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一年生の三学期
🐿️
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「初めは、単純にクラスの副委員長としてなにかしないとって思った。でも勇気がなくて声を出せずにいたんだけれど、杏奈が声を上げたでしょ。その時、小沢さんとぶつかりそうになっていたし、鳥羽さんたちの間に挟まれて四苦八苦していたから、助けないとって。それから成瀬さんに関わるようになって、とても健気に頑張っているんだなって分かった。それから、テレビとかで障がいについて報道されたりするのが目につくようになると、不自由な人がどれだけ大変な思いをしているんだとか知るようになって、僕たちが支えていかなきゃって考えるようになったのかな。成瀬さんと話していると、とても頭のいい子なんだなって思う。でも思考が上手くアウトプットできなくて、ちょっと大変そうに見える。勉強を教えていると、すごく実感するよ。口では正しい答えを述べているのに、ふしぎな文字を書いてしまったり、左右が逆転していたりして。でもその大変さを笑いに変えて、繰り返し頑張る。もうだめだなんて言いながらやめずに出来るまで続けるところなんて、すごく感心するよ」
奈緒の表情は笑顔で固まっていたが、ため息を吐くように呟く。
「身体 障 がい 者 だからかぁ」
「えぇ? そういう意味じゃなくて」務が慌てる。「傷つけるような言い方をしてしまったのなら謝る。障がいの有無は関係ないよ。はじめはそれがきっかけだったのは認めるけれど、日々接しているうちに、なんというか……その、成瀬さんの諦めない性格とか、なんにでもチャレンジする好奇心の高さとか、ポジティブさとか……」
奈緒が向ける視線を見つめ返してきた務は、面と向かったまま動かない。数回のまばたきを経て、ようやく声を発した。
「……クラス委員の立場としては放って置けないし、なにより友達だから」
「クラス委員の立場としては“ほおって”置けないし、なにより友達だから」
奈緒がオウム返しに言う。そして納得したように頷いて、「あ り が と う」と付け加えると顎を下げてほほ笑み、すぐに顔をあげて言った。
奈緒の表情は笑顔で固まっていたが、ため息を吐くように呟く。
「身体 障 がい 者 だからかぁ」
「えぇ? そういう意味じゃなくて」務が慌てる。「傷つけるような言い方をしてしまったのなら謝る。障がいの有無は関係ないよ。はじめはそれがきっかけだったのは認めるけれど、日々接しているうちに、なんというか……その、成瀬さんの諦めない性格とか、なんにでもチャレンジする好奇心の高さとか、ポジティブさとか……」
奈緒が向ける視線を見つめ返してきた務は、面と向かったまま動かない。数回のまばたきを経て、ようやく声を発した。
「……クラス委員の立場としては放って置けないし、なにより友達だから」
「クラス委員の立場としては“ほおって”置けないし、なにより友達だから」
奈緒がオウム返しに言う。そして納得したように頷いて、「あ り が と う」と付け加えると顎を下げてほほ笑み、すぐに顔をあげて言った。
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