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一年生の三学期
第九十五話 差し入れ
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苺のショートケーキを食べ終わると奈緒は、ディアマンヴァニーユの入った薄茶色の紙袋を取った。
「じゃあ“な”、あげに行きましょうか」
「たりるかな?」心愛が訊く。
「開けてみる?」奈緒はそう言って紙袋から筒状の入れ物を取り出し、中のクッキーを数えだした。
「2、4、6…2、4、6…あれ? 分かんない」
杏奈が受け取って、五百円玉よりやや小さく厚くしたような形のクッキーを数える。
「十二枚入ってる」
「じゃあたりる」
確認するように、南が奈緒を問い詰める。
「ほんとに?」
「分かんない。たりないかな?」
「まあ、スタメン五人分は確実なんだからいいんじゃない? 高木はシューなんだしさ」
「それもそうだね、それじゃあ行っこー」
意気揚々と階段を下りていく奈緒だったが、再び不安に駆られた様子で、目の前にある頭に問いかけた。
「シューでよかったかな? だめ? だめ?」
先頭の杏奈が優しく答える。
「わたし、エッソンスっていうチョコに包まれたキューブ状のケーキとどちらにしようか迷ったんだけれど、あれも手で取って食べられそうだったからそれでもよかったかもと思うけれど、シューのほうが肩肘張らなくってもらいやすいんじゃない?」
「それじゃあ、いいってことだ」と納得した様子で頷く。
奈緒たちが、体育館の左端手前のゴール下の壁際で休憩をしていたひだまりチームのそばによると、三番目を歩いていた南が歩みを遅める。
「あ、たんない。数えると十五人いる。しかも女子マネの星野と先生忘れてた」
その言葉を聞いて、一学年のマネージャーである星野梨花が歩み出て訪ねてきた。
「どうしたんですか? 廣飯さんたち。激励なら大歓迎です」
「うん。ちょっと差し入れに来たの。でも足りないかもしれなくて、どうしようかなって思って」
「わたしはいいですよ」
オン眉ショートのぱっつんバングから覗く眉の上を掻く梨花に微笑まれた四人が顧問の先生を見ると、「俺は糖尿だから」と返えしてきて、「あらら、かわいそう」と奈緒が素っ頓狂な声を上げる。
「じゃあ“な”、あげに行きましょうか」
「たりるかな?」心愛が訊く。
「開けてみる?」奈緒はそう言って紙袋から筒状の入れ物を取り出し、中のクッキーを数えだした。
「2、4、6…2、4、6…あれ? 分かんない」
杏奈が受け取って、五百円玉よりやや小さく厚くしたような形のクッキーを数える。
「十二枚入ってる」
「じゃあたりる」
確認するように、南が奈緒を問い詰める。
「ほんとに?」
「分かんない。たりないかな?」
「まあ、スタメン五人分は確実なんだからいいんじゃない? 高木はシューなんだしさ」
「それもそうだね、それじゃあ行っこー」
意気揚々と階段を下りていく奈緒だったが、再び不安に駆られた様子で、目の前にある頭に問いかけた。
「シューでよかったかな? だめ? だめ?」
先頭の杏奈が優しく答える。
「わたし、エッソンスっていうチョコに包まれたキューブ状のケーキとどちらにしようか迷ったんだけれど、あれも手で取って食べられそうだったからそれでもよかったかもと思うけれど、シューのほうが肩肘張らなくってもらいやすいんじゃない?」
「それじゃあ、いいってことだ」と納得した様子で頷く。
奈緒たちが、体育館の左端手前のゴール下の壁際で休憩をしていたひだまりチームのそばによると、三番目を歩いていた南が歩みを遅める。
「あ、たんない。数えると十五人いる。しかも女子マネの星野と先生忘れてた」
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「うん。ちょっと差し入れに来たの。でも足りないかもしれなくて、どうしようかなって思って」
「わたしはいいですよ」
オン眉ショートのぱっつんバングから覗く眉の上を掻く梨花に微笑まれた四人が顧問の先生を見ると、「俺は糖尿だから」と返えしてきて、「あらら、かわいそう」と奈緒が素っ頓狂な声を上げる。
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