FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

🐿️

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 務と杏奈も駆け寄って来て、顔をのぞき込む。頬を叩かれてもなお、反応を示さない。
「救急、救急」
 階段にいた警官の一人が、カウンターの内側に向かって叫ぶ。
「だ い じ よ う ぶ です」
 ようやく奈緒が声を発した。
 すかさず春樹が、警官を見上げて言った。
「この子は病気があって、あまり興奮させると発作が出るんです。脳内出血で手術をしているので、脳の血管が切れる心配もあるし、どうにか願いを叶えさせてくれませんか。せめて落ち着かせるために、小沢南の担当者にだけにでもいいから会わせてください。なにがあったのか教えてもらえるだけでも安心できると思うんです。だって、二人は大の親友ですから。気が気じゃないんだと思うから」
 誰も答えてくれなかった。四人いた警官のうち、一人が発する「とりあえず医務室に運ぼう」と言う声だけが響く。
 春樹によってお姫様抱っこで持ち上げられた奈緒は、小刻みに震えながら、浅く速い呼吸を繰り返していたが、医務室のベッドに寝かせられてしばらくすると、ゆっくりながらも深い呼吸を繰り返すようになった。少し演技めいた弱々しい表情で、「南ちゃんは? 南ちゃんは?」と、うわごとのように発する。
 演技だからこうなのか、現実に皆このようになるのか定かではないが、警官たちの緊張具合から見て、嘘偽りではないという確信があるのだろう。
 脈や瞳孔を見ていた保健師が、ほっと一息ついて言った。
「普段から、こういう発作はあるんですか? 倒れるとか、意識を失うとか」
 前のめりに春樹が顔を出す。
「いいえ、無いと思います」
「なら興奮からくる突発性の過呼吸でしょうね。繰り返すようなら過換気症候群の可能性もありますが」
 春樹が答える。
「ここまでひどいのは見たことありませんが、興奮するとまくしたてて、呼吸困難になることがある」
「まあ、それは過呼吸ではなくて、ただの酸欠だと思いますけど」
「それなら、そのなんとか症候群ではないのかも。なんか脳が半分しかないから、いっぱいいっぱいになるとヒートするっていうか、混乱しちゃうのかも」




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