エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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戦争勃発

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 南の門からフィリスを出て、小さな林を馬で駆け抜けて空を見上げると、先ほど倒したのと同じ天使が沢山飛び回っている。小規模ながら天使降臨を再現したようだ。まさに戦争と呼べる状況だった。
 神の火が降り注ぐ中、サラたち王室第8騎士団の本体を見つけ合流した。
 城内の訓練施設で訓練が行われている時に天使が襲ってきたため、訓練に参加したラングは第八騎士団と共に出撃した、と国王から聞いていたサラは、必死にラングを探す。
 「サラ殿!!」
 ラングのほうが先にサラを見つけ、微笑みながら近づいてくる。だが、ミリィのことをを聞き、笑顔が消える。しかし、今は戦闘中だ。ミリィのことだけを考えていることは出来ない。
 すぐそこには、それが一体の天使のようでもある真っ白い城が、浮遊しながらゆっくりとフィーリアン城に向かって移動していた。
 飛竜隊が城に乗り込もうとするが、正門を守るドミニオンに阻止され、防戦を余儀なくされている。草原には、沢山の騎士や兵士が倒れていた。王室騎士団の編成は師団・・・、それから考えると、第8騎士団の半分以上は死んでしまったようだ。
 フィーリアン軍から見れば、壮絶な戦いに見えるが、天使のほうは本気で戦っている様子はない。どちらかといえば遊んでいるように見える。
 「ようこそ、サラ・ステスナー・・・、ミリィ・グランディアはこの中にいる。
  入る気があるなら入って来い」
 ルーゲイルの声が木霊する。
 「サラ殿、ラング、我々が援護するから、ミリィ殿を助けて来い!!」
 サラと一緒に来た騎士から詔書を受け取って、ある程度事情を知っていた第8騎士団団長は、まだ生きている騎士団2000余人を総動員して、2人の護衛を申し出た。
 「ドミニオンに気おつけろ! 他は、もっともクラスの低いエンジェルだけだ。無視して突っ込め!!」
 「分かりました!!」
 副団長の言葉を受けたサラは、意気揚揚と返事をした。
 神の火が降り注ぐ中、飛竜に乗った2人は、王室騎士のソードウェーブに守られながら、招くように扉が開く城に向かって、地面すれすれの低空飛行で突っ込む。
 王室騎士たちはソードウェーブで応戦し、霊力を上手く扱えないローナイトや最下級のプライヴェットクラスの兵士は、サラを中心とする突撃隊の盾となった。
 城のすぐ下で上昇した飛竜と同時に、城にへばりついていた45体のエンジェルたちが舞い降りてきて、神の火を放つ。
 門の前で、突撃隊に参加した全ての騎士がドミニオンに突っ込み、2人が城内に入るのを助けた。
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