283 / 479
一年生の三学期
🎀
しおりを挟む
「意外」と、南が驚く。
「でも行ったことある。子供の頃。倒れてからはない。荏原中延だけで 満喫だから。でも、ぴゅっとやって、よいよいってしてぽんしたら、どうかな? 春樹君なら遠くからぽんだよ。そしたら簡単に点とれるよ」
首を傾げる杏奈に気がついて見やった奈緒の後頭部に、南が言葉をぶつける。
「話バスケにすげ変わってる?」
「うん」奈緒が再び南に顔を向けた。
「どうだろうね。でも、今年のひだまり強いらしいし、三年のチームでレギュラーに選ばれるほどの高木がいるんだから、大量得点間違いなしだね」
「でも、パン屋のお姉さんが、武蔵小山がすてきですよって教えてくれたから、ここも素敵かもしんない。すてきって言うのも変だけれども」
「商店街の話に戻ってる? 会話も内容も浮気性だなぁ」
呆れる南に、奈緒が満面の笑みを返した。
「いいよね。だって、こうやって、お友達と楽しくお しゃ べ り しながら、春樹君を応援して、パン 食べられるんだもの」
「ああ、まだ食べちゃダメだよ。お昼にしな」
取り出したパンを南にエコバックに押し戻されて、奈緒が驚愕した。
「ええー⁉ なんでぇ? わたし幸せなんだよ。いっぱい春樹君応援して、パンとカフェラテ食べて、ケーキ食べて帰るの。楽しかったねってお話し し な が ら。ね、杏奈ちゃん」
左の令嬢は苦笑いするばかりで、返答しない。
奈緒が不安に駆られてぼやいた。
「あら~、わたし、なにか間違ったこと言いました?」
慰めるように南、続けて杏奈が答える。
「ううん、大丈夫だよ」
「幸せだからいいもんね、でもお昼ごはんはお昼に食べましょうね」
奈緒は、喜びに満ちた様子で表情を明るくし、エコバックに手を入れる。
「それじゃあ、パンはやめる。おやつのバナナ食べる」
南が呆れた。
「最初におやつ食べるってどういうこと? しかもケーキは?」
「あれはデザートです」
そう豪語して、奈緒がバナナを頬張った。
いつの間にか、それぞれのコートサイドに試合をするチームが集まっている。手前のコートは男子の試合が行われ、奥のコートでは女子の試合が行われるようだ。三人がそれに気がついてから間もなく、ホイッスルの音が鳴り響いて、すぐに試合が始まった。
「でも行ったことある。子供の頃。倒れてからはない。荏原中延だけで 満喫だから。でも、ぴゅっとやって、よいよいってしてぽんしたら、どうかな? 春樹君なら遠くからぽんだよ。そしたら簡単に点とれるよ」
首を傾げる杏奈に気がついて見やった奈緒の後頭部に、南が言葉をぶつける。
「話バスケにすげ変わってる?」
「うん」奈緒が再び南に顔を向けた。
「どうだろうね。でも、今年のひだまり強いらしいし、三年のチームでレギュラーに選ばれるほどの高木がいるんだから、大量得点間違いなしだね」
「でも、パン屋のお姉さんが、武蔵小山がすてきですよって教えてくれたから、ここも素敵かもしんない。すてきって言うのも変だけれども」
「商店街の話に戻ってる? 会話も内容も浮気性だなぁ」
呆れる南に、奈緒が満面の笑みを返した。
「いいよね。だって、こうやって、お友達と楽しくお しゃ べ り しながら、春樹君を応援して、パン 食べられるんだもの」
「ああ、まだ食べちゃダメだよ。お昼にしな」
取り出したパンを南にエコバックに押し戻されて、奈緒が驚愕した。
「ええー⁉ なんでぇ? わたし幸せなんだよ。いっぱい春樹君応援して、パンとカフェラテ食べて、ケーキ食べて帰るの。楽しかったねってお話し し な が ら。ね、杏奈ちゃん」
左の令嬢は苦笑いするばかりで、返答しない。
奈緒が不安に駆られてぼやいた。
「あら~、わたし、なにか間違ったこと言いました?」
慰めるように南、続けて杏奈が答える。
「ううん、大丈夫だよ」
「幸せだからいいもんね、でもお昼ごはんはお昼に食べましょうね」
奈緒は、喜びに満ちた様子で表情を明るくし、エコバックに手を入れる。
「それじゃあ、パンはやめる。おやつのバナナ食べる」
南が呆れた。
「最初におやつ食べるってどういうこと? しかもケーキは?」
「あれはデザートです」
そう豪語して、奈緒がバナナを頬張った。
いつの間にか、それぞれのコートサイドに試合をするチームが集まっている。手前のコートは男子の試合が行われ、奥のコートでは女子の試合が行われるようだ。三人がそれに気がついてから間もなく、ホイッスルの音が鳴り響いて、すぐに試合が始まった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。



家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。


久野市さんは忍びたい
白い彗星
青春
一人暮らしの瀬戸原 木葉の下に現れた女の子。忍びの家系である久野市 忍はある使命のため、木葉と一緒に暮らすことに。同年代の女子との生活に戸惑う木葉だが……?
木葉を「主様」と慕う忍は、しかし現代生活に慣れておらず、結局木葉が忍の世話をすることに?
日常やトラブルを乗り越え、お互いに生活していく中で、二人の中でその関係性に変化が生まれていく。
「胸がぽかぽかする……この気持ちは、いったいなんでしょう」
これは使命感? それとも……
現代世界に現れた古き忍びくノ一は、果たして己の使命をまっとうできるのか!?
木葉の周囲の人々とも徐々に関わりを持っていく……ドタバタ生活が始まる!
小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる