よ。食べられちゃうかも」
お玉は笑って言いました。
「大丈夫よ、あなたが私のそばにいてくれて、守ってくれるの。そうでしょう?
おろ?喋れるの?なんて呼べばいい?お名前はなんてゆーの?」
「綿綿」
そう答えた綿綿は続けて訊きました。
「私が怖くないの?私普通のキツネじゃないのよ。呪われているの」
「あはは、あなたは呪われてないわ。だってとても綺麗なんですもの。だから褒められているはずよ。だから呪われて無い。
それに私を助けるの。もしあなたが呪われているなら、私も呪われるわ。もしそうなら、私はもう食べられて死んでいるはずよ」
綿綿は初めて安らぎを感じました。ですが、心配があります。彼女はお玉に訊きました。
「普通のキツネは一本しか尻尾がないの。でも私には九つあるの」
するとお玉が言います。
「すごい!すごい!すご過ぎる!九つ尻尾があるから、私たちは三つ編みを作って遊べるわ。しかもそれを使ってもっと大きな三つ編みが出来るの。とても大きいやつ」
綿綿は、今までその様に考えたことがありません。ようやく一人と一匹はお友達になりました。
お玉は度々遊びに来ました。いつも綿綿は石でできた森と土の森との境まで行って出迎えます。
ほどなくして冬が来ました。雪が降って来ましたが、それでもお玉は山に来て遊びました。
お玉は綿綿の尻尾を抱きしめて言いました。
「あなたは特別な存在よ。だって普通のキツネに尻尾は一つしかないもの。でも貴方には九つあるわ。だから私とても暖かいわ」
そう言い終わると、お玉は自分の体を尻尾で包みました。そして、「あったかい」とキツネに微笑みかけます。
夏が来ました。お玉は大きな石の上に寝そべって、「あっつ~い!」と言いました。お玉のそばに来た綿綿は考えました。九つの尻尾を使ってなんとかならないか、と思ったのです。
そうだ、と思いついた綿綿は、九つの尻尾を全部まわしました。そよ風が起こって、お玉にそよそよそよぎます。
お玉は驚いて言いました。
「そんなことも出来るのね!とてもすごいわ!」
みんなと違うことは悲しいことではありません。むしろ喜ばしいことなのです。同じではないとは、実は力なのです。誰もが気が付いていないだけです。もしそれに気がつけたのなら、綿綿はどこまでも成長していけるでしょう。
人間の女の子との出会いは、とても素敵な出会いでした。
この子はとても綺麗な毛並みのキツネでした。しかし、ただ一匹の友達もいません。ですから毎日寂しく思っていました。
住んでいる山の中の普通のキツネはみんな九尾のキツネを怖がって、彼女のそばに近づこうとしません。ですから、彼女は岩ばかりがある土地に一匹で住んでいました。
しかし、彼女はこのような不幸な目に遭っても良いと思っています。一匹での生活は却って傷つく機会が少ないからです。
みんなは彼女の事を噂します。
「あの子は普通じゃないわ、だってあの子の尻尾は1つじゃないもの。きっと呪われているのよ」
もし普通の動物が彼女と出会うと、みんなは一目散に逃げた後、大きな木の後ろに隠れてひそひそと話します。
九尾のキツネの耳はとても良かったので、みんなの言っていることが全て分かります。その時いつも傷つきました。
ある日、1人の人間の少女が森の中で迷子になっていることに、九尾のキツネは気が付きました。女の子の鳴く声が遠くから聞こえてきたからです。
「ママ、ママ、どこにいるの?何でいないの?」
九尾のキツネはだんだん近づいてくる女の子の声を聞いて、ここに人間が来ることを恐れました。でも彼女はなぜ自分が怖がっているか分かりません。
九尾のキツネは住処の古代杉の穴の中に隠れました。やって来た女の子は、とても小さな女の子でした。
助けようか迷っていましたが、助けずに見ていると、女の子が空を見上げます。九尾のキツネは女の子がなぜ空を見上げたか分からず、不思議に思いました。
「なせ空を見たんだろう?」
そう思って、九尾のキツネも空を見上げます。
すると一粒の滴がポツリとおでこに落ちてきました。幼い女の子は両手で頭を覆って走ってやってきます。九尾のキツネは穴から出てきて、女の子に牙を見せました。女の子は立ち止まって九尾のキツネを見ましたが、すぐに女の子は古代杉の穴ぐらに走って入ってきました。
