FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 一瞬、痛みに強張る奈緒の仕草を真に受けて立ち上がろうとした南と務も席に座る。誰もかまってくれないことに気がついたのか、居た堪れない様子でバウンズを再開。しばらくして、雰囲気が常態に戻る。
「振り付けとかしないのかな?」務が言った。
 彼から話しかけられたのは南だったが、彼女が口を開く前に魚子が答える。
「しない。感性で踊る。創作ダンスうんぬんよりも、あくまでブレイクするの。バトルは基本即興だしね。みんなで振り揃えるとか、大人数でユニゾンするとか、フォーメーション見せつけるとか、そういうのはチアとかブラバンとか大人数でやったほうが醍醐味あるよ。それに成瀬は、体操クラブでそういうのやるでしょ。前に言わなかった? 誰に言ったんだっけ? まあいいや。加えて音楽だってDJ次第。どんな時でもどういう状況でも踊れなきゃ。そんな中でウィップスは自分だけのスタイルを確立していく。だからあたしらとやる以上、成瀬には成瀬のバウンズを見せてもらう」
 あひる座りをして、大将のカフェラテを飲んでいた奈緒が、いそいそと立ち上がると、片足を引いて駆けていって言った。
「わたし、あの曲がやりたい」
「なに? なんの曲?」南が訊く。
「わ か ら ない」
 魚子に「歌ってみたら?」と言われて、おもむろに歌い始める。
「おあうおうおおう……うーうーだんろおー」
「あはは、分かんないね」暖乃が笑う。
「でもどうしよっか。四曲だけだもんね」南が暖乃を見やった。
「なにかを削る」
 奈緒一言「あの歌」。
「なに?」暖乃が訊く。
「どれか」
 片手をあげて不毛なやり取りを静止した魚子が思考を巡らせる。
「いや待って。いいよ、削らなくて」
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