FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

👖

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 賑やかな食事が終わって、食器を片して戻ってきた南におばあちゃんが、苦言めいた口調で注意を促す。
「これ、南。なんですかその膝は。破れているじゃないの。お金あげるから、あとで西朋[大手スーパーの名前]で買ってらっしゃいな」
「いいよ、これはファッションなんだから。今ちまたではやってるの。学校のみんなだって、こういうの穿いてるから、気にしないで」
 おばあちゃんがみんなの膝を見やる。務のベージュチノ、春樹の青色デニム、奈緒の水色デニムの膝、どれもきれいでほつれすらない。
「誰も破れていないけれどね」
「いいの、いいの。系統が違うから」
 南は、紺のダメージデニムからのぞく膝を掻きながら笑う。
 おばあちゃんはため息をついて、話題を変えた。
「そうだ、さっき、ピザの話が出たけど、いい機会だから、帰るまでに食べてらっしゃいな。美味しいから」
「おばあちゃん食べたんだ。ずいぶんとハイカラだね」
 そう言った孫娘に続いて、杏奈もおばあちゃんに答える。
「わたしたち、パン屋さんの隣のカフェには寄ったんです」
「あそこもいいねぇ。ホットサンドやなんかがあって、コーヒーも美味しいし。おトイレは入った?」
 みんなが首を横に振るのを見てから続けて、
「おトイレに枯れ葉のかたつむりの置物があって、それがとてもきれいだわ。あれは見なきゃだめ。一日中見ていられるほど、うっとりしちゃうから」
 奈緒が慌ててみんなに叫びかける。
「行くよね、帰りに行くよね? ぜったいよ、ね?」
 お昼を食べたばかりだというのに食欲のスイッチが入ったくいしんぼを笑うみんなの声がおさまると、おばあちゃんが南に訊いた。 
「このあと、どうするの?」
「今日はのんびりして――じゃない。この間のお礼に来たの。東京みやげの雷おこし渡して、ちょっと部屋のお掃除とか手伝おうかなって。でも日々の掃除も必要なさそうなくらいきれいだね」
「お姑に仕込まれたからね。骨の髄までしみ込んでいるから、一人になった今もちゃんとこなすわよ。だから気にしなくていいわ、ゆっくりしておいき」
「わたしたち、畑の“草むりり”手伝い ます」奈緒が手を上げる。




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