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二年生の一学期
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白地に紺色の小さな花がめいっぱいえがかれた柄のたすきかけエプロンをキッチンにおいて戻ってきたおばあちゃんが、青い和木綿で花柄のTシャツを直しながら和室に上がって、奈緒に言った。
「いやですよ、下手な絵なのにそんなに見られたら、恥ずかしくてしょうがないでしょ」
「そ ん な こ と ないです。わ た し は、身体 障がい 者 なので、ごめん な さ い。言葉が上手く 出ない。だから、なんて 言って いいか分からな い。とても、お上手な、絵です。わたしも絵はがきを書いているので、とっても とってもです」
「あらうれし。今お茶を入れますから、座っていてちょうだいな。お昼はまだでしょう。今準備しますからね」
「お か ま い な く」そう答えた直後に、おなかが鳴る……。「たいへん、空いています。ご め ん な さ い」と笑う。
「まあ、奈緒も座ってよ。おばあちゃん、わたし手伝う」南が立ち上がって、キッチンに向かった。
運ばれてきた正方形で漆塗りの大きなお盆には、分厚い生姜焼き、こごみのごまくるみ和え、山菜天ぷら。田楽、ぬか漬け、きんぴらごぼう、冷ややっこ、等々。すべてがこった造りの小さな和食器に盛られている。
「あと今日の朝、山菜を取ってきたから天ぷら揚げてあげるわ。ごはんとお味噌汁をよそいでちょうだい」
おばあちゃんは南にそう伝えて、キッチンへと戻っていく。
白いTシャツの長袖をめくった春樹は歓喜を声にした。
「すげーな。こんなのテレビの中でしか見たことないよ。おばあちゃんプロ並みなんじゃね? 小料理屋とかやったら繁盛するぞ、きっと」
ジャケットを脱いで、灰色の襟ラインがある白いポロシャツ姿になった務が、奈緒に話しかける。
「ピザもいいけど、今ここでしか食べられないおばあちゃんの手料理が食べられてよかったでしょ。我慢した甲斐があったね」
「うぅーん。ほんとう。こんなお料理、見たことなーい。わたしは、しあわせ。しあわせ ものです」
「ただの田舎料理ですよ」
おばあちゃんが天ぷらを持って戻ってきて、相好を崩して一品一品快く説明する。
東京から来た五人にとっては、どんな料理にも勝る特別な料理だと感じられたことだろう。
「いやですよ、下手な絵なのにそんなに見られたら、恥ずかしくてしょうがないでしょ」
「そ ん な こ と ないです。わ た し は、身体 障がい 者 なので、ごめん な さ い。言葉が上手く 出ない。だから、なんて 言って いいか分からな い。とても、お上手な、絵です。わたしも絵はがきを書いているので、とっても とってもです」
「あらうれし。今お茶を入れますから、座っていてちょうだいな。お昼はまだでしょう。今準備しますからね」
「お か ま い な く」そう答えた直後に、おなかが鳴る……。「たいへん、空いています。ご め ん な さ い」と笑う。
「まあ、奈緒も座ってよ。おばあちゃん、わたし手伝う」南が立ち上がって、キッチンに向かった。
運ばれてきた正方形で漆塗りの大きなお盆には、分厚い生姜焼き、こごみのごまくるみ和え、山菜天ぷら。田楽、ぬか漬け、きんぴらごぼう、冷ややっこ、等々。すべてがこった造りの小さな和食器に盛られている。
「あと今日の朝、山菜を取ってきたから天ぷら揚げてあげるわ。ごはんとお味噌汁をよそいでちょうだい」
おばあちゃんは南にそう伝えて、キッチンへと戻っていく。
白いTシャツの長袖をめくった春樹は歓喜を声にした。
「すげーな。こんなのテレビの中でしか見たことないよ。おばあちゃんプロ並みなんじゃね? 小料理屋とかやったら繁盛するぞ、きっと」
ジャケットを脱いで、灰色の襟ラインがある白いポロシャツ姿になった務が、奈緒に話しかける。
「ピザもいいけど、今ここでしか食べられないおばあちゃんの手料理が食べられてよかったでしょ。我慢した甲斐があったね」
「うぅーん。ほんとう。こんなお料理、見たことなーい。わたしは、しあわせ。しあわせ ものです」
「ただの田舎料理ですよ」
おばあちゃんが天ぷらを持って戻ってきて、相好を崩して一品一品快く説明する。
東京から来た五人にとっては、どんな料理にも勝る特別な料理だと感じられたことだろう。
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