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一年生の二学期
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奈緒が、どぼどぼん、と白しかない角砂糖をつまんで三つ入れると、南が思い出したように瞳を見開く。
「そういえば、昼休みでもいつもカフェラテ飲んでる。ぜったい大将のやつ」
「うん。一日五杯くらい飲む」ミルクを全部入れて笑う。
「ええっ? それ飲みすぎ」
「でもいいの、美味しいから。それに眠い」
南もカップを持ち上げる。
「こっちの砂糖は茶色二つに白一つの計三つなのに、そっちは白一色なんだね」
「うん。こっちはコーヒーだから、黒いから白いの」
「そうなの?」
「しらない」
「ああ、そう」南は呆れ気味にため息をつくと共に、その吐息に言葉をのせる。
「色は紅茶と違いはないね。仄かにねじったようなコクのあるカカオの香りが漂うのが、THEハーブティーって感じ。なんかこう、ダークで大人びた香り」
「味はどんな感じ?」
奈緒が興味津々で訊く。
「味はミントからつーんとした感じを抜いた味」
そう答えて、南は茶色い角砂糖を一つ入れた。
「かき混ざしても溶けないね、まあいっか」
そう言って飲む。そして間髪入れずにまた口を開く。
「不思議、お砂糖一つ入れたのに、甘くならないどころか、逆に酸味が立った」
甘味が足りないと感じたのか、そう言いながら白いほうも入れてみる。
「あ、これはすぐに溶ける」そして飲んでみて、「うん、二つ入れると、ちょうどいいチョコミント味になる。あはは、ルイボスはどこへやら」と笑い、「でも美味しい」満面の笑顔を浮かべた。
「あれ? 南ちゃんのは“ぽにょん”だ、変なの。あ、なんか描いてある」
奈緒がそう言うと、南がポーションミルクに目をやった。
「十二月十九日の花はストロベリーキャンドルだって」
続いて、アレキサンダーが二つ運ばれてきた。
南が難しい顔をして焦げ茶色のケーキをまじまじと見やってから、奈緒に視線を送る。
「わたし、こういうちっちゃいケーキ、普段食べないよ。値段に対して一番大きいの頼んじゃう。だから普段はショートケーキ」
「いただきまーす」と言ってフォークを取る奈緒に合わせて彼女も取り、二人同時にレンガを横向きに立てたような形のアレキサンダーをひとくちに切り分ける。
「そういえば、昼休みでもいつもカフェラテ飲んでる。ぜったい大将のやつ」
「うん。一日五杯くらい飲む」ミルクを全部入れて笑う。
「ええっ? それ飲みすぎ」
「でもいいの、美味しいから。それに眠い」
南もカップを持ち上げる。
「こっちの砂糖は茶色二つに白一つの計三つなのに、そっちは白一色なんだね」
「うん。こっちはコーヒーだから、黒いから白いの」
「そうなの?」
「しらない」
「ああ、そう」南は呆れ気味にため息をつくと共に、その吐息に言葉をのせる。
「色は紅茶と違いはないね。仄かにねじったようなコクのあるカカオの香りが漂うのが、THEハーブティーって感じ。なんかこう、ダークで大人びた香り」
「味はどんな感じ?」
奈緒が興味津々で訊く。
「味はミントからつーんとした感じを抜いた味」
そう答えて、南は茶色い角砂糖を一つ入れた。
「かき混ざしても溶けないね、まあいっか」
そう言って飲む。そして間髪入れずにまた口を開く。
「不思議、お砂糖一つ入れたのに、甘くならないどころか、逆に酸味が立った」
甘味が足りないと感じたのか、そう言いながら白いほうも入れてみる。
「あ、これはすぐに溶ける」そして飲んでみて、「うん、二つ入れると、ちょうどいいチョコミント味になる。あはは、ルイボスはどこへやら」と笑い、「でも美味しい」満面の笑顔を浮かべた。
「あれ? 南ちゃんのは“ぽにょん”だ、変なの。あ、なんか描いてある」
奈緒がそう言うと、南がポーションミルクに目をやった。
「十二月十九日の花はストロベリーキャンドルだって」
続いて、アレキサンダーが二つ運ばれてきた。
南が難しい顔をして焦げ茶色のケーキをまじまじと見やってから、奈緒に視線を送る。
「わたし、こういうちっちゃいケーキ、普段食べないよ。値段に対して一番大きいの頼んじゃう。だから普段はショートケーキ」
「いただきまーす」と言ってフォークを取る奈緒に合わせて彼女も取り、二人同時にレンガを横向きに立てたような形のアレキサンダーをひとくちに切り分ける。
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