FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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 ぽてちの袋を暖乃から受け取った魚子が封を開けて務の机の上に置いて、声を弾ませた。
「杏奈とは名パートナーだよね。でも大変でしょ、杏奈向上心強いから。あの子がよく言ってるよ、土屋君がいなかったら、自分の手腕じゃダンス部創設に持ち込めなかったって。まだ決定じゃないみたいだけど、二階の視聴覚室か体育館のステージ使わせてもらう方向で調整進んでるんでしょ」
「うん。視聴覚室は防音だし、下が食堂と厨房で普段無人だから。ごめんね。ここは同じ階に語学教室があって、この時期三年生が受験の追い込み勉強とかしていて気を遣うでしょ。はじめから気がついていたらよかった。そうしたら視聴覚室かバックルーム借りられたかもしれないのに」
「ああ、確かにね。でもいいよ、この人数だから。それにダンス部ができたら、視聴覚室とバックルームで隣同士になっちゃうでしょ。そうしたらウザいし。だからこっちのほうがいいかも。激しいムーブに挑戦したりしてドタバタは出来ないけど、いろいろと細かいところ調整するのにはちょうどいいし、なにより集中できる。だってあたしらしかいなんだから。うちらが通ってるブロックパーティーってダンススタジオ、それほど広くないんだよね。習えて五人が限度。毎回そこに七人くらいいるから、狭くて狭くて」
「ほんと」暖乃が引き継ぎ、「他のダンススクールみたいに先生が振り付けて、それをみんなで習うって方式じゃないからいいけど」と言って魚子に笑む。
「うん。個人練中心。でも順番待ちが億劫。スタジオ以外ではのーのんちのわきとかうちのマンションの屋上とかでやってたんだけど、なんか工事入って終わってみたら使えなくなっちゃった。なんでも防水層が壊れるからやめてくれだって。変な煙突も立ってたし。路上でやろうにも道狭いし、そばの公園も幼児多くて肩身せまいし。前は結構周りに気を使いながらだったから、今の環境に不満はないよ。だって公園で踊ってたら警察来たことあるのよ。うるさいだか、迷惑だか、子供が怯えるとかで。まあ、音楽かけていたらそうなるよね。ラジカセのスピーカーって結構でかいし」
「ラジカセ?」務がきょとんとした。
「あはは。形から入ったの。なんかラジカセってイメージだったから。中学の時中古で買ったんだよね。もう壊れたけど」
 務は感心しなごらも、意外そうな顔をした。
「まじめにやっているんだね。一学期の中ごろダンス部の話が出た時に、三人がダンスしているってこと知ったけど、ただのファッションというか、趣味だと思ってた。三人が断って立ち消えになったから、ちゃんと踊れるなんて思ってもみなかったから、正直驚いているよ」
 暖乃とかおりが色々なお菓子を机に広げる。
 
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