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1 出会い
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オカッパ少女は、満面の笑みを浮かべている。生死を分けるこの状況がわからんのか!!? とミリィは視界に入ってくる笑顔に漠然とムカツキながらも、幻影ではないかと疑い、目を凝らして、よぉ~く見た。
オカッパ少女が言う。
「助けてほしいの? 貴女」
見るからに貧弱そうなその女の子の声で、ミリィは我に返った。そこには確かに人がいる。助けてくれるなら、誰でもいい。その女の子の問いかけに、何度も頷いて叫んだ。
「うんっうんっうんっ!! お願いだから、助けて~!!!」
問いに対する答えを聞いた女の子は、急に悲しげな目になって目線をそらし、口元に左手を添えて、嘆いた。
「ごめんなさい、わたしケンカ弱いの、助けてあげられないわ!!
あぁ・・・、なんてひ弱なわたし、おぉ大自然の王よ、こんなわたしをお許しください!!
うっ、ううっ・・・(泣)」
何なんだこの女は!! さすがにブチギレそうだ。
「何故泣く? 何故ついてくる? っていうか、あんた何なのよ~!!?」
ちょっと怒ったと感じ取った女の子は、慌てて答えた。
「そっ、それは、貴女が追われていたから・・・、それとわたしはサラ、サラ・ステスナーです。貴方のお名前はなぁに?」
その場を取り繕うとしたサラと名乗る少女の問いに、一瞬、その場の空気がのほほん、とした。
「わたしはミリィ、ミリィ・グランディア、ヨロシク・・・、って! 違うわよ!!
トロルごときに勝てないくせに、なにしゃしゃり出てくんのよ~!!」
もう我慢の限界だ。たまった疲労も忘れて、サラを怒鳴りつけた。
「ムカッ! なによっ!! そんな言い方ないじゃない!!」
無害そうな顔をしたサラは、予想に反して反論してきた。
「なっ、開き直ったな? コイツ」
ミリィは、なんやねん、といった面持ちでサラをにらんだ。
景色がスピード線化した視界の中で、少し間抜けなサラをまじまじと見ると、始めて見るタイプのレイピアを腰にぶら下げている。柄と鞘は、植物のツタのような銀細工で彩られており、結構立派そうだ。
「あんた、剣持ってんじゃないの!!」
ミリィは、ちょっと助かったと思って、ホッとした。
「えっ? あぁ、わたし、なんちゃって剣士なんです(笑)」
サラは、テヘヘ、と頭をかいて、少し照れくさそうだ。
「なんて紛らわしい」
もうバカバカしい、こんな奴は無視するに限る、とミリィはそっぽを向いた。その顔を覗き込むようにして、サラが反撃。
「そう言う貴女だって、なんちゃって剣士じゃない、トロル程度で逃げてさ?」
ミリィ以外の誰かに言うかの如く、チクチクと刺すように言う。
「わたしは単に、3日間何も食べてないからよっ」
その言葉と同時に、お腹がぐぅぅぅぅぅ。
「やーねぇー、サラちゃんったら。こんなときに」
超恥ずかしかった。自分で3日間、何も食べていないと言った後で、誤魔化せるはずも無い。そもそも2人しかいないのだから、お腹の鳴らなかったサラから見れば、ミリィだとすぐに分かるはずだが、そこはサラ・・・、ちょっとあれなもんだから、慌てに慌てた。
「ななななななっ!! なに言ってるんですか!? こんな可愛いわたしを捕まえて!!」
両手でポカポカとミリィを叩きながら、顔を真っ赤にして言った言葉を聞いて、ミリィの心に、グサッ、と鎌でえぐられたような激痛が走った。自分が可愛くない、と言われているような気がして、またムカついてきた。自慢じゃないが、実家のあるトランストリアという都市の美女コンテストで、優勝しているのに。
・・・、まあ、8歳のときだけど・・・。
ミリィの人生で唯一、表舞台で表彰された出来事だった。
オカッパ少女が言う。
「助けてほしいの? 貴女」
見るからに貧弱そうなその女の子の声で、ミリィは我に返った。そこには確かに人がいる。助けてくれるなら、誰でもいい。その女の子の問いかけに、何度も頷いて叫んだ。
「うんっうんっうんっ!! お願いだから、助けて~!!!」
問いに対する答えを聞いた女の子は、急に悲しげな目になって目線をそらし、口元に左手を添えて、嘆いた。
「ごめんなさい、わたしケンカ弱いの、助けてあげられないわ!!
あぁ・・・、なんてひ弱なわたし、おぉ大自然の王よ、こんなわたしをお許しください!!
うっ、ううっ・・・(泣)」
何なんだこの女は!! さすがにブチギレそうだ。
「何故泣く? 何故ついてくる? っていうか、あんた何なのよ~!!?」
ちょっと怒ったと感じ取った女の子は、慌てて答えた。
「そっ、それは、貴女が追われていたから・・・、それとわたしはサラ、サラ・ステスナーです。貴方のお名前はなぁに?」
その場を取り繕うとしたサラと名乗る少女の問いに、一瞬、その場の空気がのほほん、とした。
「わたしはミリィ、ミリィ・グランディア、ヨロシク・・・、って! 違うわよ!!
トロルごときに勝てないくせに、なにしゃしゃり出てくんのよ~!!」
もう我慢の限界だ。たまった疲労も忘れて、サラを怒鳴りつけた。
「ムカッ! なによっ!! そんな言い方ないじゃない!!」
無害そうな顔をしたサラは、予想に反して反論してきた。
「なっ、開き直ったな? コイツ」
ミリィは、なんやねん、といった面持ちでサラをにらんだ。
景色がスピード線化した視界の中で、少し間抜けなサラをまじまじと見ると、始めて見るタイプのレイピアを腰にぶら下げている。柄と鞘は、植物のツタのような銀細工で彩られており、結構立派そうだ。
「あんた、剣持ってんじゃないの!!」
ミリィは、ちょっと助かったと思って、ホッとした。
「えっ? あぁ、わたし、なんちゃって剣士なんです(笑)」
サラは、テヘヘ、と頭をかいて、少し照れくさそうだ。
「なんて紛らわしい」
もうバカバカしい、こんな奴は無視するに限る、とミリィはそっぽを向いた。その顔を覗き込むようにして、サラが反撃。
「そう言う貴女だって、なんちゃって剣士じゃない、トロル程度で逃げてさ?」
ミリィ以外の誰かに言うかの如く、チクチクと刺すように言う。
「わたしは単に、3日間何も食べてないからよっ」
その言葉と同時に、お腹がぐぅぅぅぅぅ。
「やーねぇー、サラちゃんったら。こんなときに」
超恥ずかしかった。自分で3日間、何も食べていないと言った後で、誤魔化せるはずも無い。そもそも2人しかいないのだから、お腹の鳴らなかったサラから見れば、ミリィだとすぐに分かるはずだが、そこはサラ・・・、ちょっとあれなもんだから、慌てに慌てた。
「ななななななっ!! なに言ってるんですか!? こんな可愛いわたしを捕まえて!!」
両手でポカポカとミリィを叩きながら、顔を真っ赤にして言った言葉を聞いて、ミリィの心に、グサッ、と鎌でえぐられたような激痛が走った。自分が可愛くない、と言われているような気がして、またムカついてきた。自慢じゃないが、実家のあるトランストリアという都市の美女コンテストで、優勝しているのに。
・・・、まあ、8歳のときだけど・・・。
ミリィの人生で唯一、表舞台で表彰された出来事だった。
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