FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍭

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 奈緒が、池の手前に生える松の木の葉先を視線で撫でる。
「そういえば、つつじ、もうなかった。じゃあ藤の花もないかな?」
 二人は、緑の葉の海に溶け込む紫色の花を見つけられない。あれば目立つから、見つけられるはずだ。
「黒い鉢に植えられた藤の花がきれいで、印象的でした。それに、つつじの花の香りがしてました」と奈緒が教える。「そんな のど かな公園の一角に建つ『エコみらい とごし』で 本日行われている のが、未来へつなぐエコみら“フェスタバル”と ご しなのです。学園祭みたいのかと 思ったら、違いましたが、どうぞ お楽しみください」と、つっかえつっかえ丁寧に言った。そして、「そういえば――」と続ける。
「一階の憩いスペースで、陽菜ちゃんが演奏してたよ。吹 奏 楽で。二階の交流スペースと展示、えいぞー すぺーすで、なにか来る」
「ああ、テレビに出てる人が来てトークイベント開くんでしょ」
 南が美術部のブースのわきの階段を上りながら、エコみらいを見上げた。
「一昨年まではエコロジーをテーマにした別のイベント名で開催されていたけど、あの建物が完成したってことで、装いも新たにしたんだね。ECOがエコに変わっただけで基本構成は一緒だって当時の三年が言ってたって。まあ実際、エコみらいが加わったっていってもセレモニーとトークイベントだけだから、外のわたしたちには関係なかったし」
「去年はどうだった?」
「今年と同じかな? オープンしたエコみらい とごしがイベントのメイン会場で、それ中心に、公園全体が会場になってて。施設の中ではトークイベントやってたし、他にもワークショップがあった気がしたけど。あ、確か小学校でフリマがやってた気がする。行ってないから分かんないけど」
 階段を上りきると、南が叫ぶ。
「すごっ、キッチンカー来てる。去年はなかったよ。今年みたく大学やどっかの県のワークショップがいっぱい出てただけだった」
「わ た し が 調べたところによると、地元商店街が焼いた美味しいパン屋さん とか “ポップ……ケトル”…とか、全部で四つある。みんなが言ってた」
「わたしが調べたんじゃないじゃん。美術部調べしゃん」
「えへへ、ええやね、“もうどでも”」
 適当そうに笑って、奈緒は南より一歩先に飲食へリアへと足を踏み入れた。










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