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死の大地
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どのくらい歩いたか分からないが、地面には草が生い茂っているため、まだ死の大地に入っていないことだけは分かる。地図を見ると、遺跡までは2日ほど歩かないといけないので、細く長い木が数本生える場所で休むことにし、2人は座り込んだ。
口数の少ないミリィを心配して、サラが口を開いた。
「ラーミお婆の修行でわたしたちって相当強くなっているのに、やっぱりもっと強い人たちはいるんですね」
「そうね・・・」
「・・・? どうしたんですか?」
「なんか腑に落ちないのよね。レイドラードの手前であった男――、あれってアンデット系だったじゃない? 神族なのにアンデット系を使うなんて・・・」
「肉体を持っているからじゃないですか?」
「そうかもしんないけど」
先の最終戦争で神族は負け、統率姓のなくなった末端の天使がかってに物質世界に降臨するのは分かる。しかし、何故人間に近い肉体を持つものがいるのだろうか・・・。
天使は絵で見たことがあるし、国立図書館や本屋に置いている書物で、ある程度勉強している。しかし、天人の存在をミリィは知らなかった。
もしかしたら、最終戦争や天使降臨の際、人間の前に現れていないのかもしれない。そうなると、前線に出てくるタイプとは違う。ルーゲイルが言ったとおり、高位な存在なのだろう。
そして、何故自分の前に現れたのか・・・。
「・・・敵であることは、間違いないわね」
「そうともいえないな」
天人である前に人間なのか・・・、本当の意味はわからない。
いつのまにか眠ってしまったらしく、目がさめたときには、朝日が完全に昇った後だった。枯れ木を集めて火をつけ朝食の支度をしていた時、フィーリアンバケットの焼ける匂いに誘われサラが目覚めた。
「おはよーございます~」
2人はバケットと干し肉を食べ、すぐに出発した。
陽が暮れ始め、野宿に適した場所を探し始めていた頃、遠くに人工的な光を見つけた。地図を広げて確認したが、村や町の存在を表す印はない。まあ、地図を作った国から離れすぎていれば、こんなことはよくある。
そもそも地図をくれたフィーリアン王室はレイドラード市国から先に、地図を作るための調査団を送っていない。
フィーリアンにとって、レイドラードは国益に影響する国ではないらしいし、それより離れた場所になれば、虫食いだらけの地図になっても当然だろう。実際、地図によると、この辺りは森のはずだ。
40分ほどで2人は町についたが、何かあったのか厳重な警備がしかれている。ミリィは、自分の顔が念写されたパスポートを見せ、簡単に中に入る許可が下りた。だが、身分を証明する物のないサラは長々と尋問された。やっと中に入れる許可をもらえたのは、2時間後だった。
口数の少ないミリィを心配して、サラが口を開いた。
「ラーミお婆の修行でわたしたちって相当強くなっているのに、やっぱりもっと強い人たちはいるんですね」
「そうね・・・」
「・・・? どうしたんですか?」
「なんか腑に落ちないのよね。レイドラードの手前であった男――、あれってアンデット系だったじゃない? 神族なのにアンデット系を使うなんて・・・」
「肉体を持っているからじゃないですか?」
「そうかもしんないけど」
先の最終戦争で神族は負け、統率姓のなくなった末端の天使がかってに物質世界に降臨するのは分かる。しかし、何故人間に近い肉体を持つものがいるのだろうか・・・。
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もしかしたら、最終戦争や天使降臨の際、人間の前に現れていないのかもしれない。そうなると、前線に出てくるタイプとは違う。ルーゲイルが言ったとおり、高位な存在なのだろう。
そして、何故自分の前に現れたのか・・・。
「・・・敵であることは、間違いないわね」
「そうともいえないな」
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いつのまにか眠ってしまったらしく、目がさめたときには、朝日が完全に昇った後だった。枯れ木を集めて火をつけ朝食の支度をしていた時、フィーリアンバケットの焼ける匂いに誘われサラが目覚めた。
「おはよーございます~」
2人はバケットと干し肉を食べ、すぐに出発した。
陽が暮れ始め、野宿に適した場所を探し始めていた頃、遠くに人工的な光を見つけた。地図を広げて確認したが、村や町の存在を表す印はない。まあ、地図を作った国から離れすぎていれば、こんなことはよくある。
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