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剥魔
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封魔の結界が消失すると同時に、ルーゲイルは天高く舞い上がる。その身から溢れだす魔力は、強力なグラビトンと化して、全ての者に浴びせかかってきた。
もはや魔力を押さえつける障害はない。容赦ない攻撃が、敵味方区別なく全ての人間に加えられる。
辺りは魔界と見まがうほどの禍々しい景色へと変貌し、息をするのさえままならない。疲弊した兵士たちの力は更にそぎ落とされ、逆に、悪魔や魔獣たちの力は、さらに上がった。
ルーゲイルの手に、魔力も霊力も吸い上げられて干からびたシヴァの死体が、無残にたなびいている。
大きく空を旋回ししてるルーゲイルの蹄が鳴る度に、魔力が作り出した黒く燃える流星のような炎が、地上に降り注ぐ。
空中にそびえる魔界の門前に立ったルーゲイルは、凄まじい魔力を発して、その門を焼き払った。
「人間界は私がいただく。天帝にも、悪魔王にも地上は渡さない。全ての人類を滅ぼし、この私が大魔王として人間界を統べるのだ!! はっはっはっはっはっはっ、はっはっはっはっはっ!!」
ミリィに、現人神だったときの記憶は無い。だか、なんとなくだが感覚は覚えていた。
飛ばしたミリィちゃん2号を使ってスパティアルサンダーを唱え、空間に電撃の網を張ってルーゲイルの足を止める。そして、間髪いれずにクリムズンノウズユウンを撃ち放つ。
「あれ、現人神の時に使った技ですよ!」とびっくりしたサラが言った。
「あの時より、強力なんじゃないか?」
直接喰らったことのあるウォーロックが発した言葉に、ミリィは調子に乗ってもう1発撃ち放った。
ミリィの身の丈ほどもある弾頭が、ルーゲイルに直撃して炸裂する。
「もう1発! もう1発! もう1発!」
続けざまにクリムズンノウズユウンを浴びせかける。
「ぐおおおおおおおお!!!!」
両腕を十字に構えて踏ん張り耐えるルーゲイルは、地上へと押し落とされた。
「耐え抜かれた!!」ミリィが舌を打つ。
ミリィが2号を退かせる間もなく、ルーゲイルが天へ駆けあがって来て、ミリィちゃん2号を轢き潰す。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
ルーゲイルは、落ちていくミリィちゃん2号の下に回り込んで、二の腕を鷲掴みにして受け止めた。
「ああああああああっっ!!」
「大丈夫か! ミリィ!!」
ラングが駆け寄る。
「熱い!! 腕が! 全身が熱い!!」
魔力によって魂が焼けただれていく。その効果が肉体にまで及んで、ミリィは悶絶した。体は汚い紫色に変色して、全身に広がっていく。
左右の二の腕を鷲掴みにされて掲げられたミリィちゃん2号も、同じように変色していく。
ルーゲイルの後ろに禍々しい魔力が渦巻き始めた。
「おい・・・、なんだ、あれは・・・」
ウォーロックの声に顔を上げたラングは、苦しげに言葉を吐く。
「まさか、冗談だろ? まだ降魔があるのか?」
サラも愕然としながら、声を絞り出す。
「あれ、ただの悪魔じゃありませんよ! あんな魔力、魔王クラスじゃなきゃあり得ませんよ!!」
もはや、連合軍に戦意は無い。
死屍累々の上でようやく戦っていたハイナイトたちは立ち尽くしている。フィーリアン王室の騎士団ですら、退却を始めていた。
もはや魔力を押さえつける障害はない。容赦ない攻撃が、敵味方区別なく全ての人間に加えられる。
辺りは魔界と見まがうほどの禍々しい景色へと変貌し、息をするのさえままならない。疲弊した兵士たちの力は更にそぎ落とされ、逆に、悪魔や魔獣たちの力は、さらに上がった。
ルーゲイルの手に、魔力も霊力も吸い上げられて干からびたシヴァの死体が、無残にたなびいている。
大きく空を旋回ししてるルーゲイルの蹄が鳴る度に、魔力が作り出した黒く燃える流星のような炎が、地上に降り注ぐ。
空中にそびえる魔界の門前に立ったルーゲイルは、凄まじい魔力を発して、その門を焼き払った。
「人間界は私がいただく。天帝にも、悪魔王にも地上は渡さない。全ての人類を滅ぼし、この私が大魔王として人間界を統べるのだ!! はっはっはっはっはっはっ、はっはっはっはっはっ!!」
ミリィに、現人神だったときの記憶は無い。だか、なんとなくだが感覚は覚えていた。
飛ばしたミリィちゃん2号を使ってスパティアルサンダーを唱え、空間に電撃の網を張ってルーゲイルの足を止める。そして、間髪いれずにクリムズンノウズユウンを撃ち放つ。
「あれ、現人神の時に使った技ですよ!」とびっくりしたサラが言った。
「あの時より、強力なんじゃないか?」
直接喰らったことのあるウォーロックが発した言葉に、ミリィは調子に乗ってもう1発撃ち放った。
ミリィの身の丈ほどもある弾頭が、ルーゲイルに直撃して炸裂する。
「もう1発! もう1発! もう1発!」
続けざまにクリムズンノウズユウンを浴びせかける。
「ぐおおおおおおおお!!!!」
両腕を十字に構えて踏ん張り耐えるルーゲイルは、地上へと押し落とされた。
「耐え抜かれた!!」ミリィが舌を打つ。
ミリィが2号を退かせる間もなく、ルーゲイルが天へ駆けあがって来て、ミリィちゃん2号を轢き潰す。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
ルーゲイルは、落ちていくミリィちゃん2号の下に回り込んで、二の腕を鷲掴みにして受け止めた。
「ああああああああっっ!!」
「大丈夫か! ミリィ!!」
ラングが駆け寄る。
「熱い!! 腕が! 全身が熱い!!」
魔力によって魂が焼けただれていく。その効果が肉体にまで及んで、ミリィは悶絶した。体は汚い紫色に変色して、全身に広がっていく。
左右の二の腕を鷲掴みにされて掲げられたミリィちゃん2号も、同じように変色していく。
ルーゲイルの後ろに禍々しい魔力が渦巻き始めた。
「おい・・・、なんだ、あれは・・・」
ウォーロックの声に顔を上げたラングは、苦しげに言葉を吐く。
「まさか、冗談だろ? まだ降魔があるのか?」
サラも愕然としながら、声を絞り出す。
「あれ、ただの悪魔じゃありませんよ! あんな魔力、魔王クラスじゃなきゃあり得ませんよ!!」
もはや、連合軍に戦意は無い。
死屍累々の上でようやく戦っていたハイナイトたちは立ち尽くしている。フィーリアン王室の騎士団ですら、退却を始めていた。
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