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乳飲み子
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幕末には清国がアヘン戦争で敗れて、香港を割譲させられている。長い東アジアの文明の中で常に最強であり、政治や文化の中心地であり続けた中華。広大な国土を有して欧州の帝国からも一目を置かれていた帝国。
眠れる獅子と恐れられて、イギリスもフランスも手を出さなかったが、アヘン戦争で張子であった事が露見すると、東アジアの情勢を窺っていた帝国は東アジアを襲い始めた。
ギリギリの所で日本は植民地の悲劇を免れる事が出来たが、それは偶然ではない。幕府も討幕勢力も早い段階から日本の危機的状況を察していて、早急に新しい政治体制を構築しようとしていた。
薩長の流れをくむ現在の政府において、朝敵でもある幕府の施策を良い様には教えてこなかったが、幕府側も幕藩体制の見直しには着手していた。明治新政府と同じ体制になるか否か、成功したか否かは置いといて、日本は馬鹿ではなかった。
もともと、200年以上内外戦争を経験しない平和な時代が続いたおかげで、日本人の民度は世界的に見て相当高い。江戸時代には上下水道が江戸市中に整備されていたし、100万都市と言われるまでに成長している。
貧しい農民も文字が読めるなんて事は、当時世界一の文明国であった欧州の国々でも稀であろう。
幕末から明治に日本を旅行した多くの欧米人は、日本人の勤勉さや心の豊かさを賛美し、多くの手記を残している。貧しい老婆が平仮名の手紙をやり取りしているとか、子供がおふれが書かれた看板を呼んだとかの類の話は、結構残っていた。
徳川慶喜公は聡明なお方だ。あくまで徹底抗戦を叫ぶ主戦派の神輿に乗る事はしなかった。錦の御旗を掲げて迫りくる薩長の軍勢を前にして、少ないお供を連れて大阪城から脱して、江戸へ戻った。
この行動は慶喜公を低評価にする要因になっているが、徳川の統領が立ち続ければ内戦は泥沼化し、江戸は火の海と化していただろう。そうなれば、もはや日本は立ち直るための政治機構を失い、英仏に分割されていた。
ロシア帝国の軍船が北海道付近に出没していた時期だから、北海道と青森辺りは取られて、3分割になっていたかもしれない。
日本にいた時は、考えもしなかった。何故我が国は軍国主義化してしまったのだろう。
幕末、風前の灯であった日本は、その運命に抗い脱することが出来た。明治期を生きた先人は重税に喘ぎ、血へどを吐くような思いをして、富国強兵の実現へまい進した。
結果として脱亜入欧を果たした日本は慢心し、昭和を生きる我々は、あたかも選ばれた民であるかの様に振る舞っている。そのような心を持ってアジアを見るようになってしまった。愚かしい限りである。外国に出た事によって、私の目は少し洗われたようだ。
眠れる獅子と恐れられて、イギリスもフランスも手を出さなかったが、アヘン戦争で張子であった事が露見すると、東アジアの情勢を窺っていた帝国は東アジアを襲い始めた。
ギリギリの所で日本は植民地の悲劇を免れる事が出来たが、それは偶然ではない。幕府も討幕勢力も早い段階から日本の危機的状況を察していて、早急に新しい政治体制を構築しようとしていた。
薩長の流れをくむ現在の政府において、朝敵でもある幕府の施策を良い様には教えてこなかったが、幕府側も幕藩体制の見直しには着手していた。明治新政府と同じ体制になるか否か、成功したか否かは置いといて、日本は馬鹿ではなかった。
もともと、200年以上内外戦争を経験しない平和な時代が続いたおかげで、日本人の民度は世界的に見て相当高い。江戸時代には上下水道が江戸市中に整備されていたし、100万都市と言われるまでに成長している。
貧しい農民も文字が読めるなんて事は、当時世界一の文明国であった欧州の国々でも稀であろう。
幕末から明治に日本を旅行した多くの欧米人は、日本人の勤勉さや心の豊かさを賛美し、多くの手記を残している。貧しい老婆が平仮名の手紙をやり取りしているとか、子供がおふれが書かれた看板を呼んだとかの類の話は、結構残っていた。
徳川慶喜公は聡明なお方だ。あくまで徹底抗戦を叫ぶ主戦派の神輿に乗る事はしなかった。錦の御旗を掲げて迫りくる薩長の軍勢を前にして、少ないお供を連れて大阪城から脱して、江戸へ戻った。
この行動は慶喜公を低評価にする要因になっているが、徳川の統領が立ち続ければ内戦は泥沼化し、江戸は火の海と化していただろう。そうなれば、もはや日本は立ち直るための政治機構を失い、英仏に分割されていた。
ロシア帝国の軍船が北海道付近に出没していた時期だから、北海道と青森辺りは取られて、3分割になっていたかもしれない。
日本にいた時は、考えもしなかった。何故我が国は軍国主義化してしまったのだろう。
幕末、風前の灯であった日本は、その運命に抗い脱することが出来た。明治期を生きた先人は重税に喘ぎ、血へどを吐くような思いをして、富国強兵の実現へまい進した。
結果として脱亜入欧を果たした日本は慢心し、昭和を生きる我々は、あたかも選ばれた民であるかの様に振る舞っている。そのような心を持ってアジアを見るようになってしまった。愚かしい限りである。外国に出た事によって、私の目は少し洗われたようだ。
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