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ルーゲイルの野望
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場の空気を換えようと、ミリィは足を踏み鳴らした。
「まあ・・・、まあ、あれよ! 証拠を隠滅すれば、結果オーライよ!!」
ズメホスの魔体が復活すれば、この辺りは魔界に飲みこまれてしまうかもしれない。
降魔戦争から600年以上も経過しているにもかかわらず、未だに大量のアンデットが生息する死の大地と化したまま復興できずにいる南部。そんな状況で魔王クラスが有する魔力が吹き上がれば、生きとし生けるものは全てアンデットになってしまう。もしかしたら、アンデットとしてすら生きてはいられないかもしれない。
ミリィはオーラを唱えるが、開きかかった封印が放つ力に阻まれて、手前ではじけてしまう。
「接近戦に持ち込むしかないわ」
「あの中に飛び込むんですか?」とサラ。
洞窟の中に精霊を連れてくることの出来なかったサラは、自らの霊力で結界をはることしか出来ず、ルーゲイルに近づく事ができない。同じくラングも、霊術や魔術を扱う事ができず、戦闘に参加するのは不可能だ。
ミリィとウォーロックが剣を構えて封印が放つ光の中に入ると、想像以上に強力な力のうねりに翻弄されて、上手くルーゲイルに接近する事ができない。
「魔力が漏れ出しているわ! 早く仕留めないと」
ルーゲイルの施した魔法陣に浮かぶ古代文字から、魔力が大量に噴出し始めた。
肉腫をかいくぐって振り上げた拳からサイコキャノンをぶちかます。ゼロ距離攻撃のはずだったが、全く効いている様子が無い。
「きゃ!」
肉腫に弾かれて、封印の光と魔力の渦に飲みこまれたミリィは、体勢を立て直すことが出来ずに、封印の外に押し出された。
残ったウォーロックも、鞭のように攻め来る触手を切り落とすのが精一杯で、ルーゲイルの本体には、有効打を与えられないでいる。
吹き出す魔力はますます増加の一途を辿り、ついには擬人化して4人を襲い始めた。
「キャー! 助けてください! ミリィさーん!」
振り向くと、きゃっきゃ、きゃっきゃ、と慌てふためくサラが、持っていた魔力を集めて増幅させるロッドをフリフリしながら、擬人化した魔力から逃げまどっていた。
精霊のいないこの洞窟の中でのサラは、精霊魔術師としては全く役に立たない。多少の魔術は使えるが、魔王を前にしては役には立たないだろう。
魔術は、主に悪魔の力を利用して使用するものと、自然にある魔力を集めて使うものとの2種類がある。
悪魔との戦いで使う場合、相手よりも高位の悪魔でなければ、力を借りることは出来ない。例えば、不良グループをシメるのに、もやしっ子のケツ持ちを受けて呼び出しても意味が無いのと同じだ。
そもそも、そのもやしっ子は、校舎の裏には来てくれないだろう。呼び出した不良グループにシメられるのがオチだ。
後者の場合は、自然に漂っている薄い魔力を集めるだけだから、高位の悪魔や魔王にダメージを与えられるとほどの莫大な魔力量になりえない。だから、当然高度な魔術を発動できるはずがない。真綿を投げつけるようなものだ。
ラングのお陰で死なずに済んでいる状況のサラを、見捨てるわけにはいかない。封印から舞い戻ったミリィは、サラに襲い掛かる魔力の塊を撃ち飛ばす。
追い詰めたはずのミリィたちは打つ手を失い、いつの間にか追い詰められていた。
「まあ・・・、まあ、あれよ! 証拠を隠滅すれば、結果オーライよ!!」
ズメホスの魔体が復活すれば、この辺りは魔界に飲みこまれてしまうかもしれない。
降魔戦争から600年以上も経過しているにもかかわらず、未だに大量のアンデットが生息する死の大地と化したまま復興できずにいる南部。そんな状況で魔王クラスが有する魔力が吹き上がれば、生きとし生けるものは全てアンデットになってしまう。もしかしたら、アンデットとしてすら生きてはいられないかもしれない。
ミリィはオーラを唱えるが、開きかかった封印が放つ力に阻まれて、手前ではじけてしまう。
「接近戦に持ち込むしかないわ」
「あの中に飛び込むんですか?」とサラ。
洞窟の中に精霊を連れてくることの出来なかったサラは、自らの霊力で結界をはることしか出来ず、ルーゲイルに近づく事ができない。同じくラングも、霊術や魔術を扱う事ができず、戦闘に参加するのは不可能だ。
ミリィとウォーロックが剣を構えて封印が放つ光の中に入ると、想像以上に強力な力のうねりに翻弄されて、上手くルーゲイルに接近する事ができない。
「魔力が漏れ出しているわ! 早く仕留めないと」
ルーゲイルの施した魔法陣に浮かぶ古代文字から、魔力が大量に噴出し始めた。
肉腫をかいくぐって振り上げた拳からサイコキャノンをぶちかます。ゼロ距離攻撃のはずだったが、全く効いている様子が無い。
「きゃ!」
肉腫に弾かれて、封印の光と魔力の渦に飲みこまれたミリィは、体勢を立て直すことが出来ずに、封印の外に押し出された。
残ったウォーロックも、鞭のように攻め来る触手を切り落とすのが精一杯で、ルーゲイルの本体には、有効打を与えられないでいる。
吹き出す魔力はますます増加の一途を辿り、ついには擬人化して4人を襲い始めた。
「キャー! 助けてください! ミリィさーん!」
振り向くと、きゃっきゃ、きゃっきゃ、と慌てふためくサラが、持っていた魔力を集めて増幅させるロッドをフリフリしながら、擬人化した魔力から逃げまどっていた。
精霊のいないこの洞窟の中でのサラは、精霊魔術師としては全く役に立たない。多少の魔術は使えるが、魔王を前にしては役には立たないだろう。
魔術は、主に悪魔の力を利用して使用するものと、自然にある魔力を集めて使うものとの2種類がある。
悪魔との戦いで使う場合、相手よりも高位の悪魔でなければ、力を借りることは出来ない。例えば、不良グループをシメるのに、もやしっ子のケツ持ちを受けて呼び出しても意味が無いのと同じだ。
そもそも、そのもやしっ子は、校舎の裏には来てくれないだろう。呼び出した不良グループにシメられるのがオチだ。
後者の場合は、自然に漂っている薄い魔力を集めるだけだから、高位の悪魔や魔王にダメージを与えられるとほどの莫大な魔力量になりえない。だから、当然高度な魔術を発動できるはずがない。真綿を投げつけるようなものだ。
ラングのお陰で死なずに済んでいる状況のサラを、見捨てるわけにはいかない。封印から舞い戻ったミリィは、サラに襲い掛かる魔力の塊を撃ち飛ばす。
追い詰めたはずのミリィたちは打つ手を失い、いつの間にか追い詰められていた。
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