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天使との遭遇
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ドミニオンは必死にサラの精霊呪文を阻止に行こうとし、周りに群がる騎士たちを払いのけようと躍起になっている。
「サッ、サラ殿早く!!」
邪霊獣や下級騎士と違い、王室騎士たちはさすがに根性を見せ、ドミニオンの足を止めていた。もっと早く全滅すると思われたが、痙攣を起こす足を必死に御し、もう少しはもってくれそうだ。
『わが声に耳傾ける 偉大なる自然の王たち
わが声に共鳴せよ 数多なる大自然の力
始まりと共に生まれ 今もなお在り 終わりまで在るその力
この身の剣 この身の盾とするために 今ここに召還す
わが前に風の王シーフ
わが後に地の王ノーム
わが右に火の王サラマンダー
わが左に水の王ウンディーヌ――』
サラを中央にした魔方陣と、それを取り巻く四つの魔方陣、そして、それらを包み込む1つの巨大な魔方陣エルメンタルズが、それぞれの王の眷属である精霊たちによって、形成されていった。空高く舞い上がったサラの周りを囲むように、球体の魔法陣が作られ、それを構成する光よりなお濃い光で、精霊文字が走り出す
最初に作られた前後左右にある魔方陣の中で、竜巻、地割れ、炎、氷結水が、発動を急かすように荒れ狂っている。
空がどんよりとした黒い雲に覆われているのを見て、大気に影響を与えるほど強力な精霊呪文であることが窺える。ドミニオンは生まれて始めて恐怖を感じた。
『――ここに集いし 偉大なる汝ら
今こそその力一つにし
我が振るうこぶしと共に すべてものを薙ぎ払え!!』
その言葉と共に振り下ろされたこぶしに反応して、風の中でいっそう燃え上がる炎、岩が氷結し刃となった氷塊、地割れが走り、その底から炎の中でマグマと化した岩石が噴出し、ドミニオンに襲い掛かる。
「なっ? 我々も巻き込むつもりか!?」
轟音に振り向いた騎士たちの目に飛び込んできたのは、視界一杯に広がる大自然の脅威を凝縮した力だった。
「よっしゃぁー! この程度なら防げるかも!!」
ガッツポーズをとるドミニオンを見て、騎士たちは二重の絶望に打ちひしがれた。
「そんな!! それじゃあ、我々は無駄に犬死するだけか!?」
悲観視する騎士たちの中で、ラングだけは楽観視している。
「いや、大丈夫だと思いますよ」
「ラング、貴様!! どう見たって死ぬだろう!? あれじゃぁー!? 何を根拠――」
1人の騎士が嘆き叫び終わる前に、自然王の力に飲みこまれてしまった。
ズドドドドドドドーン!!
「どゎぁ~!! フィーリアンに栄光あれ~――」
太古の息吹を見ているかのような壮大さだった・・・なんてミリィは思いながら、サラに歩み寄っていった。
「サッ、サラ殿早く!!」
邪霊獣や下級騎士と違い、王室騎士たちはさすがに根性を見せ、ドミニオンの足を止めていた。もっと早く全滅すると思われたが、痙攣を起こす足を必死に御し、もう少しはもってくれそうだ。
『わが声に耳傾ける 偉大なる自然の王たち
わが声に共鳴せよ 数多なる大自然の力
始まりと共に生まれ 今もなお在り 終わりまで在るその力
この身の剣 この身の盾とするために 今ここに召還す
わが前に風の王シーフ
わが後に地の王ノーム
わが右に火の王サラマンダー
わが左に水の王ウンディーヌ――』
サラを中央にした魔方陣と、それを取り巻く四つの魔方陣、そして、それらを包み込む1つの巨大な魔方陣エルメンタルズが、それぞれの王の眷属である精霊たちによって、形成されていった。空高く舞い上がったサラの周りを囲むように、球体の魔法陣が作られ、それを構成する光よりなお濃い光で、精霊文字が走り出す
最初に作られた前後左右にある魔方陣の中で、竜巻、地割れ、炎、氷結水が、発動を急かすように荒れ狂っている。
空がどんよりとした黒い雲に覆われているのを見て、大気に影響を与えるほど強力な精霊呪文であることが窺える。ドミニオンは生まれて始めて恐怖を感じた。
『――ここに集いし 偉大なる汝ら
今こそその力一つにし
我が振るうこぶしと共に すべてものを薙ぎ払え!!』
その言葉と共に振り下ろされたこぶしに反応して、風の中でいっそう燃え上がる炎、岩が氷結し刃となった氷塊、地割れが走り、その底から炎の中でマグマと化した岩石が噴出し、ドミニオンに襲い掛かる。
「なっ? 我々も巻き込むつもりか!?」
轟音に振り向いた騎士たちの目に飛び込んできたのは、視界一杯に広がる大自然の脅威を凝縮した力だった。
「よっしゃぁー! この程度なら防げるかも!!」
ガッツポーズをとるドミニオンを見て、騎士たちは二重の絶望に打ちひしがれた。
「そんな!! それじゃあ、我々は無駄に犬死するだけか!?」
悲観視する騎士たちの中で、ラングだけは楽観視している。
「いや、大丈夫だと思いますよ」
「ラング、貴様!! どう見たって死ぬだろう!? あれじゃぁー!? 何を根拠――」
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ズドドドドドドドーン!!
「どゎぁ~!! フィーリアンに栄光あれ~――」
太古の息吹を見ているかのような壮大さだった・・・なんてミリィは思いながら、サラに歩み寄っていった。
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