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一年生の二学期
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それを見て南が呆れた。
「おやつじゃないの?」
「うん。やっぱり今食べる。我慢できないから」
「少しは我慢することを覚えないと」
「むり。我慢は手術で取っちゃった」
「そうなの?」
「知らないけど」
「やっぱりね」
たわいもないやり取りを聞きながら、箱から解放されたシュークリームを見て、杏奈が興味を持った様子で顔を寄せてきた。
「小さくてかわいい」
シュークリームをかじる奈緒を見て、さらに続ける。
「シューなのに硬いんだ。それに結構厚みがあるのね、それ。見た感じ、ハンバーガーみたいにクリームを挟んであるんだ。色からしてカスタードかしら」
「うん、そう。珍しいでしょ。ふわふわのシューじゃなくて、サクサクしてスコ――ンみたい。あんまり甘くなくて さっぱりとした味 だけど、“スコン”好きだからいいの」
南が、V字にたたまれた二の腕ごしに奈緒のおなかをのぞき込む。
「こぼしてるよ」
「あらー、こぼした。あらあらあら、まっいっか」
T字路にある自動販売機の前で杏奈にハンカチでボアコートを拭かれながら、奈緒が笑う。そして食べながら続けて言った。
「本当は、みんなにこれ食べてほしかったの だけれど、お小遣いが足りなくてやめてしまいました。だけどいいよね。今度のお楽しみにとって置けるんだから。そしたらわたしもシュークリーム食べる 口実が で き る し、楽しいからそうしようと思うの」
南がクッキーのフィルムを開ける。
「奈緒のことだから、理由なんかなくても食べそうなものだけどね」
「そうでした。でも、それに加えて、も一回食べる機会に 恵まれると楽しい。だって、このシュークリームは、今のみんなの気持ちにマッチした 味と 食感 だ と思うから。いつ でも 楽しくなれるんだよ、きっと」
北千束駅までやって来ると、別れを告げて改札を抜けてホームへと向かう四人に向けて、奈緒は一生懸命手を振り続けて見送った。
「おやつじゃないの?」
「うん。やっぱり今食べる。我慢できないから」
「少しは我慢することを覚えないと」
「むり。我慢は手術で取っちゃった」
「そうなの?」
「知らないけど」
「やっぱりね」
たわいもないやり取りを聞きながら、箱から解放されたシュークリームを見て、杏奈が興味を持った様子で顔を寄せてきた。
「小さくてかわいい」
シュークリームをかじる奈緒を見て、さらに続ける。
「シューなのに硬いんだ。それに結構厚みがあるのね、それ。見た感じ、ハンバーガーみたいにクリームを挟んであるんだ。色からしてカスタードかしら」
「うん、そう。珍しいでしょ。ふわふわのシューじゃなくて、サクサクしてスコ――ンみたい。あんまり甘くなくて さっぱりとした味 だけど、“スコン”好きだからいいの」
南が、V字にたたまれた二の腕ごしに奈緒のおなかをのぞき込む。
「こぼしてるよ」
「あらー、こぼした。あらあらあら、まっいっか」
T字路にある自動販売機の前で杏奈にハンカチでボアコートを拭かれながら、奈緒が笑う。そして食べながら続けて言った。
「本当は、みんなにこれ食べてほしかったの だけれど、お小遣いが足りなくてやめてしまいました。だけどいいよね。今度のお楽しみにとって置けるんだから。そしたらわたしもシュークリーム食べる 口実が で き る し、楽しいからそうしようと思うの」
南がクッキーのフィルムを開ける。
「奈緒のことだから、理由なんかなくても食べそうなものだけどね」
「そうでした。でも、それに加えて、も一回食べる機会に 恵まれると楽しい。だって、このシュークリームは、今のみんなの気持ちにマッチした 味と 食感 だ と思うから。いつ でも 楽しくなれるんだよ、きっと」
北千束駅までやって来ると、別れを告げて改札を抜けてホームへと向かう四人に向けて、奈緒は一生懸命手を振り続けて見送った。
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