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黒魔導士の実力
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思ったとおり、砦は悪魔教に占拠されていた。
砦といっても、塀に囲まれた塔が一つと、木組み建築の平屋が幾つかあるだけ。監視だけが目的の小砦なので、軍備は無かったのかもしれない。
金目の物はありそうにも見えないし、ここにいる役人たちもまさか襲われるとは思っていなかっただろう。
ミリィたちは、すぐにでも踏み込んで囚われた人々を救いだしたかったが、状況は想像していたよりもはるかに悪い。
4人の頭上を神の火と魔術が飛び交い、管理所からは火の手が上がっている。
「・・・まーた厄介なことになってるわね」
茂みから顔を出したミリィは、落胆したような表情を見せた。
悪魔教のほうが押しているようだったので少し様子を見ていると、昨日戦った連中よりも高度な魔術が、これでもかというほどに連発されているのを目の当たりにさせられた。
なんか、とてもやばそうだ。ミリィたちは、下手に飛び出すこともできず、共倒れになることを望みながら、木陰に潜んで待つことにした。
ラングが生唾を飲む。
「さすが悪魔教だけあって、魔術は凄いな」
エンジェルはほぼ全滅したが、4体のプリンシパリティが、魔導士たちと緊迫した戦いを見せる。
「滅びよ、悪魔のしもべたち」(天使✕4)
「でき損ないのくせに、なめんじゃねー」(教徒大勢)
最大出力の神の火が、管理所を襲う。
『トルメア』
ズメホスの力を借りて作り出された魔界の領域は、澄み切った青い空に黒い布を広げたように出現し、神の火をあっさり遮る。
ミリィたちは驚嘆しながら黙視していると、バサバサと羽ばたく音が聞こえてきた。空を見上げると、勢いよくプリンシパリティに突っ込んでいくブラックバード(魔獣)の大群が見える。
魔獣までいるなんて、しゃれにならん。今のミリィにとっては格下の相手だが、あの量が相手では、話が変わる。しかも、ダークホースやハーピーなどが次から次へと南から飛んでくる。応援に駆けつけた魔導士たちの中に、召喚士がいるようだ。
この戦いを見るだけでも、悪魔教の規模の大きさを知らされる。
「行くわよ」
ミリィは急に立ち上がり、みんなを急かした。
「えぇ? あんな凄い人たちを戦うんですか!?」
「違うわよ。南に行けば、悪魔教のアジトがあるはずでしょ? そこが手薄になっている今のうちに、完膚なきまでに叩き潰すのよ」
「管理所の人々はどうするんだ?」
ラングが心配そうに尋ねる。
「放っておいても大丈夫でしょ」
そのとき、プリンシパリティが消滅していく。
「うそっ!? オーラ!!?」
ミリィのオーラよりも強力な上に、単体専用だと思われていた技で、4対同時に倒してしまった。
あっさりオーラで倒さなかったのを見ると、サイコエネルギーを食いすぎて、あまり使いたくない技であることは、ミリィと変わらないようだ。だが、こんな辺境の小国に、何故こんなに強い悪魔教団が存在するのだろう。
一番驚きを隠せないのは、ラングだった。死の大地が近いとはいえ、中央東部であるここら辺は比較的平和な地帯のはずだったからだ。
4人はアジトに行くのをやめ、応援に駆けつけた魔導士たちが去るのを待ち、砦に向かった。
砦といっても、塀に囲まれた塔が一つと、木組み建築の平屋が幾つかあるだけ。監視だけが目的の小砦なので、軍備は無かったのかもしれない。
金目の物はありそうにも見えないし、ここにいる役人たちもまさか襲われるとは思っていなかっただろう。
ミリィたちは、すぐにでも踏み込んで囚われた人々を救いだしたかったが、状況は想像していたよりもはるかに悪い。
4人の頭上を神の火と魔術が飛び交い、管理所からは火の手が上がっている。
「・・・まーた厄介なことになってるわね」
茂みから顔を出したミリィは、落胆したような表情を見せた。
悪魔教のほうが押しているようだったので少し様子を見ていると、昨日戦った連中よりも高度な魔術が、これでもかというほどに連発されているのを目の当たりにさせられた。
なんか、とてもやばそうだ。ミリィたちは、下手に飛び出すこともできず、共倒れになることを望みながら、木陰に潜んで待つことにした。
ラングが生唾を飲む。
「さすが悪魔教だけあって、魔術は凄いな」
エンジェルはほぼ全滅したが、4体のプリンシパリティが、魔導士たちと緊迫した戦いを見せる。
「滅びよ、悪魔のしもべたち」(天使✕4)
「でき損ないのくせに、なめんじゃねー」(教徒大勢)
最大出力の神の火が、管理所を襲う。
『トルメア』
ズメホスの力を借りて作り出された魔界の領域は、澄み切った青い空に黒い布を広げたように出現し、神の火をあっさり遮る。
ミリィたちは驚嘆しながら黙視していると、バサバサと羽ばたく音が聞こえてきた。空を見上げると、勢いよくプリンシパリティに突っ込んでいくブラックバード(魔獣)の大群が見える。
魔獣までいるなんて、しゃれにならん。今のミリィにとっては格下の相手だが、あの量が相手では、話が変わる。しかも、ダークホースやハーピーなどが次から次へと南から飛んでくる。応援に駆けつけた魔導士たちの中に、召喚士がいるようだ。
この戦いを見るだけでも、悪魔教の規模の大きさを知らされる。
「行くわよ」
ミリィは急に立ち上がり、みんなを急かした。
「えぇ? あんな凄い人たちを戦うんですか!?」
「違うわよ。南に行けば、悪魔教のアジトがあるはずでしょ? そこが手薄になっている今のうちに、完膚なきまでに叩き潰すのよ」
「管理所の人々はどうするんだ?」
ラングが心配そうに尋ねる。
「放っておいても大丈夫でしょ」
そのとき、プリンシパリティが消滅していく。
「うそっ!? オーラ!!?」
ミリィのオーラよりも強力な上に、単体専用だと思われていた技で、4対同時に倒してしまった。
あっさりオーラで倒さなかったのを見ると、サイコエネルギーを食いすぎて、あまり使いたくない技であることは、ミリィと変わらないようだ。だが、こんな辺境の小国に、何故こんなに強い悪魔教団が存在するのだろう。
一番驚きを隠せないのは、ラングだった。死の大地が近いとはいえ、中央東部であるここら辺は比較的平和な地帯のはずだったからだ。
4人はアジトに行くのをやめ、応援に駆けつけた魔導士たちが去るのを待ち、砦に向かった。
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