エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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天人

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 一気に畳み込もう、と2人は技を繰り出す。
 『サイコマグナム!!』
 『フレイム』
 サラの指先から火炎が放射され、サイコマグナムがそれを貫いて、ルーゲイルに迫る。続けてサラはファイアチェイス、ヘイルファングを浴びせつけ、サイコブレッドを連射したミリィは、最後にサイコショットをぶっ放す。
 ルーゲイルの姿は炎で見えない。何のアクションも見せないため、サラは様子を見ていた。燃え盛る炎の中に突き立てられた巨大な氷の牙の間から、ミリィが不気味に光る目を見つけたと思った瞬間、高位神術ヘブンズクロスが、2人めがけて打ち放たれた。
 サラを抱えて伏せたその上を光の十字架が通過し、数秒おいてから物凄い爆音がとどろいて、爆風が吹きつける。レイドラードの方角を振り返ると、巨大な十字の光の柱が立っていた。
 魂を爆発させ昇天させる法術で、生きる者は全て木端微塵に吹き飛んでしまう。爆風でえぐられた土の塊や木々が空に舞い上がり、消滅していくのが見えた。
 イグゼキュティヴガイアなど足元にも及ばない威力だ。十倍はある。後ろにあったはずの林は完全になくなってしまった。
 炎に身を包まれたままのルーゲイルが剣を引き抜く。ミリィたちが向き直ったときには、もう目の前にいた。しかし、なぜか剣を振り下ろすことなく、腕をゆっくりと下げる。一息ついたと思った瞬間、ミリィを蹴り上げサラを殴打した。
 「おいおい、もう少し楽しませてくれよ」
 今まで受けた攻撃が何事でもなかったかのように、平然とサラを殴り続ける。
 『オーラ!!』
 また自分を過剰評価してしまったミリィは、改めて身のほどを思い知らされ、自分が扱える最大のサイキックをルーゲイルに打ち付ける。だが、その身を包んだ小宇宙に、ほとんど分解されることなく、ルーゲイルはオーラを消し去る。
 「そう急かすな。後でゆっくり遊んでやる」
 『フ・・・フレイム』
 炎に紛れてルーゲイルから逃れたサラは、ミリィのところに向かいながらリカバリィで回復を試みるが、回復が遅い。
 「俺の体は、肉体と光体の中間的存在なのだ。
  そう簡単には回復しない・・・、お前はじわじわと殺してやる」
 そう言いながらサラに近づいていくと、背中めがけて勢いよく剣を振り下ろす。ミリィは、サイコブレードでその剣を受け止め何度も攻撃を加えるが、全て弾かれる。1分ともつことなく、ルーゲイルの気合を入れた声と共に、サイコブレードは断ち切られた。
 すぐさまレディソードを抜き斬り上げるが、かるく受け止められてしまった。思いっきり腹を蹴られたミリィは、ルーゲイルの頭上を越えて、受身もとれずに地面に叩きつけられた。

 「『世界生まれし時に生まれた 大いなる力
  天空と地上と青き水を奏でし 大いなる力
  右に破壊の刃 右に癒しの刃
  清めの衣を纏う 偉大なる風の王 わが声に耳傾けよ 
  破壊の刃もちいて わが前に跪かせ』
  ミリィさん、離れてください!!」

 構えた両腕を振り下ろすと、ルーゲイルを威嚇する風はいっそう激しさをまし、風の王召喚が発動した。
 しばらくして激しい暴風はやみ、辺りに静けさが戻った。・・・が、二人に平穏は戻らなかった。体中を切り刻まれ大量の血を流しながらも、ルーゲイルはそこに立っていたからだ。


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