FRIENDS

一年生の二学期

🐿️

　春樹が教えるが、奈緒は躊躇して言った。
「ここじゃなかったりして」
「いや、ここだろ。表札、おもいっきし廣飯って書いてあんじゃん」まくしたてるようにつっこむ。
「そうか。読めないけど」
「チャイム押してみれば？」
　南がそう言って鼻を吹いき、にんまりしながら「むふん」と笑う。
「そうだ、わたしたち隠れてようよ」
「シシシ」と声を殺して門の右側の塀に隠れるいがぐりに、同じく「シシシ」と笑い返した春樹が続く。仕方なく、といった様子で務もあとを追う。
「わたしも」
　奈緒が続くと、南が言葉で突き放す。
「そしたら、誰がチャイム押すの」
「そうか」
　よく分からない様子で奈緒がチャイムの前に戻って、「チャイムどこ？」としかめっ面でみんなを見た。
　すると、南が小声で呼びかける。
（（チャイムそこ））
「小声の意味あんの？」すぐさま春樹がつっこむ。
「分かんないよ」奈緒がムッとしてすぐ「あ、これか」と指を伸ばす。「いいよね押して」そうみんなにお伺いを立ててから、返事も待たずにチャイムを押した。
　しばらくしてインターホンの向こうで、奈緒が来たことに驚いた杏奈が、すぐに玄関を開けて手を振ってきた。
「成瀬さん、こんにちは。本当に来てくれたんだ」
「こんにちは」とお辞儀する奈緒に近づき、大きく紅唇を開く。
「きゃー、服装かわいい――てなんで小沢さんまで！」更に気が付いて顔をしかめ、「高木君まで」と息継ぎ無しで続けた。
「うん、そこで会った」と春樹。
「そこでじゃなくて」
「つっちーんちに遊びに行ったら、今日杏奈んちで作戦会議だって言うから」