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一年生の二学期
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産毛で何かを感じ取ったかのように声のトーンを変えて、魚子が杏奈の様子を窺う。
「冗談。どの緑をパーソナルカラーにしようっかなぁって相談してた。それで昨日はそれぞれ思い思いの格好で来たの。露出は女三人なんとやらだよ。土屋君や高木君が来ることなんて稀だから、まさか昨日来るなんて思わなくてああなったの」
「来たんだから着直しなさいよ」杏奈がくぎを刺す。
「今度からね」
ひらりとかわす魚子に、杏奈が訊く。
「そういえばロゴは? 茨の鞭が絡んだやつにするって前々から言っていたけど、決まったの?」
「まだ。気に入る感じのが描けない。そもそも誰もグラフィティ描けないし。こんなイメージっていうのが出来たら、ネットで請け負ってくれる人さがそっかなって思う」
「ハートも入れよう」奈緒が言った。
「あんた関係ないでしょ」魚子が軽くあしらう。
潰れた一斤の食パンみたいな顔をしたこの子を見やった杏奈が、首を傾げて魚子に視線を移す。
「そういえば、やりたい曲がなんとかっていうの、なんの話?」
「ああ、杏奈には言っておくよ」
「なにを?」
「秘密計画」
魚子は、さも自分のことのように得意げに語り出す。
「へぇ、それ面白そう。わたしも協力するよ。どうすればいい?」杏奈が前のめり申し出た。
「小沢や他の二人には内緒。とりあえず、成瀬の振り付けしてあげて。あたしらがやるには、あいつらの目があるからさ。曲は――成瀬んちに行って確認して」
「分かった」
魚子と杏奈が微笑みあっていると、窓際からギターを奏でる音が聞こえてきた。みんなが振り向くと、先生用の机に置かれたかおりのスマホから流れてきている。
いやになっちゃう デートのたんびに きすせまられて
そうぐちいえるほど あいされたい
ザッシでみたけど ショックがおおきかった まあいまはおあずけきんブリオン
このみをあずけていいとおもうほど あんたのきもちにかちあるの?
作画:緒方宗谷
「冗談。どの緑をパーソナルカラーにしようっかなぁって相談してた。それで昨日はそれぞれ思い思いの格好で来たの。露出は女三人なんとやらだよ。土屋君や高木君が来ることなんて稀だから、まさか昨日来るなんて思わなくてああなったの」
「来たんだから着直しなさいよ」杏奈がくぎを刺す。
「今度からね」
ひらりとかわす魚子に、杏奈が訊く。
「そういえばロゴは? 茨の鞭が絡んだやつにするって前々から言っていたけど、決まったの?」
「まだ。気に入る感じのが描けない。そもそも誰もグラフィティ描けないし。こんなイメージっていうのが出来たら、ネットで請け負ってくれる人さがそっかなって思う」
「ハートも入れよう」奈緒が言った。
「あんた関係ないでしょ」魚子が軽くあしらう。
潰れた一斤の食パンみたいな顔をしたこの子を見やった杏奈が、首を傾げて魚子に視線を移す。
「そういえば、やりたい曲がなんとかっていうの、なんの話?」
「ああ、杏奈には言っておくよ」
「なにを?」
「秘密計画」
魚子は、さも自分のことのように得意げに語り出す。
「へぇ、それ面白そう。わたしも協力するよ。どうすればいい?」杏奈が前のめり申し出た。
「小沢や他の二人には内緒。とりあえず、成瀬の振り付けしてあげて。あたしらがやるには、あいつらの目があるからさ。曲は――成瀬んちに行って確認して」
「分かった」
魚子と杏奈が微笑みあっていると、窓際からギターを奏でる音が聞こえてきた。みんなが振り向くと、先生用の机に置かれたかおりのスマホから流れてきている。
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