エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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エルフ

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 光体のように透き通った白い光を放つ部屋があった。長い楕円形のテーブルの端に、3人の羽のない天使のような男達が座り、宙に浮く水銀のような水晶球を眺めていた。それにはバジェル戦の光景がリアルタイムで映っていた。
 「まさか、本当にあれにするのか? 次に捕獲する実験台は・・・」
 「あぁ、現段階の力なら、我々の力で何とかなる」
 「しかし、今にも死にそうではないか、殺してしまっては使い物にならないのじゃぞ! 分かっておるのか?」
 「分かっているさ。持ち駒を2体も失ったのは痛いが、あれで死ぬようでは、器もたかが知れている」
 「では、これで決まりじゃ・・・」

 あれから一週間がたった。ミリィは、城の医務室で眠りつづけている。
 天使との激戦で受けたダメージ、使った霊力は膨大なものであり、生を維持できるギリギリに達していた。城にいた全ての術師が、24時間交代で霊力を注ぎ込んだおかげで、やっと峠を超え、一応安心できる状態になった。
 「ミリィさん、いつになったら起きるのかな・・・、もしかしたらこのまま・・・」
 「縁起でもないこと言うな!!」
 ラングが一喝する。
 「そ、そうですよね!? そういえば初めて会ったとき死にかけてロヘロだったのに、サイキックを何回も使って生きてたゴキブリみたいな人ですからね!!」
 ミリィのオデコに血管が浮き出る。
 「後は医師の私に任せて、城下に出るといいわ、気分転換になるし」
 「・・・はい、後をお願いします」
 ミリィのことを女性医師に任せて、2人は部屋を後にした。
 天使との戦いがあったことなど忘れてしまったかのように、城下はいつもの賑わいを見せている。
 「天使と戦ったんじゃろ? 偉いねぇ~、あんたらのおかげで、わしらは生きられてるんじゃよ」
 サラたちの顔は知らずとも、天使と戦った勇敢な者がいるという噂は町中に広まっていた。全身に包帯を巻いたラングを見ると、多くの人々が話し掛けてくる。そのたびにミリィのことを思い出し、笑いを見せながらも俯いてしまう。
 結局、ミリィのことが気になり、城の医務室へ戻ることにした。だが、やはりミリィは目覚めていない。
 「もう、体にも魂にも霊力が満たされてるし、頬にも赤味が差しているから、じき目を覚ますわ」
 医師はそう言ったが、それからまた3日が過ぎた。サラは、いっこうに目を覚まさないミリィを付きっ切りで看病し、何度も話し掛けるが何も返事は返ってこない。大粒の涙を浮かべながら、ずっと名前を飛びつづけた。
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