166 / 376
一年生の二学期
🖼️
しおりを挟む
少し遅れて追いついてきた春樹を加えて、やいのやいのとやっていると、奈緒が花火のように笑顔を破裂させて、二人の発言を止める。
「そうだ、打ち上げしようよ。だから今食べてもいいの」
「打ち上げか、いいね。でも今じゃないでしょ。どうせだったら、杏奈んちでしようよ、広いし」と南。
空を見上げて答えた短髪女子に、春樹が訊く。
「食いもんどうすんの? さすがにてんやもんじゃ寂しいだろ」
「わたしが作るのはいや」
奈緒が言うと、二人が間髪入れずに叫んだ。
「「もちろんです」」
「じゃあ、外で食べる。いいカフェ知ってるから。みんなにおごって あげます。わたしのために いろ いろと 協力してくれた おれい」
声を一瞬色めき立せるも、喜びを自制するような口調で南が答える。
「本当? でも悪いよ、自分で出す」
「ううん、出 さ せ て」
困り顔の南と目を合わせた春樹が提案した。
「値段によるんじゃね?」
「そうか……。じゃあ、下見は必要だよね、みんなが気に入る場所か確認しないと。わたし見てくる」
すると、奈緒が言った。
「ナナちゃんたちは好きだと思う」
南が驚く。
「ええ⁉ あの子たちも呼ぶの? いいよ、呼ばなくて」
「ううん、呼ぶ。ダンス教えてくれたから」
ちょうどその時、「おーい」と呼ぶ岡野先生に止められて、三人同時に今来た道を振り返った。
「たこ焼き。今おごるぞ、こっちこい」
「ほんとにおごってくれるの? 期待していなかったのに」春樹が叫び返す。
「あんなふうに成瀬に言われたら、おごらざるをえん。あとでいろんな人に絶対確認されちまうからな」
「ナイス、奈緒」
春樹が振り向いてグッドサインを出すと、奈緒も「やりぃ」とひざを落としてバウンドする。
作画:緒方宗谷
「そうだ、打ち上げしようよ。だから今食べてもいいの」
「打ち上げか、いいね。でも今じゃないでしょ。どうせだったら、杏奈んちでしようよ、広いし」と南。
空を見上げて答えた短髪女子に、春樹が訊く。
「食いもんどうすんの? さすがにてんやもんじゃ寂しいだろ」
「わたしが作るのはいや」
奈緒が言うと、二人が間髪入れずに叫んだ。
「「もちろんです」」
「じゃあ、外で食べる。いいカフェ知ってるから。みんなにおごって あげます。わたしのために いろ いろと 協力してくれた おれい」
声を一瞬色めき立せるも、喜びを自制するような口調で南が答える。
「本当? でも悪いよ、自分で出す」
「ううん、出 さ せ て」
困り顔の南と目を合わせた春樹が提案した。
「値段によるんじゃね?」
「そうか……。じゃあ、下見は必要だよね、みんなが気に入る場所か確認しないと。わたし見てくる」
すると、奈緒が言った。
「ナナちゃんたちは好きだと思う」
南が驚く。
「ええ⁉ あの子たちも呼ぶの? いいよ、呼ばなくて」
「ううん、呼ぶ。ダンス教えてくれたから」
ちょうどその時、「おーい」と呼ぶ岡野先生に止められて、三人同時に今来た道を振り返った。
「たこ焼き。今おごるぞ、こっちこい」
「ほんとにおごってくれるの? 期待していなかったのに」春樹が叫び返す。
「あんなふうに成瀬に言われたら、おごらざるをえん。あとでいろんな人に絶対確認されちまうからな」
「ナイス、奈緒」
春樹が振り向いてグッドサインを出すと、奈緒も「やりぃ」とひざを落としてバウンドする。
作画:緒方宗谷
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
DEVIL FANGS
緒方宗谷
ファンタジー
下ネタ変態ファンタジー(こども向け)です。
主人公以外変態しか出てきません。
変態まみれのちん道中。
㊗️いつの間にか、キャラ文芸からファンタジーにジャンル変更されてたみたい。ーーてことは、キャラの濃さより内容が勝ったってこと?
ローゼ万歳、エミリアがっくし。
でも、自信をもって下ネタ変態小説を名乗ります。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる