FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第六十五話 クリスマス会

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 奈緒と南は、旗の台駅で下車をして、商店街を中原街道に向かって歩く。
「近いの?」南が後ろから言った。
「うん。歩いてすぐそこ。途中のトンネルがすごいよ。絵が描いてあって、すてきなの。せんたぁは品川区のせんたぁだから、ほんとはわたし、部外者なん だけどね、大田 区民 だ から」
「ふーん、色々あるんだね」
「うん。なんか 色々法律できて、面倒になったって言ってた」
 街道からそれてしばらくしたのち短いトンネルが見えてくると、喜々とした様子で南が口を開く。
「ほんとだ、すごい。けっこう大きな絵だね。あ、反対側にも描いてあるんだ」
「そう。障がい者のみんなで描いた」
 この子は、反対車線側の絵の方を向いて続ける。
「あっちは、小学生が描いた」
「奈緒も描いたの?」
「ううん、描いてない」
 南は、壁一面に描かれた絵を見上げる。
「楽しそうでいい絵だね。大きな海が真ん中に描いてあるのが斬新。なのに、動物たちの絵が端に追いやられた感じがしなくて、生き生きしてる。大地がベージュなのも温かみがあるよ。山の葉っぱも色づいていて、りんごが実っているのが、とてものどか」
 左下に制作年月と、誰の作品か記載されているのを瞳に収めた彼女は、続いて反対側の壁へと振り向く。
「こっちも発想がいいね。完成したパズルみたいになってる。ピース一つ一つに動物の可愛い絵が描いてあって、楽しい気持ちにさせられるよ。制作時期見ると、反対側の絵と同じなんだね。もしかしたら、共同制作だったのかな? もしそうだとしたら、相互理解にもつながるし、いい経験だったと思う」
 充分に絵を堪能した二人は、すぐそばにある障がい者支援センターへと足を運ぶ。
「こんにちはー」
 奈緒が元気よく挨拶をしながら、足を踏み入れた。玄関を入ってすぐ左にある小窓を覗いくと、奥で仕事をしていた職員に声をかける。
 すると、年配の女の人が立ち上がって廊下へと出てきた。
「奈緒ちゃん、お久しぶりねぇ、ちょっと見ない間に大きくなって。ずいぶんと大人っぽくなったんじゃないかしら。わたしもずっといたけど、たまたま会う機会がなくてどうしたのかなって思っていたのよ」
「えへへ、そうです。その節は ずいぶんと お 世 話に なりました」
「あらやだ、お世話なんて程のことしてないわよ。それよりお友達できたのね」

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