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一年生の三学期
🏀
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すると、心愛が笑う。
「ひだまりって、いくつかのバスケ強い高校と一緒になって、小さい大会をたくさん開いているでしょ。気合い入れるためとか経験積むためとかなんとか称して。大きな大会だと直接あたる機会は少ないけど、こういう区大会だといつも確実にこの二校で優勝準優勝だから、因縁のライバル校同士なんだよ」
「ああ、確か高木も言ってた気がする。この十年くらい、ほとんど全ての大会で確実にこの二校が衝突するって」
「うん。だから、地元のバスケファンの注目度は大変高いんだね。一年生中心っていっても、特にこういう公式並に気合いが入った大会だと」
南が余裕しゃくしゃく背伸びをした。
「でも下馬評はひだまり有利だよね。聞こえてくる声もこっちが優勢みたいだし」
「下品な言い方しないでよ」杏奈がたしなめる。
「でもよかったね、奥のコートじゃなくて。優勝決める試合が向こうじゃ、不満溜まるからさ。まあ、見なくても勝ちは見えてるんだけど」
心愛が頷き、杏奈が微かに笑う。
奈緒が訊いた。
「どっちがひだまりのゴール?」
「右」南が答える。「うちのチームは左に攻めるんだよ」
「左ってどっちだっけ?」
「動く方の手」
「そうか」と左の手のひらを見やって納得した様子で笑む。
誰もが緊張した様子を見せず、試合開始を今か今かと待ちわびていた。
十六時三十五分。予定より三十五分遅れて始まった旧荏原区 VS 旧品川区の頂上決戦は、誰も予想だにしなかった乱打戦となった。開始から早々、奈緒たちの顔色が変わり、必死の応援が続く。20対20。25対38。40対40。
相手の決めたゴールあとの試合再開から間もなく、相手の選手が春樹の腕をはたいて、ハッキングを取られた。
何事もなかったかのように振る舞う春樹は、ボールを三回弾ませてから構える。一瞬静寂に包まれた。奈緒たちもまばたきすら出来ない様子で見守る中、無音で放たれたボールが、乾いた音を発してネットをくぐる。ベンチに歓声が沸いた。43対40。
「格好いいよね、高木君」心愛が呟く。
「ひだまりって、いくつかのバスケ強い高校と一緒になって、小さい大会をたくさん開いているでしょ。気合い入れるためとか経験積むためとかなんとか称して。大きな大会だと直接あたる機会は少ないけど、こういう区大会だといつも確実にこの二校で優勝準優勝だから、因縁のライバル校同士なんだよ」
「ああ、確か高木も言ってた気がする。この十年くらい、ほとんど全ての大会で確実にこの二校が衝突するって」
「うん。だから、地元のバスケファンの注目度は大変高いんだね。一年生中心っていっても、特にこういう公式並に気合いが入った大会だと」
南が余裕しゃくしゃく背伸びをした。
「でも下馬評はひだまり有利だよね。聞こえてくる声もこっちが優勢みたいだし」
「下品な言い方しないでよ」杏奈がたしなめる。
「でもよかったね、奥のコートじゃなくて。優勝決める試合が向こうじゃ、不満溜まるからさ。まあ、見なくても勝ちは見えてるんだけど」
心愛が頷き、杏奈が微かに笑う。
奈緒が訊いた。
「どっちがひだまりのゴール?」
「右」南が答える。「うちのチームは左に攻めるんだよ」
「左ってどっちだっけ?」
「動く方の手」
「そうか」と左の手のひらを見やって納得した様子で笑む。
誰もが緊張した様子を見せず、試合開始を今か今かと待ちわびていた。
十六時三十五分。予定より三十五分遅れて始まった旧荏原区 VS 旧品川区の頂上決戦は、誰も予想だにしなかった乱打戦となった。開始から早々、奈緒たちの顔色が変わり、必死の応援が続く。20対20。25対38。40対40。
相手の決めたゴールあとの試合再開から間もなく、相手の選手が春樹の腕をはたいて、ハッキングを取られた。
何事もなかったかのように振る舞う春樹は、ボールを三回弾ませてから構える。一瞬静寂に包まれた。奈緒たちもまばたきすら出来ない様子で見守る中、無音で放たれたボールが、乾いた音を発してネットをくぐる。ベンチに歓声が沸いた。43対40。
「格好いいよね、高木君」心愛が呟く。
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