59 / 107
現人神
1
しおりを挟む
「ミリィさん!!」とサラが叫んだ。
「どういうことだ!? これは!!」
ラングも動揺を隠せない様子だ。
目の前に現れたものは紛れもなくミリィだったが、神剣と思われる真っ白い剣を右手に握っている。全身に青白い光をまとい、羽はないが、天使の体のような光の鎧を着たような姿になっていた。
「これはな――」と、マバドザールが口を開いた。「現人神といって、我らが主・天帝が、物質界支配のためにお生みになられた、神を模した新たなる子だ。お前たちは、これの力を試す、第一、第二、第三の犠牲者に選ばれたのだ」
舞い上がったミリィは、ウォーロックめがけて神剣を振り下ろす。それを受け止めたバフュメトウスは、物凄い魔力を発してミリィの剣に食いかかる。だが、力負けしたウォーロックは、勢いよく跳ね飛ばされた。
ウォーロックに一目を置いたルーゲイルが、バフュメトウスを目で追う。
「ほぅ・・・、どこへ消えたかと思えば、あの悪魔、剣に封じられていたのか」
現人神と化したミリィの力に、バフォメットは身の危機を感じて大量の魔力を発した。その量たるや持ち主のウォーロックさえ見たことがないほどだった。だかそれでもようやく折れずいることがやっとだった。密かに作られたまがい物とはいえ、現人神の力は、魔神バホメットを凌駕していた。
「ミリィさん、やめて!!」
ミリィはサラのほうを向いて近づいてくる。2人の間に入ったラングを簡単にあしらい、サラめがけて神剣が振り下ろす。
寸前で、サラの身を守った風の精霊たちは、今のミリィを味方とは認識せずに独断で攻撃に転じたが、ミリィの発する神霊力の前に消滅していく。
そのとき、ウォーロックがブルネットを唱え、バフュメトウスを振りかざし襲い掛かった。
ミリィはなんてことない様子でその髪を掴み、自分の腕に融合させ、逆にウォーロックを襲わせる。
「サラ! 攻撃しろ!!」
「でも・・・」
ラングは、ブルネットを断ち斬って続ける。
「サラ! こんなのを野放しにしていたら、フィーリアンどころか、近隣の町や村、力の低い国々も滅んでしまう!!」
「・・・」
「ミリィ殿のためにも、今倒さなければ・・・」
しかし、そう言いながらもラングは防戦一方で、攻撃する様子はない。
サラとウォーロックの2人がかりで結界を張ってもなお、ミリィの神霊気を防ぐのがやっと状態が続く。一方的に攻撃を受け続けて、ついには複数に張り巡らされた名もなき多重結界ごと吹き飛ばされた。
無防備に転げた3人に向け、ミリィは容赦なくソニックブームを撃ち放ってくる。
サラは除霊呪文を唱え、現人神の部分をはがそうとするが、何も起こる気配はない。ミリィの攻撃は延々と続いた。
「何をしても無駄じゃ!! 憑依しているのではなく、それでミリィ・グランディア自身じゃからな」
「くそっ!!」
前衛に出ていたウォーロックは、サラの気持ちを察してか、殺す気で剣を振るわなかった。そのため、一瞬のスキをつかれて大きく腹を裂かれ、のたうち回る。
外で騎士たちの治療をしていたエルフたちがようやく駆けつけ、ウォーロックの治療をし始めた。その間、サラとラングの2人でミリィの攻撃を防ぐ。
「ご・・・ごめんなさいミリィさん!!」
やっと決心のついたサラが攻撃に転じ、それを見たラングも、少しずつではあったが攻撃を加えるようになっていった。
「どういうことだ!? これは!!」
ラングも動揺を隠せない様子だ。
目の前に現れたものは紛れもなくミリィだったが、神剣と思われる真っ白い剣を右手に握っている。全身に青白い光をまとい、羽はないが、天使の体のような光の鎧を着たような姿になっていた。
「これはな――」と、マバドザールが口を開いた。「現人神といって、我らが主・天帝が、物質界支配のためにお生みになられた、神を模した新たなる子だ。お前たちは、これの力を試す、第一、第二、第三の犠牲者に選ばれたのだ」
舞い上がったミリィは、ウォーロックめがけて神剣を振り下ろす。それを受け止めたバフュメトウスは、物凄い魔力を発してミリィの剣に食いかかる。だが、力負けしたウォーロックは、勢いよく跳ね飛ばされた。
ウォーロックに一目を置いたルーゲイルが、バフュメトウスを目で追う。
「ほぅ・・・、どこへ消えたかと思えば、あの悪魔、剣に封じられていたのか」
現人神と化したミリィの力に、バフォメットは身の危機を感じて大量の魔力を発した。その量たるや持ち主のウォーロックさえ見たことがないほどだった。だかそれでもようやく折れずいることがやっとだった。密かに作られたまがい物とはいえ、現人神の力は、魔神バホメットを凌駕していた。
「ミリィさん、やめて!!」
ミリィはサラのほうを向いて近づいてくる。2人の間に入ったラングを簡単にあしらい、サラめがけて神剣が振り下ろす。
寸前で、サラの身を守った風の精霊たちは、今のミリィを味方とは認識せずに独断で攻撃に転じたが、ミリィの発する神霊力の前に消滅していく。
そのとき、ウォーロックがブルネットを唱え、バフュメトウスを振りかざし襲い掛かった。
ミリィはなんてことない様子でその髪を掴み、自分の腕に融合させ、逆にウォーロックを襲わせる。
「サラ! 攻撃しろ!!」
「でも・・・」
ラングは、ブルネットを断ち斬って続ける。
「サラ! こんなのを野放しにしていたら、フィーリアンどころか、近隣の町や村、力の低い国々も滅んでしまう!!」
「・・・」
「ミリィ殿のためにも、今倒さなければ・・・」
しかし、そう言いながらもラングは防戦一方で、攻撃する様子はない。
サラとウォーロックの2人がかりで結界を張ってもなお、ミリィの神霊気を防ぐのがやっと状態が続く。一方的に攻撃を受け続けて、ついには複数に張り巡らされた名もなき多重結界ごと吹き飛ばされた。
無防備に転げた3人に向け、ミリィは容赦なくソニックブームを撃ち放ってくる。
サラは除霊呪文を唱え、現人神の部分をはがそうとするが、何も起こる気配はない。ミリィの攻撃は延々と続いた。
「何をしても無駄じゃ!! 憑依しているのではなく、それでミリィ・グランディア自身じゃからな」
「くそっ!!」
前衛に出ていたウォーロックは、サラの気持ちを察してか、殺す気で剣を振るわなかった。そのため、一瞬のスキをつかれて大きく腹を裂かれ、のたうち回る。
外で騎士たちの治療をしていたエルフたちがようやく駆けつけ、ウォーロックの治療をし始めた。その間、サラとラングの2人でミリィの攻撃を防ぐ。
「ご・・・ごめんなさいミリィさん!!」
やっと決心のついたサラが攻撃に転じ、それを見たラングも、少しずつではあったが攻撃を加えるようになっていった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる