FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

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 黄昏時を過ぎて完全に陽が没する。終了時間の午後七時が近づいてきた時、魚子が椅子に座っておもむろに口を開いた。
「先生の恩師の話で感銘を受けた人たちもいたみたいだけど、あたしはそうは思わないよ。太った生徒を休ませたのは勝つために必要なことだったと思う。体育祭なら走らせないわけにはいかなかったんだろうし、勝つためにそれしかないって言うんなら、仕方がないよね。部活だってレギュラーとベンチに分かれるし、なんかの強豪校に入って入部しようって思ったら試験があったりする。実力なかったらレギュラーにはなれないし、試験に落ちれば入部すら許されない。休ませたのはそれとなにが違うんだろ? 同じだよね。それって肥満だからとか障がい者だからっていうような差別意識からじゃないんだから、問題ないよ。健常者だって同じ。先生の話だと太った人だったけれど、ただ単純に足の遅い人だったとしても同じことしたろうね、恩師のクラスはさ。障がいとか肥満とかがクローズアップされているだけで、ただの競争の結果だとあたしは思う。走りたければ他でいくらでも走れるんだから、そっちで好きにすればいいよ。確かにバリアフリーは必要だし、身がい者が気兼ねなくなんにでも参加できる環境は必要だと思うよ。でも必要以上にどこにでもどのレベルにでもってわけじゃないから、あんたそこはき違えないでよね。少なくとも成瀬が今ここでやっていることは、必要なことじゃないよ。居場所を作ってやるのも思い出を作ってやるのも必要だけれど、こんなに時間裂いてあたしらがやってあげる義務はないし。あんた気がついていないかもしれないけど、練習に付き合っている分、あたしら実力を向上させる機会失ってるんだよ。将来に関わる大変な事態だよ」
 奈緒は、不満と申し訳なさが入り混じったような表情で頷く。
 魚子は話を続けた。
「成瀬のそのヒロインづらがむかつく。自分の希望に沿わないことは全部いじめ扱い? 被害者のふりしてあたしら悪者に仕立ててなんでも思い通りにしようとしてさ。世界はあんた中心に回っているわけじゃないんだよ。あたしらもみんなもあんたの境遇には同情する。でもあんたが学校から受けてる待遇は疑問だよ。授業でもテストでも特別扱いだし。みんな言わないだけで羨んでいるよ、きっと。現にあんた、今回のことで今日まで誰かに応援されたことある? 杏奈たちは除いてだよ」
 
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