FRIENDS

緒方宗谷

文字の大きさ
上 下
234 / 376
一年生の三学期

🍭

しおりを挟む
 どうも信じられない様子の春樹の袖を引っ張って、奈緒は公園を出る。それから彼の指示を待って、中二さくらひろば、うるおい公園を見て回った。

 □□□

 一段落して、図書館の前に横たわる文化通りに面した小さな公園のベンチで、奈緒は休んでいた。その横には、背もたれに右腕を引っかけて両足を大の字に放り出し、白、赭、鳩羽の三色からなるレンガがモザイク状に敷き詰められた小さくてまあるい公園の全容をぼんやりと見つめながら、スマホで務と話す春樹にが座っている。
「ああ、奈緒が最初に見たっていう公園に行ってみたけどいなかった。他に不良がいたっていう場所から近い公園に行って、いま――なんだここ、うるおい公園ってところにいる。奈緒が言うには、なんか近くに図書館があるらしい。
 ――うん。うん。手掛かりなし。そっちは?――だな。そのパピポンってのが、なに言ってるか分かれば、またヒントになるかも知んねーけど。……うん、分かった」
 春樹が電話を切って、奈緒に黒星を向ける。
「これから来るって。向こうも手掛かりなし。こんな住宅街のど真ん中にある公園じゃ、奈緒の言うようなあからさまな不良がいたら目立つだろうな。原付盗むような奴らなら、もうバックレてんじゃね?」
 奈緒は変な目で春樹を見る。
「そのパピポンってなに? パピポンじゃないよ。わたしパピポンって言ったけど、そんなんじゃないから。もう、わたしが言ったことなんて あてにしているから 見つからないのよ。春樹君なんて変なやつ。 ぷんだ」
「すげー言いようだな、ほんと。部長思い出した。ほんと気の毒。てかお前、よく今まで生きてこられたな。倒れる前がどんなだったか知りてーよ」
「こんだだわよーだ。いーだ」
 奈緒は、春樹がそばのななまーとで買ってきたアクアスウェット[スポーツ飲料]のペットボトルを渡されて、パピポンのことを忘れるまで、延々とぷんすか怒り続けた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

DEVIL FANGS

緒方宗谷
ファンタジー
下ネタ変態ファンタジー(こども向け)です。 主人公以外変態しか出てきません。 変態まみれのちん道中。 ㊗️いつの間にか、キャラ文芸からファンタジーにジャンル変更されてたみたい。ーーてことは、キャラの濃さより内容が勝ったってこと? ローゼ万歳、エミリアがっくし。 でも、自信をもって下ネタ変態小説を名乗ります。

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

処理中です...