エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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殺人鬼の正体

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 「きゃ! きゃ! きゃ! ミリィさんだけ襲えばいいのにー!」
 「聞こえてるわよ、サラ!!」
 四方八方から襲い来る肉腫のせいで合流する事もままならない4人は、防戦一方で散り散りになってしまった。
 隙をついて弾丸のように飛び上がったルーゲイルの本体は、ウォーロックが展開していた結界を突き破って、脱出を試みる。
 何とかそれを阻もうと立ちはだかるミリィだったが、迫りくるルーゲイルの後ろから現れた枝分かれして触手化した肉腫に襲われ、身を守るので手一杯だ。ミリィはそれらを捌ききれず、すんでのところで逃してしまった。
 ミリィが叫ぶ。
 「みんな、あいつを放ってはおけないわ! なんとか捕まえて!!」
 風の精霊の加護を受けた4人は、ルーゲイルに劣らないスピードで砦があった岬の方に飛んだ。
 「アイツどうする気だ!?」と、ウォーロックがミリィに言った。
 「分からないわ。でもあのままじゃ、確実に崩壊するわよ」
 ウォーロックは、質問に答えたミリィの言葉を聞いて戦慄を覚えた。
 「神体が崩壊したら、ただじゃすまないぞ。下手をしたら、空間に穴が開いて、天使降臨なんてことになりかねん」
 「うぇ~! 怖い事いわないでくださいよ~!」とサラが震える。
 「そうならなくても、神体を憑代にして魔王や神の1体や2体が実体化しかねないわね」
 ミリィのダメ押しに、サラは泣き出しそうだ。
 「!?」
 目の前の空に、何かが群がっている。
 ラングが「天使だ!」と叫ぶと同時に、アリアが脳裏に響いた。咄嗟にサイコフィールドを展開するミリィは、天使の合間をぬって飛び続けながら、各個撃破で道を開く。
 「こいつら、みんな堕天使? まだこんなにいたなんて」
 撃ち漏らした天使をラングとウォーロックが切り落とし、サラが火水風土の精霊達に頼んで援護をする。
フィーリアン領で戦った天使たちと、ここにいる天使たちに力量の差は無い。出来損ないの様だ。
 地上をあちこち見渡しながら、ミリィが言った。
 「邪教団は何してるのよ!? これだけ天使がいるのになんで戦わないの!! 役に立たないわね!!」
 教団に属する高位の魔道士なら、十分戦えるだろう。ハーピーなどの魔獣も召喚できるのだから、これだけ数がいる天使も撃退できるはずだ。
 教団の本部がどこあるのかは分からないが、国境からそう遠くない場所にあるはず。にもかかわらず、地上から天使を迎撃する者は全くいなかった。


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