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一年生の三学期
🖼️
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窓から二列目三番目に座っていた粂川が手を上げる。
「せんせー、誰のこといっているんですか」
「お前のことだろ、俺の指、誰さしているように見えてんだ?」
「ひどい! 私、涙が出ちゃう。補習があるんだもん」
昔のバレーボールアニメふうに嘆くと、みんなから笑いが起こった。
岡野先生が手を叩く。
「ほら、みんな笑うな。他にも何人か、心当たりあるだろ。三学期のテストで成瀬より下位だったの粂川一人じゃないんだぞ」
誰もが、誰だ誰だと探るような表情で顔を見合わせる。
奈緒が言った。
「粂川 君は、“じゅーどろー”頑張ってる から、楽しいね。勉強なんて“やくたらず”だから、しなくていいんだよ、し あ わ せ な ら ば。だって わたしは、勉強もすぽ…すぽ…“すぽんす”もだめだめ だけど、毎日幸せな気分で過ごして い ま す、みんなのおかげ。だから、粂 川 君も みんなと一緒に、頑張ります。すると、出来なくても しあわせ」言い終わって、粂川に微笑みかける。
「成瀬にそう言われると、説得力あるよな、なんか勇気出た。いいんだ俺、バカでもいいんだ」とガッツポーズ。
呆れた様子で、岡野先生がつっけんどんにつっこむ。
「いいわけないだろ、ばかやろう」
「バカですから」
強烈な反駁をかます粂川に続いて、奈緒も猛烈に追随した。
「わたしもばかですから」
生徒全員がゲラゲラと笑う中、二人は見つめあってニヤリとする。ここにきてにわかに『ばか同盟』が結成される運びとなった。そんなこんなで一時間目は和やかに終了。二時間目以降も似たような感じだった。
🥋粂川勝🥋
🐿️成瀬菜緒🍭
作画:緒方宗谷
「せんせー、誰のこといっているんですか」
「お前のことだろ、俺の指、誰さしているように見えてんだ?」
「ひどい! 私、涙が出ちゃう。補習があるんだもん」
昔のバレーボールアニメふうに嘆くと、みんなから笑いが起こった。
岡野先生が手を叩く。
「ほら、みんな笑うな。他にも何人か、心当たりあるだろ。三学期のテストで成瀬より下位だったの粂川一人じゃないんだぞ」
誰もが、誰だ誰だと探るような表情で顔を見合わせる。
奈緒が言った。
「粂川 君は、“じゅーどろー”頑張ってる から、楽しいね。勉強なんて“やくたらず”だから、しなくていいんだよ、し あ わ せ な ら ば。だって わたしは、勉強もすぽ…すぽ…“すぽんす”もだめだめ だけど、毎日幸せな気分で過ごして い ま す、みんなのおかげ。だから、粂 川 君も みんなと一緒に、頑張ります。すると、出来なくても しあわせ」言い終わって、粂川に微笑みかける。
「成瀬にそう言われると、説得力あるよな、なんか勇気出た。いいんだ俺、バカでもいいんだ」とガッツポーズ。
呆れた様子で、岡野先生がつっけんどんにつっこむ。
「いいわけないだろ、ばかやろう」
「バカですから」
強烈な反駁をかます粂川に続いて、奈緒も猛烈に追随した。
「わたしもばかですから」
生徒全員がゲラゲラと笑う中、二人は見つめあってニヤリとする。ここにきてにわかに『ばか同盟』が結成される運びとなった。そんなこんなで一時間目は和やかに終了。二時間目以降も似たような感じだった。
🥋粂川勝🥋
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作画:緒方宗谷
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