FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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 春樹がびっくりした。
「うそ、これで? 高校生なんて普通こんなもんでしょ」
「務君は落ち着いているし、素朴でセンスがいいって、なんかいつもウケいいのよね、なに着ていても」
「まあ、ワイシャツとポロシャツばかりだけどね」
 そう答える務に頷きを返した杏奈が、奈緒を見る。
「成瀬さんは大丈夫だと思う。可愛らしい服装で。でも少しフリルが多いかなって思う。言葉遣いとか身の動きに隠れて気がつかないかもしれないけれど、フリルの感じがなんか遊んでる感じに見える」
 自分の服装を見やる奈緒を見て、南が言った。
「どこが? どっちかって言うと子供っぽいじゃん。小学生にいそう」
 ぱっと顔を上げた奈緒が、いやそうな顔をしてヨレTee女子を見るが、彼女はそのシグナルに気がつかずに評価を語る。
「おませさんの“お”の字もないでしょ。あか抜けないっていうか、遊びを知らない清純中学生だよ。ファッション雑誌見たことないもん。これでだめなら、学校の女子全員だめだと思うよ」
 奈緒の顔が余計に崩れた。わなわなしながら務と春樹のほうを見やって、声なき声で訴える。
 それを見ながら、杏奈が言った。
「そうよね、小沢さんがいるから、普通に大丈夫かも」
「わたしだって大丈夫だよ。ちょっとボーイッシュなだけ。そんなにいじめないで。前もって連絡しなかったのは謝るからさ」
「南はまだいいよ」春樹が口を開く。「俺、今日完全に飛び入りだぜ、肩身せまいよ。杏奈の好意がなかったら立場ないぞ」
「あら、居づらかったら帰ってもいいのよ」宙を舞う羽毛を吹くように杏奈が答える。
 愕然として助けを乞う表情の春樹に応えて、務が手を合わせて小さくはにかんだ口を開く。
「ごめん、入れてあげて」「お願い杏奈ちゃん」
 務と奈緒に一生懸命訴えられて、黙って悩み込む杏奈が、うなだれたチワワのような面持ちの奈緒を見つめて、仕方なさそうに微笑みながら髪を左耳にかける。
「しょうがないなぁ、もう」
 本当にいやだったのか、入れてもらえるまでだいぶ時間がかかった。
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