285 / 378
一年生の三学期
🐿️
しおりを挟む
おにぎりの包みを開けた杏奈が、心配そうにエコバックを見た。
「成瀬さん、ちゃんと総菜パンとか買った? まさか全部菓子パンじゃないよね?」
「ありませんよ。ほれ、これ見て」
続いて取り出したのは、ナスとトマトのメルチーズ フレンチドック。
奈緒が包み紙を開いて、やっぱりみんなに見せつけた。
「ナスおいしそう。杏奈ちゃん食べる?」
「ナスくれるなら、ソーセージちょうだい」
「だめ」
そう言って杏奈から遠ざけたフレンチドックを見て、南が言った。
「結構なボリュームだね。食べきれるの?」
「ううん、無理。だからこれはあとで食べまーす。次はこれ食べる。さつまいものパン」
二枚の焼きいもを下から包み込んだ小さなパンを見て、心愛が「かわいい」と叫ぶ。「でもそれも菓子パンみたいね」
「ううん、違う。あんまり甘くないから、おかず」と奈緒が否定。
心愛のお弁当に入っているミートボールに刺さっていた星型のつまみのついた楊枝を一本もらった南が、焼きいもを半分に切って、試食する。
「総菜パンではないね。シンプルだけど、焼きいもの甘みがおいしい。これは菓子パン」
「そう、菓子パン」奈緒が知らず知らずのうちにといった様子で認める。
続いて取り出したるは、シマエビと菜の花のグラタンパン。
この子は、「シンプルで薄めの味だけど、おいしい」と食レポしたところで、急に「うえっ」と顔をしかめた。
「グラタンソースの中に、スライスオニオンが入ってるぅー」
「玉ねぎ美味しいじゃん。体にいいから食べな」
南が右側から淡々と答える。
「成瀬さん、ちゃんと総菜パンとか買った? まさか全部菓子パンじゃないよね?」
「ありませんよ。ほれ、これ見て」
続いて取り出したのは、ナスとトマトのメルチーズ フレンチドック。
奈緒が包み紙を開いて、やっぱりみんなに見せつけた。
「ナスおいしそう。杏奈ちゃん食べる?」
「ナスくれるなら、ソーセージちょうだい」
「だめ」
そう言って杏奈から遠ざけたフレンチドックを見て、南が言った。
「結構なボリュームだね。食べきれるの?」
「ううん、無理。だからこれはあとで食べまーす。次はこれ食べる。さつまいものパン」
二枚の焼きいもを下から包み込んだ小さなパンを見て、心愛が「かわいい」と叫ぶ。「でもそれも菓子パンみたいね」
「ううん、違う。あんまり甘くないから、おかず」と奈緒が否定。
心愛のお弁当に入っているミートボールに刺さっていた星型のつまみのついた楊枝を一本もらった南が、焼きいもを半分に切って、試食する。
「総菜パンではないね。シンプルだけど、焼きいもの甘みがおいしい。これは菓子パン」
「そう、菓子パン」奈緒が知らず知らずのうちにといった様子で認める。
続いて取り出したるは、シマエビと菜の花のグラタンパン。
この子は、「シンプルで薄めの味だけど、おいしい」と食レポしたところで、急に「うえっ」と顔をしかめた。
「グラタンソースの中に、スライスオニオンが入ってるぅー」
「玉ねぎ美味しいじゃん。体にいいから食べな」
南が右側から淡々と答える。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
夏の決意
S.H.L
青春
主人公の遥(はるか)は高校3年生の女子バスケットボール部のキャプテン。部員たちとともに全国大会出場を目指して練習に励んでいたが、ある日、突然のアクシデントによりチームは崩壊の危機に瀕する。そんな中、遥は自らの決意を示すため、坊主頭になることを決意する。この決意はチームを再び一つにまとめるきっかけとなり、仲間たちとの絆を深め、成長していく青春ストーリー。
ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!
いーじーしっくす
青春
赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。
しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。
その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。
証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。
そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。
深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。
拓真の想いは届くのか? それとも……。
「ねぇ、拓真。好きって言って?」
「嫌だよ」
「お墓っていくらかしら?」
「なんで!?」
純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ネットの友達に会いに行ったら、間違ってべつの美少女と仲良くなった俺のラブコメ
扇 多門丸
青春
謳歌高校に通う高校2年生の天宮時雨は、高校1年生の3学期、学校をサボり続けたせいで留年しかけた生徒だった。
そんな彼の唯一無二の友人が、ネットの友達のブルームーン。ある日、いつも一緒にゲームをするけれど、顔の知らない友達だったブルームーンから「ちかくの喫茶店にいる」とチャットが来る。会いたいなら、喫茶店にいる人の中から自分を当てたら会ってやる。その提案に乗り、喫茶店へと走り、きれいな黒髪ストレートの美少女か?と聞いた。しかし、ブルームーンからは「違う」と否定され、すれ違ってしまった。
ブルームーンが黒髪の美少女だという推測を捨てきれずに過ごしていたとき、学校の使われていない音楽室でピアノを弾いている、そいつの姿を見つけた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる