142 / 376
一年生の二学期
🍭
しおりを挟む
一瞬、痛みに強張る奈緒の仕草を真に受けて立ち上がろうとした南と務も席に座る。誰もかまってくれないことに気がついたのか、居た堪れない様子でバウンズを再開。しばらくして、雰囲気が常態に戻る。
「振り付けとかしないのかな?」務が言った。
彼から話しかけられたのは南だったが、彼女が口を開く前に魚子が答える。
「しない。感性で踊る。創作ダンスうんぬんよりも、あくまでブレイクするの。バトルは基本即興だしね。みんなで振り揃えるとか、大人数でユニゾンするとか、フォーメーション見せつけるとか、そういうのはチアとかブラバンとか大人数でやったほうが醍醐味あるよ。それに成瀬は、体操クラブでそういうのやるでしょ。前に言わなかった? 誰に言ったんだっけ? まあいいや。加えて音楽だってDJ次第。どんな時でもどういう状況でも踊れなきゃ。そんな中でウィップスは自分だけのスタイルを確立していく。だからあたしらとやる以上、成瀬には成瀬のバウンズを見せてもらう」
あひる座りをして、大将のカフェラテを飲んでいた奈緒が、いそいそと立ち上がると、片足を引いて駆けていって言った。
「わたし、あの曲がやりたい」
「なに? なんの曲?」南が訊く。
「わ か ら ない」
魚子に「歌ってみたら?」と言われて、おもむろに歌い始める。
「おあうおうおおう……うーうーだんろおー」
「あはは、分かんないね」暖乃が笑う。
「でもどうしよっか。四曲だけだもんね」南が暖乃を見やった。
「なにかを削る」
奈緒一言「あの歌」。
「なに?」暖乃が訊く。
「どれか」
片手をあげて不毛なやり取りを静止した魚子が思考を巡らせる。
「いや待って。いいよ、削らなくて」
「振り付けとかしないのかな?」務が言った。
彼から話しかけられたのは南だったが、彼女が口を開く前に魚子が答える。
「しない。感性で踊る。創作ダンスうんぬんよりも、あくまでブレイクするの。バトルは基本即興だしね。みんなで振り揃えるとか、大人数でユニゾンするとか、フォーメーション見せつけるとか、そういうのはチアとかブラバンとか大人数でやったほうが醍醐味あるよ。それに成瀬は、体操クラブでそういうのやるでしょ。前に言わなかった? 誰に言ったんだっけ? まあいいや。加えて音楽だってDJ次第。どんな時でもどういう状況でも踊れなきゃ。そんな中でウィップスは自分だけのスタイルを確立していく。だからあたしらとやる以上、成瀬には成瀬のバウンズを見せてもらう」
あひる座りをして、大将のカフェラテを飲んでいた奈緒が、いそいそと立ち上がると、片足を引いて駆けていって言った。
「わたし、あの曲がやりたい」
「なに? なんの曲?」南が訊く。
「わ か ら ない」
魚子に「歌ってみたら?」と言われて、おもむろに歌い始める。
「おあうおうおおう……うーうーだんろおー」
「あはは、分かんないね」暖乃が笑う。
「でもどうしよっか。四曲だけだもんね」南が暖乃を見やった。
「なにかを削る」
奈緒一言「あの歌」。
「なに?」暖乃が訊く。
「どれか」
片手をあげて不毛なやり取りを静止した魚子が思考を巡らせる。
「いや待って。いいよ、削らなくて」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
DEVIL FANGS
緒方宗谷
ファンタジー
下ネタ変態ファンタジー(こども向け)です。
主人公以外変態しか出てきません。
変態まみれのちん道中。
㊗️いつの間にか、キャラ文芸からファンタジーにジャンル変更されてたみたい。ーーてことは、キャラの濃さより内容が勝ったってこと?
ローゼ万歳、エミリアがっくし。
でも、自信をもって下ネタ変態小説を名乗ります。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる