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男の友情
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壁の断面は扉と違い物凄く分厚い。もし、ラングが本気でソードウェーブを放ったとしても、2つの壁を破壊することは出来ないだろう。バースはいとも簡単にそれをやってのけた。もちろん地下を破壊しないよう手を抜いての話だ。
重量のあるバスタードソードを振り回しているにも関わらず、バースの剣速のほうがラングよりも速い。圧倒されつづけたラングは、とうとう負けてしまった。
「今日のところは俺の勝ちだが、お前は素質がある。次ぎ会う時には分からないな」
たまに、戦士同士は戦いの中で友情が芽生える。2人は第三者が立ち入れる世界にもういなかった。
「実は俺はフィーリアンの騎士なんだ。
旅をしていて一緒にいけないが、フィーリアンの騎士に剣を教えてはいただけないか? お礼はちゃんとする」
サーコートで隠していたフィーリアンの紋章を見せながら、ラングは爽やかな笑みを浮かべて言った。
「分かった。すぐに向かおう」
バースも爽やかな笑みを浮かべている。
そのやり取りを見た砦長が叫ぶ。
「ちょっと待て! 契約違反だぞ!!」
慌てふためく所長に、バースは笑って言った。
「俺は、お前との間にないものを手に入れた。それは、お前が払える以上の契約金――まだ貰っていないけど(笑)――と、何にも替えがたい美しい友情という美ものだ!!」
「そんなぁ」
砦長は騎士のようだから少しは抵抗してくるのかと思ったが、泣き叫ぶばかりで全く戦おうとしない。完全に無抵抗でお縄にされてしまった。
町に戻ったミリィたちは、駐屯する軍の屋敷に砦長を引き渡した。
「いやー、良い仕事をしたものね、わたしたち」
ジュースを飲みながら、ミリィが言う。
縛られた砦長を引き渡した際に一緒に渡した反乱計画の証拠を見たウィード王国の兵士は、すぐさま王室に人を走らせた。
ミリィたちは、陽がくれる前に騎士の部隊が砦に派遣されていくのを、屋敷の近くの料理屋から見送った。地下室に残っていた証拠品を押収しに行くのだろう。
4人は、ムーブルを治める男爵の城に招かれて、久々に豪華な一夜を過ごす事ができた。
翌日、早速フィーリアン王国に向かうことにしたバースに、握手を求めたラングが言った。
「これは、俺からの紹介状だ、王室の第八騎士団の団長に渡してくれ」
「ああ、分かった」
ウィード王国で軍用に飼育されていた小型の翼竜を借り受けて、バースは旅立った。
重量のあるバスタードソードを振り回しているにも関わらず、バースの剣速のほうがラングよりも速い。圧倒されつづけたラングは、とうとう負けてしまった。
「今日のところは俺の勝ちだが、お前は素質がある。次ぎ会う時には分からないな」
たまに、戦士同士は戦いの中で友情が芽生える。2人は第三者が立ち入れる世界にもういなかった。
「実は俺はフィーリアンの騎士なんだ。
旅をしていて一緒にいけないが、フィーリアンの騎士に剣を教えてはいただけないか? お礼はちゃんとする」
サーコートで隠していたフィーリアンの紋章を見せながら、ラングは爽やかな笑みを浮かべて言った。
「分かった。すぐに向かおう」
バースも爽やかな笑みを浮かべている。
そのやり取りを見た砦長が叫ぶ。
「ちょっと待て! 契約違反だぞ!!」
慌てふためく所長に、バースは笑って言った。
「俺は、お前との間にないものを手に入れた。それは、お前が払える以上の契約金――まだ貰っていないけど(笑)――と、何にも替えがたい美しい友情という美ものだ!!」
「そんなぁ」
砦長は騎士のようだから少しは抵抗してくるのかと思ったが、泣き叫ぶばかりで全く戦おうとしない。完全に無抵抗でお縄にされてしまった。
町に戻ったミリィたちは、駐屯する軍の屋敷に砦長を引き渡した。
「いやー、良い仕事をしたものね、わたしたち」
ジュースを飲みながら、ミリィが言う。
縛られた砦長を引き渡した際に一緒に渡した反乱計画の証拠を見たウィード王国の兵士は、すぐさま王室に人を走らせた。
ミリィたちは、陽がくれる前に騎士の部隊が砦に派遣されていくのを、屋敷の近くの料理屋から見送った。地下室に残っていた証拠品を押収しに行くのだろう。
4人は、ムーブルを治める男爵の城に招かれて、久々に豪華な一夜を過ごす事ができた。
翌日、早速フィーリアン王国に向かうことにしたバースに、握手を求めたラングが言った。
「これは、俺からの紹介状だ、王室の第八騎士団の団長に渡してくれ」
「ああ、分かった」
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