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一年生の三学期
🎀
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第四クウォーターに入って、点差がじりじりと広がってゆく。55対64。
「どうしよう。こんなに開いちゃったら……」
心愛が声を詰まらせると、南が励ます。
「まだいけるよ。応援が諦めてどうすんの?」
「そうだね。わたしたちが信じなきゃ。まだ9点差なら、逆転できるよね。だって高木君、ロングシュートの練習してたもん」
シースルーバングの毛先を指で撫でながら、心愛が答える。
ひだまり高校が攻めあぐねて、ゴール下が混戦となった。二度、三度とバックボードをドラムのように響かせるが、得点には至らない。シュートが放たれる度に、敵味方の緊張が高まっていく。
ふいに歓声が轟いた。
その直前、リバウンドしたひだまり選手がフェイントでバックパス。カットされてこぼれたボールの先には誰もいない。
「高木君!」心愛が立ち上がった。
青い敵ユニホームの横から左手が伸びる。脇をねじって春樹の上半身が、不動選手の手の下、腿の上から出てきた。指先でボールをひっかけた。そしてそのままアンダースローのように手を振るう。誰もが信じられない様子で、ボールの行方を追う。
不意に轟いた歓声の原因は、春樹の放ったボールがスローモーションで弧を描き、ゴールネットに吸い込まれたからだった。
息を吹き返したひだまり高校が点差を詰める。
59対65。61対65。65対67。68対67。
ついに逆転した。スリーポイントを決めた春樹が歓喜する間もなく歓声の波をかき分けて泳ぐ。そして、敵のカウンターを阻止して速攻をかけた。だが、彼のシュートは敵に阻まれ、ひだまり側のスリーポイントエリアまで押し込まれる。
ボールを取った敵チームの応援があげた喊声が、ゴールへと迫る不動選手のあとからついてきた。
「ああっ」心愛が喘いだ。「取られちゃった」
68対69。
奈緒は、グーで膝を強く叩く。
「もう時間がない」
南の声で奈緒と心愛が時計を見た。学校の壁掛け時計は、試合開始から一時間を優に過ぎている。得点板の中央には、0と表示されていた。
「どうしよう。こんなに開いちゃったら……」
心愛が声を詰まらせると、南が励ます。
「まだいけるよ。応援が諦めてどうすんの?」
「そうだね。わたしたちが信じなきゃ。まだ9点差なら、逆転できるよね。だって高木君、ロングシュートの練習してたもん」
シースルーバングの毛先を指で撫でながら、心愛が答える。
ひだまり高校が攻めあぐねて、ゴール下が混戦となった。二度、三度とバックボードをドラムのように響かせるが、得点には至らない。シュートが放たれる度に、敵味方の緊張が高まっていく。
ふいに歓声が轟いた。
その直前、リバウンドしたひだまり選手がフェイントでバックパス。カットされてこぼれたボールの先には誰もいない。
「高木君!」心愛が立ち上がった。
青い敵ユニホームの横から左手が伸びる。脇をねじって春樹の上半身が、不動選手の手の下、腿の上から出てきた。指先でボールをひっかけた。そしてそのままアンダースローのように手を振るう。誰もが信じられない様子で、ボールの行方を追う。
不意に轟いた歓声の原因は、春樹の放ったボールがスローモーションで弧を描き、ゴールネットに吸い込まれたからだった。
息を吹き返したひだまり高校が点差を詰める。
59対65。61対65。65対67。68対67。
ついに逆転した。スリーポイントを決めた春樹が歓喜する間もなく歓声の波をかき分けて泳ぐ。そして、敵のカウンターを阻止して速攻をかけた。だが、彼のシュートは敵に阻まれ、ひだまり側のスリーポイントエリアまで押し込まれる。
ボールを取った敵チームの応援があげた喊声が、ゴールへと迫る不動選手のあとからついてきた。
「ああっ」心愛が喘いだ。「取られちゃった」
68対69。
奈緒は、グーで膝を強く叩く。
「もう時間がない」
南の声で奈緒と心愛が時計を見た。学校の壁掛け時計は、試合開始から一時間を優に過ぎている。得点板の中央には、0と表示されていた。
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