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二年生の一学期
第百三十九話 過去に出会った未来の姿
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佇立した春樹の存在そのものに、一同の視線が集まる。
「たった一泊しただけなのに、まるで浦島太郎だな。文明の利器に驚かせられるぜ」
黒磯駅前に伸びる目抜き通りのある銀行の前でタクシーを降りた五人が、途中のお土産屋さんで色々と買ってからタクシーロータリーまで戻ってきた時に、彼が右側に聳え立つ図書館を見上げて唐突に言った。
前を歩む女子三人が彼の視線の先を見やると、最後尾の務もつられて見やりながら微笑む。
「いい環境だったからね。川のそばでバーベキューしたり森林浴したから、たっぷりマイナスイオンを浴びているだろうし、無垢の木のいい香りに包まれながら一晩眠ってストレス解消にもなったし」
「ああ確かに。特に俺なんかは人工物の中に住んでるからな。商店のジャングルの中に群衆がもさもさと生い茂っているかのような」
背伸びをしながら背中に両手をあてがって上半身をぐるぐると左右に回す春樹の軸となった腰のベルトループを奈緒たちが見やると、彼が三人をちらりと見返してきた。
「意外に桜はないもんだな。東京にいると、必ずどこかで群生してんじゃん」
「群生ってわけじゃないでしょ、ソメイヨシノは野生に存在しないんだから」南が答える。
「まあそうだけど、いろんなところに植えられているだろ、学校だけじゃなくてさ。並木道になってたりすんじゃん。必ずそこかしこにあるだろ。それが散々探して、街では一本も見つけられなかったんだ。だから桜を見つけた時はひとしおだったろ。たくさん植わってたところは敷地に入れなかったけどきれいだったし、保育園のそばの八重桜なんかふくよかでよかったし。なんで桜って、見るとあんなに感動するんだろうな。黒磯も聞いていたよりだいぶいいところだし、また来るかな。レトロな感じの横丁見に行きたいし」
春樹が胸の前で組んだ腕に浮き出た筋肉の筋に、杏奈の目が奪われた。
「でもつつじはきれいだったわね。結構どこにでも咲いていたし」
反対側へつながる連絡路へと向かいながら、芝生越しに目抜き通りを見やった春樹の背中に、南が諧和的な微笑を送る。
「まあ、心残りがなくてよかったよ。黒磯を代表してお礼する。そう思ってくれてありがとう」
「どういたしましてだけど、お前には散々騙されたからな。そもそも黒磯市民を敵に回した東京出身のちみ[君]が、黒磯を代表させてもらえるのか怪しいぞ」
あてこする春樹に、南が口惜しそうに呟く。
「まだゆーか、罪は全部擦り付けたはずなのに」
「たった一泊しただけなのに、まるで浦島太郎だな。文明の利器に驚かせられるぜ」
黒磯駅前に伸びる目抜き通りのある銀行の前でタクシーを降りた五人が、途中のお土産屋さんで色々と買ってからタクシーロータリーまで戻ってきた時に、彼が右側に聳え立つ図書館を見上げて唐突に言った。
前を歩む女子三人が彼の視線の先を見やると、最後尾の務もつられて見やりながら微笑む。
「いい環境だったからね。川のそばでバーベキューしたり森林浴したから、たっぷりマイナスイオンを浴びているだろうし、無垢の木のいい香りに包まれながら一晩眠ってストレス解消にもなったし」
「ああ確かに。特に俺なんかは人工物の中に住んでるからな。商店のジャングルの中に群衆がもさもさと生い茂っているかのような」
背伸びをしながら背中に両手をあてがって上半身をぐるぐると左右に回す春樹の軸となった腰のベルトループを奈緒たちが見やると、彼が三人をちらりと見返してきた。
「意外に桜はないもんだな。東京にいると、必ずどこかで群生してんじゃん」
「群生ってわけじゃないでしょ、ソメイヨシノは野生に存在しないんだから」南が答える。
「まあそうだけど、いろんなところに植えられているだろ、学校だけじゃなくてさ。並木道になってたりすんじゃん。必ずそこかしこにあるだろ。それが散々探して、街では一本も見つけられなかったんだ。だから桜を見つけた時はひとしおだったろ。たくさん植わってたところは敷地に入れなかったけどきれいだったし、保育園のそばの八重桜なんかふくよかでよかったし。なんで桜って、見るとあんなに感動するんだろうな。黒磯も聞いていたよりだいぶいいところだし、また来るかな。レトロな感じの横丁見に行きたいし」
春樹が胸の前で組んだ腕に浮き出た筋肉の筋に、杏奈の目が奪われた。
「でもつつじはきれいだったわね。結構どこにでも咲いていたし」
反対側へつながる連絡路へと向かいながら、芝生越しに目抜き通りを見やった春樹の背中に、南が諧和的な微笑を送る。
「まあ、心残りがなくてよかったよ。黒磯を代表してお礼する。そう思ってくれてありがとう」
「どういたしましてだけど、お前には散々騙されたからな。そもそも黒磯市民を敵に回した東京出身のちみ[君]が、黒磯を代表させてもらえるのか怪しいぞ」
あてこする春樹に、南が口惜しそうに呟く。
「まだゆーか、罪は全部擦り付けたはずなのに」
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