FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🛀

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 春樹の次にお風呂に入った務が戻ってくると、南が杏奈と奈緒を見やる。そこですかさず奈緒が提案した。
「三人で入ろう。お風呂おっきいって。春樹君の 話では」
「覗かれないかしら?」
 杏奈から疑念の眼差しを送られて視線をさまよわせる春樹を、南が胡乱げな瞳で見やる。務も他人事のように彼を見た。
 堪らず春樹が口を開く。
「鍵閉まんだろうよ。窓だって羽みたいなのが重なったやつだったし、心配いらねーだろ」
「いや、天井の蓋から覗かれるかも」南が冷たい目尻の端に春樹を捉えて言う。
「そんなうがった見方しなくても。そんなに不安なら入らなければいいだろ。そもそもどうやって天井裏に入んだよ、ねーぞそんなもん」
 みんなが上を見上げる。確かに無さそうだ。風呂はユニットバスなので、そこだけ天井裏ができてしまっているのだろうが。
「それじゃあ、三人でお風呂に入ろー、おー」
 奈緒が、安心した様子で喊声を上げると、南から送られた視線を送り返した杏奈が、「わたしは構わないけど」と答えた。
 奈緒が、唇を花のように咲かせる。
「じゃあ寝てくるねじゃなくて、お風呂だね」そう言って立ち上がった。
 お風呂場には三畳くらいの脱衣所があって、浴室はユニットバスながらも三人が入れる程度の浴槽も備え付けられている。
 服を脱ぐ杏奈の背中に向かって、奈緒が言った。
「杏奈ちゃん、スタイルいいね。脂肪がなくて 羨ましい」
「なさ過ぎて困っているくらいだよ。いくら食べても太らないし、胸ないし。スタイルだったら成瀬さんや小沢さんのほうが断然いいと思うよ」
「わたしは、病気なので、持ち腐れです」
 奈緒が自虐ネタで笑うと、南がフォローを入れる。
「病気って言ったって、もうだいぶ動けるようになってきたじゃない。高校入ってからまだ一年と経っていないのに、振り返るとだいぶ変わってきたと思うよ。いつか元に戻るんじゃないの?」
「右手は もう 動か ない。昔転んだ時に 骨折して、開か な い」
 肩を落とす奈緒に、二人は言葉をかけるかどうかためらう様子を見せたが、かける言葉を見つけられなかったのかアイコンタクトをとった。そして、なんとか言いごまかして浴室へと移動する。
 三人で薄桃色の肌を洗いっこしてから、一緒に浴槽につかった直後、お湯の中で揺らぐ紫色の蝶を見つけて、杏奈がぎょっとする。
「あれ、それ……」
「ああ、タトゥー、若気の至りってやつ?」
 南が体をひねって、丸くて大きな胸の膨らみの下にある、彼女の視線の先を見下ろして、卑下するように、悲し気な照れ笑いを漂わせる。左乳房の斜め下あたりに、濃淡ある紫色の入れ墨があった。




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