FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

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 思考を疑うような視線を向けて、杏奈が問う。
「言ってることが支離滅裂。そういうのカツアゲっていうんじゃないの?」
「あん?」
 強烈なガンをつけて理沙が凄む。杏奈は即座に務の後ろに隠れた。
「ふぅ」と鼻息を発して、動じない様子の奈緒が口を開く。
「南ちゃんが 捕まった。助けてあげて」
「南が? なんで」理沙が驚いた。
「バイク…ぬ、ぬ、ぬ、盗んだ罪と 疑われています」
 奈緒がつっかえつっかえ答えると、理沙が考え込んだ。
「バイク?……あー、あ~~……知らない」
 プイッとそっぽを向くと、そのまま背を向けて走り出そうとした。
「ちょちょちょ、待て待てって」
 春樹に左二の腕を掴まれて逃げ損ねた不良少女がのたまく。
「なんだよ、しつこなぁ。知らないって言ってんでしょ」
「あからさまに知ってるってふうだったぞ」
「いつまで人の二の腕掴んでのよ、やらしい」
 春樹は表情一つ変えずに捕まえたまま離さない。
 理沙が続ける。
「知ってる? 二の腕って胸とおんなじ柔らかさなんだって」
 ちょっと色っぽく瞳を細めてほほ笑みかけられた春樹は、びっくりして腕を離した。
「まったく」
 理沙はそっけなく零して、辺りを伺いながら歩き始める。逃げるチャンスをうかがっているようだ。
 奈緒がすがる。
「南 ちゃんが バイク 盗んだって “うとがわれて”、警察に捕まって いるの。その バイク 盗んだの、なんとかちゃんでしょ」
「なんとかちゃんってなんだよ」
「いいのなんでも」
「よくないよ、わたしの名前だよ、ひどいやつだなぁ」
 そのやり取りを見て、「分かる分かる」と春樹が頷く。
 一向に話しが進まないさまを見て、務が奈緒にとって代わった。
「小沢さんは、誰かから預かったって言っているらしいんだけど、どこの誰から預かったか言わないらしいんだ。でもこのままだと、彼女が盗んだ犯人に仕立て上げられてしまう。もし心当たりがあるんなら、これから警察に行って謝ってほしいんだ」




🛵伊奈波理沙🦋
🏀高木春樹🏀
作画:緒方宗谷
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