エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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援軍登場

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 ミリィは、ルーゲイルの結界を完全に無効化してしまった。バフュメトウスが自分の魔力で行っていたように、霊力を使ってルーゲイルの魔力を中和していったのだ。
 「きゃぁぁああ!!」ミリィの声が響く。
 発せられる膨大な量の魔力までもを消し去ることがかなわず、魔力の津波の直撃を受けたミリィちゃん2号は、蹄に蹴り上げられたところを殴り落とされた。
 ミリィの足がガクガクと震える。今にも腰を落としてしまいそうだ。途轍もない精神ダメージを一瞬にして負ってしまったようだ。気を抜くと卒倒してしまいそうになる。
 「この感覚、魂そのものなのか」
 拳に残るミリィちゃん2号の感触を思い返しながら、ルーゲイルが言った。
 「何これ? こんな事って・・あっ、あああっ」
 ミリィは、サラの肩を借りて辛うじて立っていた。強烈な精神ダメージを受けて、混乱している。精神崩壊を起こしていないのが不思議なくらいの動転ぶりだ。むき出しの魂を魔体に攻撃されたのだから当然だろう。
 サラの霊力に支えられながら、なんとか自らにアストラルリファイアーを施して、立ち上がった。そして、言い放った。
 「じゃ、そう言うことで・・・」
 シュタッと左手で上げて、何事も無かったかのように帰ろうとするが、ルーゲイルには通用しない。
 「嫌ぁ! わたし帰る! お家に帰る!」
 「ミ、ミリィさん落ち着いてくださーい!!」
 「これ、これわたしの魂そのものじゃないの? なんかへその緒みたいなので繋がってるし…。
  死んじゃう! ルーゲイルなんかとこれで戦ったら死んじゃうわよ!!」
 精神的なダメージの影響だろうか、妙に幼児化したミリィは、狼狽しながら泣きじゃくって駄々をこねる。
 バフュメトウスも失い、ミリィちゃん2号だけが頼りの4人だったが、防御力がほぼ皆無であることを知って、一騎打ちに消極的にならざるを得ない。
 ついにオーストウェルが敗走を始めた。後方で陣を整えたキルメニアは進軍を再開する様子が無い。戦力を大きくそがれた連合軍の足並みは乱れに乱れていた。フィーリアン連邦に属するトール王国が全滅して、より一層結界の効力が弱まる。
 そんな時だった。ルーゲイルの攻撃から逃げまどう4人の耳に、聞き覚えのある声が響く。
 「絶望なんて似合いませんよ、グランディア嬢」
 「うぇ? 誰? 誰?」
 軍の張った結界の中全体に声が響いている。キョロキョロ辺りを見渡すが、声の主は見当たらない。
 最初に気がついたのは、サラだった。
 「ああっ! ミリィさん、あそこ! あそこです!!」
 サラが指差す方を見る4人の視線の先には、舞い降りてくるストリーキングがいた。

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