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一年生の二学期
第六十二話 筆まめ
しおりを挟む「なんであんな友達が?」
奈緒は、二人に声が届かなくなると、すぐに南へと質問をぶつける。とても意外そうだ。
「いやあ、あはは。昔はちょっとやんちゃなの」
「どんな だったの?」想像を膨らませるように首を傾げる。
「恥ずかしい話、レディースってやつ?」
「ぜつめつ きぐしゅ、だ」
「返す言葉もないね。パピオンっていうんだけど、わたしとあの二人と真理って子と、あとブチャ」
「変な名前だ」
「豚とカバを足してプロレスラーにした感じ。すごいガタイで寸胴でさ。ずっとヘッドだった。二つ上の早生まれだから、はたちかな?」
それを聞いて、奈緒は首を傾げて考え込む。それでも何も思いつかなかったのか、ボアコートのポケットから人形焼きの入ったフィルムを出して言った。
「これ食べちゃおっか。やっぱり我慢できない」
「やめときなよ。それないとなんでお伺いするか分かんないじゃん」
「大丈夫だよ、絵手紙用意してあるから。……あれ? どこいった?」
あせあせと背負っていたリュックを開けて探す。
「これじゃない」南がのぞき込んで教える。
「そうそれ」
奈緒が手に取って見せた絵はがきを見て、南の瞳に疑問の色が浮かぶ。
ずんずんずん
絵手紙には、筆字でそう書いてある。
南が言った。
「この茶色い巻貝はなに?」
「えー、やだー、どうしよう。こっちにする?」
私とわたし、なんかへんですね
面長で昔風パーマのおばさんの絵。
「この絵の人だれ?」
「分かんない。自分かな? 違う?」
「知らないよ」
「じゃあ、こっちにする」
かわいいね
右から左に書かれた文字の下に、胴長の変な動物らしき絵がある。
奈緒は、二人に声が届かなくなると、すぐに南へと質問をぶつける。とても意外そうだ。
「いやあ、あはは。昔はちょっとやんちゃなの」
「どんな だったの?」想像を膨らませるように首を傾げる。
「恥ずかしい話、レディースってやつ?」
「ぜつめつ きぐしゅ、だ」
「返す言葉もないね。パピオンっていうんだけど、わたしとあの二人と真理って子と、あとブチャ」
「変な名前だ」
「豚とカバを足してプロレスラーにした感じ。すごいガタイで寸胴でさ。ずっとヘッドだった。二つ上の早生まれだから、はたちかな?」
それを聞いて、奈緒は首を傾げて考え込む。それでも何も思いつかなかったのか、ボアコートのポケットから人形焼きの入ったフィルムを出して言った。
「これ食べちゃおっか。やっぱり我慢できない」
「やめときなよ。それないとなんでお伺いするか分かんないじゃん」
「大丈夫だよ、絵手紙用意してあるから。……あれ? どこいった?」
あせあせと背負っていたリュックを開けて探す。
「これじゃない」南がのぞき込んで教える。
「そうそれ」
奈緒が手に取って見せた絵はがきを見て、南の瞳に疑問の色が浮かぶ。
ずんずんずん
絵手紙には、筆字でそう書いてある。
南が言った。
「この茶色い巻貝はなに?」
「えー、やだー、どうしよう。こっちにする?」
私とわたし、なんかへんですね
面長で昔風パーマのおばさんの絵。
「この絵の人だれ?」
「分かんない。自分かな? 違う?」
「知らないよ」
「じゃあ、こっちにする」
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右から左に書かれた文字の下に、胴長の変な動物らしき絵がある。
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