153 / 476
一年生の二学期
🍭
しおりを挟む
急に奈緒がひょうきんな声で言って会場に笑みを送ると、ところどころから笑いが起こった。気をよくした様子で話を続ける。
「しいて 言う ならば、ほとんど毎日補習を しています。先生は授業を行って大変なのに、いつも 放課後 勉強を 教えて ください ま す。とても感謝して おります。校長先生も 教頭先生も、わたしの名前を憶えてくれていて、時々 話しかけて くれます。でもわたしは、校長先生と 教頭先生の名前を 憶えていません。ごめんなさい。覚えても すぐに 忘れてしまうので、頑張って また覚えます。先生も お友 達も とてもよくしてくださるので、だんだんと思い描いていた 学園生活が 送れるようになって い ま す。感謝しても しきれません。
これをお友達に読んで聞かせたら、書けと言われたんでしょう? と 笑われ ました けれど、本当のことですから、いいんです。ありがとうございました。おわり」
つっかえながらもテキストを見ずに、朗々たる声で朗読をし終えて、深々とお辞儀をする。
静寂が一転して拍手の渦にのまれてやまなくなった。そんな中で、二人の実行委員がやって来て、一人がマイクをかたし、もう一人が奈緒に無線のヘッドセットマイクを装着させる。それと同時にウィップスが姿を現した。
三人は、体育館裏にいた時とは違うコーディネート。大人びたさっきまでの印象とは打って変わって、だいぶ幼い感じに見える。
魚子は、溶けたジュエリーで描かれたようなカラフルなヒップホップ文字が背中にプリントされた、だぶっとした赤いスウェットに灰色のナイロン製ロングパンツで、黒色のスピンキャプ。暖乃は、袖が七分丈でストーンベージュのベースボールシャツに水色のデニムパンツをはいて、黒いフラットキャップ。かおりは、パンダ柄でフルジッパーのパーカーを着て、スウェットでロングのトレーニングパンツを穿いた、上下ボア素材のいでたちで、卵くらいの雪玉みたいな白いシュシュをつけたツインテール。三人とも普段とはだいぶ異なる印象だ。
イントロが流れ始めると、この三人を従えた奈緒は、満面の笑みで自信たっぷりにバウンズを開始した。
「しいて 言う ならば、ほとんど毎日補習を しています。先生は授業を行って大変なのに、いつも 放課後 勉強を 教えて ください ま す。とても感謝して おります。校長先生も 教頭先生も、わたしの名前を憶えてくれていて、時々 話しかけて くれます。でもわたしは、校長先生と 教頭先生の名前を 憶えていません。ごめんなさい。覚えても すぐに 忘れてしまうので、頑張って また覚えます。先生も お友 達も とてもよくしてくださるので、だんだんと思い描いていた 学園生活が 送れるようになって い ま す。感謝しても しきれません。
これをお友達に読んで聞かせたら、書けと言われたんでしょう? と 笑われ ました けれど、本当のことですから、いいんです。ありがとうございました。おわり」
つっかえながらもテキストを見ずに、朗々たる声で朗読をし終えて、深々とお辞儀をする。
静寂が一転して拍手の渦にのまれてやまなくなった。そんな中で、二人の実行委員がやって来て、一人がマイクをかたし、もう一人が奈緒に無線のヘッドセットマイクを装着させる。それと同時にウィップスが姿を現した。
三人は、体育館裏にいた時とは違うコーディネート。大人びたさっきまでの印象とは打って変わって、だいぶ幼い感じに見える。
魚子は、溶けたジュエリーで描かれたようなカラフルなヒップホップ文字が背中にプリントされた、だぶっとした赤いスウェットに灰色のナイロン製ロングパンツで、黒色のスピンキャプ。暖乃は、袖が七分丈でストーンベージュのベースボールシャツに水色のデニムパンツをはいて、黒いフラットキャップ。かおりは、パンダ柄でフルジッパーのパーカーを着て、スウェットでロングのトレーニングパンツを穿いた、上下ボア素材のいでたちで、卵くらいの雪玉みたいな白いシュシュをつけたツインテール。三人とも普段とはだいぶ異なる印象だ。
イントロが流れ始めると、この三人を従えた奈緒は、満面の笑みで自信たっぷりにバウンズを開始した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。


プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
タカラジェンヌへの軌跡
赤井ちひろ
青春
私立桜城下高校に通う高校一年生、南條さくら
夢はでっかく宝塚!
中学時代は演劇コンクールで助演女優賞もとるほどの力を持っている。
でも彼女には決定的な欠陥が
受験期間高校三年までの残ります三年。必死にレッスンに励むさくらに運命の女神は微笑むのか。
限られた時間の中で夢を追う少女たちを書いた青春小説。
脇を囲む教師たちと高校生の物語。
弁当 in the『マ゛ンバ』
とは
青春
「第6回ほっこり・じんわり大賞」奨励賞をいただきました!
『マ゛ンバ』
それは一人の女子中学生に訪れた試練。
言葉の意味が分からない?
そうでしょうそうでしょう!
読んで下さい。
必ず納得させてみせます。
これはうっかりな母親としっかりな娘のおかしくて、いとおしい時間を過ごした日々のお話。
優しくあったかな表紙は楠木結衣様作です!

坊主の決意:ちひろの変身物語
S.H.L
青春
### 坊主のちひろと仲間たち:変化と絆の物語
ちひろは高校時代、友達も少なく、スポーツにも無縁な日々を過ごしていた。しかし、担任の佐藤先生の勧めでソフトボール部に入部し、新しい仲間たちと共に高校生活を楽しむことができた。高校卒業後、柔道整復師を目指して専門学校に進学し、厳しい勉強に励む一方で、成人式に向けて髪を伸ばし始める。
専門学校卒業後、大手の整骨院に就職したちひろは、忙しい日々を送る中で、高校時代の恩師、佐藤先生から再び連絡を受ける。佐藤先生の奥さんが美容院でカットモデルを募集しており、ちひろに依頼が来る。高額な謝礼金に心を動かされ、ちひろはカットモデルを引き受けることに。
美容院での撮影中、ちひろは長い髪をセミロング、ボブ、ツーブロック、そして最終的にスキンヘッドにカットされる。新しい自分と向き合いながら、ちひろは自分の内面の強さと柔軟性を再発見する。仕事や日常生活でも、スキンヘッドのちひろは周囲に驚きと感動を与え、友人たちや同僚からも応援を受ける。
さらに、ちひろは同級生たちにもカットモデルを提案し、多くの仲間が参加することで、新たな絆が生まれる。成人式では、ロングヘアの同級生たちとスキンヘッドの仲間たちで特別な集合写真を撮影し、その絆を再確認する。
カットモデルの経験を通じて得た収益を元に、ちひろは自分の治療院を開くことを決意。結婚式では、再び髪をカットするサプライズ演出で会場を盛り上げ、夫となった拓也と共に新しい未来を誓う。
ちひろの物語は、外見の変化を通じて内面の成長を描き、友情と挑戦を通じて新たな自分を見つける旅路である。彼女の強さと勇気は、周囲の人々にも影響を与え、未来へと続く新しい一歩を踏み出す力となる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる