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一年生の三学期
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どうも信じられない様子の春樹の袖を引っ張って、奈緒は公園を出る。それから彼の指示を待って、中二さくらひろば、うるおい公園を見て回った。
□□□
一段落して、図書館の前に横たわる文化通りに面した小さな公園のベンチで、奈緒は休んでいた。その横には、背もたれに右腕を引っかけて両足を大の字に放り出し、白、赭、鳩羽の三色からなるレンガがモザイク状に敷き詰められた小さくてまあるい公園の全容をぼんやりと見つめながら、スマホで務と話す春樹にが座っている。
「ああ、奈緒が最初に見たっていう公園に行ってみたけどいなかった。他に不良がいたっていう場所から近い公園に行って、いま――なんだここ、うるおい公園ってところにいる。奈緒が言うには、なんか近くに図書館があるらしい。
――うん。うん。手掛かりなし。そっちは?――だな。そのパピポンってのが、なに言ってるか分かれば、またヒントになるかも知んねーけど。……うん、分かった」
春樹が電話を切って、奈緒に黒星を向ける。
「これから来るって。向こうも手掛かりなし。こんな住宅街のど真ん中にある公園じゃ、奈緒の言うようなあからさまな不良がいたら目立つだろうな。原付盗むような奴らなら、もうバックレてんじゃね?」
奈緒は変な目で春樹を見る。
「そのパピポンってなに? パピポンじゃないよ。わたしパピポンって言ったけど、そんなんじゃないから。もう、わたしが言ったことなんて あてにしているから 見つからないのよ。春樹君なんて変なやつ。 ぷんだ」
「すげー言いようだな、ほんと。部長思い出した。ほんと気の毒。てかお前、よく今まで生きてこられたな。倒れる前がどんなだったか知りてーよ」
「こんだだわよーだ。いーだ」
奈緒は、春樹がそばのななまーとで買ってきたアクアスウェット[スポーツ飲料]のペットボトルを渡されて、パピポンのことを忘れるまで、延々とぷんすか怒り続けた。
□□□
一段落して、図書館の前に横たわる文化通りに面した小さな公園のベンチで、奈緒は休んでいた。その横には、背もたれに右腕を引っかけて両足を大の字に放り出し、白、赭、鳩羽の三色からなるレンガがモザイク状に敷き詰められた小さくてまあるい公園の全容をぼんやりと見つめながら、スマホで務と話す春樹にが座っている。
「ああ、奈緒が最初に見たっていう公園に行ってみたけどいなかった。他に不良がいたっていう場所から近い公園に行って、いま――なんだここ、うるおい公園ってところにいる。奈緒が言うには、なんか近くに図書館があるらしい。
――うん。うん。手掛かりなし。そっちは?――だな。そのパピポンってのが、なに言ってるか分かれば、またヒントになるかも知んねーけど。……うん、分かった」
春樹が電話を切って、奈緒に黒星を向ける。
「これから来るって。向こうも手掛かりなし。こんな住宅街のど真ん中にある公園じゃ、奈緒の言うようなあからさまな不良がいたら目立つだろうな。原付盗むような奴らなら、もうバックレてんじゃね?」
奈緒は変な目で春樹を見る。
「そのパピポンってなに? パピポンじゃないよ。わたしパピポンって言ったけど、そんなんじゃないから。もう、わたしが言ったことなんて あてにしているから 見つからないのよ。春樹君なんて変なやつ。 ぷんだ」
「すげー言いようだな、ほんと。部長思い出した。ほんと気の毒。てかお前、よく今まで生きてこられたな。倒れる前がどんなだったか知りてーよ」
「こんだだわよーだ。いーだ」
奈緒は、春樹がそばのななまーとで買ってきたアクアスウェット[スポーツ飲料]のペットボトルを渡されて、パピポンのことを忘れるまで、延々とぷんすか怒り続けた。
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