九尾のキツネは威嚇しましたが、彼女は穴の中に座って九尾のキツネに笑いかけて言いました。
「あなたも雨宿り?私迷子になっちゃったの。私と一緒にここで雨宿りしましょうよ」
九尾のキツネは迷惑に思いました。この洞窟は自分のお家です。雨がやむまで1匹で過ごしたかったのです。
幼い女の子は自己紹介しました。
「私の名前は玉よ。お玉。とても綺麗なキツネね。女の子?とてもモテるでしょう?」
九尾のキツネはお玉を無視しました。ですがお玉は話し続けます。
「今日はもう遅くなっちゃった。暗くてとても帰れないわ。だからここに泊まっていこおっと」
追い出すことが出来そうもないので、九尾のキツネは女の子から離れて眠りました。
次の日、空はとても晴れました。お玉は笑いながら言いました。
「これなら帰ることが出来るわ。でも、私は帰り方を知らないの。だから私をお家まで連れて行って。お願い、良いでしょう?」
九尾のキツネは嫌だなぁ、と思いました。しかし、もし彼女がずっとここにいると、自分はとても迷惑してしまいます。ですから、九尾のキツネは、彼女を連れて山の中から村まで行きました。
ようやく一匹になれて、九尾のキツネは安心です。ですがこの環境は続きませんでした。次の日お玉がまた来たからです。
お玉は言いました。
「ねえキツネちゃん、私と遊びましょうよ」
そこで、九尾のキツネは女の子に訊きました。
「何でまたここに来たの?ここはとても危険よ。熊もいるし、狼もいるし、毒蛇もいるし、そのうえ食べ物もないよ。だから大変よ。食べられちゃうかも」
お玉は笑って言いました。
「大丈夫よ、あなたが私のそばにいてくれて、守ってくれるの。そうでしょう?
おろ?喋れるの?なんて呼べばいい?お名前はなんてゆーの?」
「綿綿」
そう答えた綿綿は続けて訊きました。
「私が怖くないの?私普通のキツネじゃないのよ。呪われているの」
「あはは、あなたは呪われてないわ。だってとても綺麗なんですもの。だから褒められているはずよ。だから呪われて無い。
それに私を助けるの。もしあなたが呪われているなら、私も呪われるわ。もしそうなら、私はもう食べられて死んでいるはずよ」
綿綿は初めて安らぎを感じました。ですが、心配があります。彼女はお玉に訊きました。
「普通のキツネは一本しか尻尾がないの。でも私には九つあるの」
するとお玉が言います。
「すごい!すごい!すご過ぎる!九つ尻尾があるから、私たちは三つ編みを作って遊べるわ。しかもそれを使ってもっと大きな三つ編みが出来るの。とても大きいやつ」
綿綿は、今までその様に考えたことがありません。ようやく一人と一匹はお友達になりました。
お玉は度々遊びに来ました。いつも綿綿は石でできた森と土の森との境まで行って出迎えます。
ほどなくして冬が来ました。雪が降って来ましたが、それでもお玉は山に来て遊びました。
お玉は綿綿の尻尾を抱きしめて言いました。
「あなたは特別な存在よ。だって普通のキツネに尻尾は一つしかないもの。でも貴方には九つあるわ。だから私とても暖かいわ」
そう言い終わると、お玉は自分の体を尻尾で包みました。そして、「あったかい」とキツネに微笑みかけます。
夏が来ました。お玉は大きな石の上に寝そべって、「あっつ~い!」と言いました。お玉のそばに来た綿綿は考えました。九つの尻尾を使ってなんとかならないか、と思ったのです。
そうだ、と思いついた綿綿は、九つの尻尾を全部まわしました。そよ風が起こって、お玉にそよそよそよぎます。
お玉は驚いて言いました。
「そんなことも出来るのね!とてもすごいわ!」
みんなと違うことは悲しいことではありません。むしろ喜ばしいことなのです。同じではないとは、実は力なのです。誰もが気が付いていないだけです。もしそれに気がつけたのなら、綿綿はどこまでも成長していけるでしょう。
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